PCだけでなくタブレットやスマホを含めた膨大な数と種類がある端末の管理、テレワーク環境の構築と運用、複数の拠点を結ぶ複雑なネットワークの保守、そして執拗なサイバー攻撃やウィルスへの情報セキュリティ対策など......。ICT関連の業務は、数年前とは比較にならないほど広範囲かつ煩雑となり、高度な知識が必要とされる"専門領域"になっています。
こうした状況に加えて、社会問題として取り上げられているのが、ICT人材の不足と採用難です。経済産業省の「ITベンチャー等によるイノベーション促進のための人材育成・確保モデル事業 事業報告書 第2部 今後のIT人材需給推計モデル構築等 編」によると、2019年は、約33万人ものICT人材が不足すると試算されています。2020年には約23~37万人、2030年には約41~79万人のICT人材が不足すると予測されており、今後、ICT人材を採用することは難しくなるでしょう。
より安全に、効率よく! データセンターやクラウドを活用する
将来の"ICT人材の採用難時代"に備えて、大手企業を中心に、データを外部の専門業者に委託して管理する動きが加速しています。「大事な個人情報や機密データを外部の業者に預けて、本当に大丈夫なのだろうか?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、現在は、「信頼できる専門業者のデータセンターやクラウドのほうが安全である」という考えが一般的です。多くのデータセンターでは、24時間365日体制で保守運用されています。そして建物は徹底した入退館管理が行われ、地震や水害などの災害に非常に強い構造になっています。室内もサーバーの運用に適した空調設備で、トラブルを未然に防ぐためのバックアップシステムなどが幾重にも整えられています。なおかつ、高度なICT人材がこれらを常時監視・保守運用しているのです。
対してパブリッククラウドは、ローカル(PCなどの端末上)でアプリケーションを動かしたり、データを保存したりすることなく利用できるという特徴があります。それらにより、PC故障によるデータ消失リスク、PC紛失によるデータ漏えいリスク、USBメモリの差し込みによるウィルス感染リスクなどの対策が講じられるのです。
また「データの置き場所や出入口が1つだけである」という非常にセキュアな状態で、さまざまな種類の端末からアクセスできるため、テレワークに適しているとされています。導入や運用のコストが軽減されるのと同時に、サーバーなどのインフラ関連の管理運用業務をクラウド事業者に任せることができるのも特徴です。
データセンターやパブリッククラウドによる「データ管理のアウトソース」は、ICT人材の確保に悩む中小企業の経営者やマネジメント層にとっても大変有効な手段といえます。本格的なICT人材の採用難が始まる前に、「貴重な労力やコストをかけてもICT人材の採用を行い、複雑なシステムの構築やデータ管理を社内で行い続ける」、もしくは「専門業者にアウトソースする」かを一考する時期ではないでしょうか。今後のデータの管理運用体制について、検討してみることをおすすめします。
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データだけでなくPC、ソフトウェアなどのIT資産を委託管理することも
データだけでなく、PC、複合機、OS、ソフトウェア、ネットワーク周辺機器など、あらゆるIT資産の管理を外部に委託することも検討してみることの1つです。
2019年2月に発表されたDellとEMCによる「中堅企業IT投資動向調査」によると、中堅企業(従業員100名以上1,000名未満の会社)の約38%が、情報システム担当者1名以下の体制で社内のICT管理を行っているとのこと。従業員100名~200名規模の企業の場合、実に69.4%が「兼任型情シス」であるという調査結果が報告されています。
つまり多くの中堅企業では、専任担当者ゼロ、別の業務を担当しながらの兼任型という形で、多岐に渡るIT資産を把握、管理して、さらにメンテナンスやサポートまで行っているのが現状ですが、それは容易なことではありません。データのアウトソースとともにIT資産のアウトソースを行えば、より効率的に、まとめて、ICTにまつわる社内負荷を低減することも可能です。
では、無数にある専門業者のなかから、どのように信頼性の高い業者を選べばよいのでしょうか? ポイントとなるのが、企業規模、実績、情報セキュリティポリシーです。堅牢なデータセンターやクラウド環境を構築するには、莫大な設備投資と多くのICT人材が欠かせません。安定的に充実した投資が行える企業規模を持ち、なおかつ、長年に渡る豊富な運用実績がある事業者を選ぶとよいでしょう。情報セキュリティポリシー、ISMS、ISO、Pマークなどの取得認証なども確認しておきたいところです。クラウドの場合は、経済産業省が開示している「クラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン」に準拠していることもチェックしておきましょう。
そしてなにより、自社の業務を正しく理解し、細やかに、最適な提案をしてくれる業者を見つけることが欠かせません。ICTの管理や運用は、半永久的に続いていくもの。パートナーとして、長く、ともに歩んでいけるような委託先を選び、厳しい人手不足時代、環境の変化に、柔軟に対応していきましょう。
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自治体DXの推進には、先行している自治体の事例が参考になります。ここでご紹介するのは、自治体のDX事例資料をおまとめしたセットです。何を導入し、業務がどの程度効率化できたのか、ぜひご自分の目で確かめてみてください。
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