ファイルサーバー・クラウドストレージのビジネス活用(第7回)

ファイルサーバーに突然アクセスできない! 考えられる原因と対処法を徹底解説

 資格情報、SMB、IPアドレスの変更。ファイルサーバーに接続できない原因は様々です。デバイス、ネットワーク、ファイルサーバー、それぞれの仕組みから考えられる解決方法を説明します。

◆目次
困ったらここをチェック!
デバイス設定の問題
ネットワークの問題
ファイルサーバーの問題
その他考えられる問題
まとめ:柔軟なファイルサーバー利用にはコワークストレージがおすすめ

困ったらここをチェック! ファイルサーバーに突然アクセスできなくなる3つの原因

 ある日突然、ファイルサーバーにアクセスできなくなった──。日常的に業務で利用している人にとっては非常に困る状況です。まずは考えられる原因について、ファイルサーバーの仕組みから説明します。

デバイスの原因

 ファイルサーバーへのアクセスには、デバイスのネットワーク接続機能(Wi-Fiなど)が使われます。そのため、セキュリティ上の理由で、デバイスは外部ネットワークへの接続に機能制限を設けています。たとえば、特定のIPアドレスへの接続禁止、特定の接続方式の利用禁止など。企業の情報システム担当者は、ファイルサーバーを利用できるように端末の設定を行った上で端末を配布します。しかし、これらの設定はソフトウェアアップデートプログラムで自動的に切り替わる場合もあるのです。

 WindowsやMacでは定期的にソフトウェアアップデートプログラムを配布して、脆弱性の潜む機能について修正を行っています。製造したデバイスの基本設定が原因でセキュリティインシデントが発生することは、製品開発元の信用問題につながるからです。

 ソフトウェアアップデートプログラムは企業のセキュリティリスクを抑える上でも、実行が推奨されます。利用者も細かな変更点を気にかけることなく、アップデートを実行するため、気づいた時にはファイルサーバーが利用できなくなっているのです。

ネットワークの原因

 オフィス内のサーバールームなど、ファイルサーバーは物理的に隔離された場所で運用されています。システム管理者はファイルサーバーに接続するための、ネットワーク設定を行います。物理的には有線ケーブルの敷設、ルーターの設置です。ソフトウェア上ではIPアドレスの付与、VPNの導入などが挙げられるでしょう。

 ファイルサーバーの利用ニーズに合わせて、システム管理者は定期的に設定を変更します。そのため、設定変更が利用者に通知されていなかった、システム管理者が意図しない設定変更を行った、といった場合、ファイルサーバーへのアクセスができなくなります。

 また従業員が数千人に及ぶ大企業では、多くの人が一度にファイルサーバーへの接続を試みます。同時接続数が許容範囲を越えると、ネットワークへのアクセスができません。通常、システム管理者はこのような状況を考慮して、ネットワークの処理能力を高めに準備します。

 しかし、全社的なテレワークへの移行や、想定外の大量採用などの突発的な事象に対して十分な処理能力が確保できていない場合、同時接続制限を越えてファイルサーバーにアクセスできなくなります。

ファイルサーバーそのものの原因

 ファイルサーバーはアクセス権限の編集ができます。主なアクセス権限は管理者、編集者、閲覧者です。利用者に割り当てられていた権限が外された場合、利用者は該当のファイルへのアクセスができなくなります。またファイルサーバーそのものの電源が落ちていたり、故障していることも考えられます。このような場合、システム管理者による復旧作業を待つ以外の術はありません。

デバイス設定が原因でアクセスできない場合のチェックポイント

 デバイス側の原因でファイルサーバーにアクセスできない際の対策方法を紹介します。資格情報・ファイルの共有設定・SMB、これらが具体的にどのような問題なのかを説明します。

資格情報を確認する

 資格情報はネットワーク上でアクセス権限があることを認証するための情報です。ファイルサーバーにアクセスする場合にも、システム管理者が利用者別にユーザー名とパスワードを発行します。資格情報は一度アクセスに成功すると、デバイス上に保存されます。2回目以降のアクセスでは入力が求められません。

