働き手減少問題をICTで解決(第7回)

人材確保の鍵を握る、「テレワーク可能」環境

posted by 株式会社Playce(プレイス)

 近年、優秀な人材をひとりでも多く確保するため、時間・場所の制約を受けずに働ける「テレワーク」を導入する企業が増えてきました。総務省が発表した「平成30年通信利用動向調査」(2019年5月)によると、「テレワークを導入している又は具体的な導入予定がある」と回答した企業の割合は26.3%。およそ4社のうち1社が、テレワーク導入済みもしくは準備中であることがわかりました。また、2019年7月22日から9月6日にかけて、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府、そして東京都および関連団体が連携した「テレワーク・デイズ2019」も企業の注目を集めました。これは、東京オリンピック前の本番テストとして、さまざまなテレワークの実施および時差出勤、フレックスタイムなどを組み合わせた実施を奨励したもので、多くのメディアで参加企業の取り組みや効果が報道されました。

 テレワークを活用すれば、子育てや介護で自宅を空けられない、遠方在住で出勤できないなど、なんらかの事情がある有能な人材を雇用することが可能になります。採用の幅が広がり、雇用者が増え、人手不足のカバーにつながる可能性があるのです。労働力の減少問題を解決するカギにもなるテレワーク、その概要や環境整備に必要となるサービス選定のポイントをご紹介します。

モバイルワークの増加で、より柔軟に働けるように

 テレワークとは「tele=離れた場所」と「work=働く」を掛け合わせた造語です。総務省によると、主に「雇用型」と「自営型」の2種類のタイプがあり、「雇用型」はさらに「在宅勤務」「モバイルワーク」「施設利用型勤務」の3種類、「自営型」は「SOHO」「内職副業型勤務」の2種類に細分化されています。

 前出の「平成30年通信利用動向調査」によると、雇用型テレワークの内訳は、在宅勤務37.6%、モバイルワーク63.5%、サテライトオフィス勤務11.1%と、モバイルワークが多いことがわかります。かつては在宅勤務型のテレワークが主流でしたが、通信技術やICTサービスの発達、ノートパソコン、タブレット端末など持ち運びできるデバイスの普及によって、場所を選ばず仕事ができる「モバイルワーク」が増加しました。従業員ひとり一人の事情に合わせ、自宅、実家、出先などさまざまな場所で、より柔軟に働ける環境が整ってきたと言ってよいでしょう。

 こうした背景のなか、場所を選ばない柔軟なテレワークを採り入れて、離職率の低減や雇用の拡大に成功した企業も出て来ています。ある大手IT企業は、テレワークの整備とともに人事制度の見直しや業務改善を行い、離職率を40%も下げることに成功したと公表しました。また、総務省の「ふるさとテレワーク推進事業」を利用して地方にサテライトオフィスを開設し、首都圏以外の地域で新たな人材を確保したという企業もあります。テレワークの整備によって人材不足の苦境を乗り越えようとする企業が、ここ数年で、続々と登場し始めているのです。

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テレワーク環境を支える、多彩なICT

 では、これからテレワークを導入する企業は、どのような点に気を配って環境を整えていけばよいのでしょうか?

 もっとも注力したいのが、安全にネットワーク通信ができる環境を整えることです。Wi-Fiの普及によって日本全国さまざまなところで安定的に高速ネットワーク通信が行えるようになりましたが、これによって情報漏えいが発生したり、ウィルスに感染したりするなどの事故が起こっては意味がありません。企業の大切な財産であるデータを守り、リスクを回避できるサービスや製品を選択して運用を開始しましょう。

 安全なテレワーク環境を実現するための手段として、クラウドサービスを選択する企業も増えています。クラウドサービスとは、データやアプリケーションなどをサービス事業者が用意した環境で保存・管理・運用・保守する仕組みのこと。Google Cloud Platform(GCP)やAmazon Web Services(AWS)などが有名です。データをクラウド上に集約して保存・管理できるため、ローカル(PCなどの端末)に保存する必要がなく、非常にセキュアな環境だと言われています。インターネット環境さえあれば場所・時間を問わずに利用できるところも、テレワークに適しているといえるでしょう。

 その他、データの保存・管理、アプリケーションの立ち上げ・使用などをサーバー側で行い、端末側は一切のリソースを持たないシンクライアントシステムや、ウェブ会議システム、プロジェクト管理ツールなど、テレワークに適したシステム・サービスは数多く活用されています。快適なテレワークを実現するため、まずは自社に適したICTソリューションを探すところから始めるとよいでしょう。

 エン・ジャパンの「8,000名の社会人に聞く『テレワーク』実態調査」(2018年6月)によると、テレワーク未経験者の4割が「テレワークで働きたい」と回答しています。また「今後もテレワークで働きたい」と回答している経験者は7割以上にものぼります。テレワークに最適なシステム・サービスを導入することで、特に中小企業は人材確保に大きな効果を得ることが期待できるでしょう。

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