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Tech-Community for VPN(第2回)

多拠点をつなぐ「Web会議」をストレスなく使うための3つのポイント

Web会議の登場によって、移動時間の削減といったメリットを享受できている人は多いでしょう。しかし、企業によっては、Web会議の通信が不安定になり、コミュニケーションがうまく取れない、対面での会議よりも時間がかかるといったケースも見受けられます。特に、本社と支社をつなぐような多拠点通信を用いて、重要な意思決定をする会議でトラブルが頻発している場合は見過ごせません。本コラムでは、いまや欠かせないコミュニケーションツールとなったWeb会議を安定して活用する方法について考えます。

Web会議は便利だが、ストレスを感じるときも

 自宅やサテライトオフィスなど、場所を問わない新しいワークスタイルが普及しています。オフィスに出社する場合であっても、従来と同様に自分専用のデスクを使うケースもあれば、コミュニケーション促進などを目的に席を自由に選ぶケースもあるでしょう

 こうした新しいワークスタイルが広がるなかで、以前にはなかったストレスを抱えるケースも増えています。その1つがWeb会議です。Web会議は2020年ごろから急速に活用されるようになり、いまでは業務の遂行に欠かせないものになりました。自宅やサテライトオフィスで働いている従業員を始め、他部署や地方拠点で働く方々から取引先までコミュニケーション方法の1つとして利用されています。

 しかし、対面でのコミュニケーションに対して、Web会議では、ネットワークが乱れることでトラブルが生じることがあります。例えば、サービスにアクセスできずWeb会議自体に参加できなかったり、会議中に突然音声が聞こえなくなったり、プレゼンテーション資料が操作できなくなったという経験はないでしょうか。

 もしそれが、ビジネスの重要な意思決定に関わる会議だった場合、Web会議の動作が不安定であることは、生産性を損なうだけでなく、事業や経営に影響を及ぼしかねません。こうしたWeb会議に関するトラブルは、どのように解消すればよいでしょうか。

Web会議を不安定にさせる原因

 Web会議にまつわるトラブルの解決方法を検討する前に、Web会議が不安定になる原因を今一度考え直してみます。

 Web会議が不安定になる原因はいくつか考えられ、今回は3つピックアップしてみます。1つめは「従業員がリモートワークで利用しているインターネット回線の動作に不具合がある」、2つめは「利用しているPCの性能が低下している」、3つ目は「社内ネットワークの回線がひっ迫している」です。これら以外の理由、もしくは複数の要因によって発生するケースも多く見られます。

 中でも「社内ネットワークの回線ひっ迫」の原因として多いのが、VPN回線に起因するものです。Web会議を実施する際にVPN回線を利用しており、多数の従業員が同時にアクセスすると回線がひっ迫してしまうことがあります。今日では、Web会議は、物理的に離れた従業員同士に限らず、社内の別のフロアなど比較的近くにいる従業員同士で利用されるケースも増えています。その際も、社内のVPN装置やセキュリティ装置を経由してやりとりするため、むしろ社内ネットワークを利用する時のほうがWeb会議の実施にトラブルが生じやすいケースもあります。

多拠点間でのWeb会議のトラブルを減らす3つの方法

 こうした背景を踏まえて対策を立てるには、特定の部分に不調が起こった際にカバーできるような環境を整えておくことが重要です。以下で3つの方法をご紹介します。

IPv6 IPoE方式の採用

 1つめは、IPv6 IPoE方式を使った拠点間通信の安定化・高速化です。IPv6 IPoE方式は従来のIPv4 PPPoE方式と比較して、大容量かつ安定しているとされる次世代のインターネット接続環境です。

 IPv6 IPoE方式での接続は電話回線の利用を前提としていないため、IPv4 PPPoE方式での接続よりも高速かつ安定した通信が可能です。特に、地方拠点と本社など複数のオフィスをつなぐWeb会議を頻繁に行う場合は、利用回線をIPv6 IPoE方式による閉域VPN通信で接続することで、セキュアな通信が可能になります。

 現在、多くの回線事業者、プロバイダーがIPv6 IPoE方式での接続に対応しています。もし、特定の拠点がIPv4 PPPoE方式にて接続している場合は、IPv6 IPoE方式に変更することでWeb会議が不安定になるというストレスを軽減することができます。

インターネットブレイクアウトの実施

 2つめは、インターネットブレイクアウトの実施です。インターネットブレイクアウトは、閉域網を経由することなく、拠点から直接インターネットに通信させる方法です。拠点からのインターネットアクセスにVPNなどの閉域網を利用している場合、すべての通信でなくWeb会議ツールなど一部のアプリケーションの通信のみインターネットブレイクアウトを用いることで、VPN内にかかるトラフィック量を低減できます。

 インターネットブレイクアウトは、Web会議を実施する時だけではなく、Microsoft 365をはじめとしたSaaSやWindows Update実施時の通信などにも使うことができます。どのアプリケーションをインターネットブレイクアウトするかをあらかじめ決めておく必要がありますが、そのための専用ソフトウェアやツールも販売されているので、迷った際は活用するとよいでしょう。

代替手段としてのモバイル接続サービス

 3つめは、モバイル回線の利用です。固定回線にトラブルが発生し、すぐに復旧できない場合は代替通信手段として活用することができます。

 近年は4Gのモバイル回線でも十分に高速な通信が可能であり、エリアによっては5Gに接続することもできるようになっています。そのため、環境によっては、固定回線よりもモバイル接続の方が安定した通信を行える場合もあります。モバイル通信でも、閉域接続サービスを提供しているケースもあり、こうしたサービスを利用すれば通常のインターネット回線を使わず、重要な情報のやりとりを安全に行えます。

 さらにモバイル回線は、メインで利用しているキャリアの回線に障害が発生するなど通信ができなくなった際のバックアップとしても機能します。

3つの機能を備えた「SD-WAN」 有効性とサービス選定

 これまで述べてきたように、多拠点間でのWeb会議のトラブルをなくすためには「最適な多拠点間通信ネットワークの仕組み」を構築することが大切です。とはいえ、回線を冗長化する対策だと、普段は使わない待機回線を抱えることになり費用面での無駄が発生します。

 そこで注目されているのが、SD-WANです。SD-WANを使えば、自社が契約している複数の回線を1つの仮想的な回線として管理し、アプリケーションに応じて接続する回線を柔軟に制御できるようになります。それにより、多拠点間通信の最適化をより効率的に実現できます。ただしSD-WAN導入後は、必要に応じた設定など運用管理の手間は少なからず発生します。社内で運用管理のリソース確保や、導入サポートの手厚いサービスを選定するとよいでしょう。

 もちろん、企業の状況によって解決策は千差万別です。SD-WANありきではなく、固定回線の通信プランが自社の使い方に合致しているのか、外出ユーザーが多いならばモバイル回線を利用するのがよいなど、まずは基本的な回線契約を見直すことから始めると良いでしょう。

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