 ソフトウェアアップデートの影響で保存されていた資格情報がリセットされた、ファイルサーバー側でパスワードが変更された、というような場合には資格情報を手動で設定しなおす必要があります。Windows 10の場合、以下の手順で再設定が可能です。

a. スタート>Windowsシステムツール>コントロールパネル
b. ユーザーアカウント>資格情報マネージャー>Windows資格情報の管理
c. Windows資格情報>利用しているファイルサーバーのIPアドレスorホスト名をクリック>削除
d. 以前ファイルサーバーの設定を行なった際の手順に沿って、ファイルサーバーに接続

ネットワーク探索とファイルの共有を確認する

 デバイスのネットワーク探索機能が無効になっていると、ネットワークフォルダにコンピュータやプリンタが表示されなくなります。ファイルサーバーも同様です。この機能を有効にすることで、以前と同じようにファイルサーバーへアクセスができるようになります。

 Windows 10の場合、任意のフォルダを開いた左のタブからネットワークを選択、ネットワークをクリックします。機能が無効の場合「ネットワーク探索とファイル共有が無効になっています。ネットワーク コンピュータとデバイスは表示されません。変更するにはクリックしてください」とアラートが表示されます。

 アラートをクリックすると「有効化」の選択肢が出てきます。クリック後に「パブリックネットワークにネットワークの探索とファイル共有を有効にする」という質問が出てくるので、「いいえ」を選択、しばらく経つとネットワークフォルダ内にファイルサーバーが表示されます。

SMB機能について確認する

 SMBはServer Message Blockの略です。LAN上で、共有ファイルやプリンタとデバイスを接続するための通信規格で1.0~3.0までバージョンがあります。Windows 10ではSMB3、MacではSMB2が標準搭載です。SMB1は暗号システムの脆弱性が発見されており、徐々に利用されなくなってきています。このような流れを受けて、ソフトウェアアップデートでSMB1を無効にするケースが増えています。

 しかし、10年以上利用されているような古いファイルサーバーについては通信規格がSMB1のままです。その結果デバイス側で利用している通信規格がファイルサーバーと一致せず、アクセスができなくなります。Windows 10でSMB1を有効にするには、以下の手順で設定を行います。

a. スタートの検索窓に「appwiz.cpl」と入力
b. 入力候補に表示される「appwiz.cpl-コントロールパネル項目」をクリック
c. 左メニューから「Windows機能の有効化または無効化」をクリック
d. 「SMB1.0/CIFSファイル共有のサポート」のチェックボックスをオンにして「OK」をクリック
e. デバイスを再起動

プライベート・パブリックの設定を確認する

 Windowsにはネットワークの設定にパブリックとプライベートがあります。名前の通り、パブリックは公共Wi-Fi下での利用、プライベートはオフィス内や家庭内ネットワークでの利用を想定しています。パブリックの場合、ファイアウォールの設定などが厳しくなるため、ファイルサーバーが表示されなくなるのです。Windows 10では以下の手順でプライベートに設定変更可能です。

a. 画面右下のネットワークアイコンから「ネットワークとインターネットを開く」をクリック
b. 接続プロパティの変更をクリック
c. ネットワークプロファイルからパブリック・プライベートを選択

ネットワークが原因でアクセスできない場合のチェックポイント

 デバイスとファイルサーバーを繋ぐネットワークが原因で、ファイルサーバーにアクセスできない際の対策方法を紹介します。IPアドレス、VPN、ルーター、これらがどのようにファイルサーバーへのアクセスに影響あるかを説明します。

IPアドレスの確認(pingが通らない)

 システム管理者がIPアドレスを変更した場合、ファイルサーバーへのアクセスができなくなります。IPアドレスが利用可能かどうかはpingというコマンドで確認ができます。Windowsのスタートメニューからコマンドプロントを起動。「ping {ipアドレス}」を入力します。

例)ping 192.168.11.11

 通信が成功している場合、「〜からの応答:バイト数 =〜」と表示が続きます。通信が失敗している場合、IPアドレスが変更されているので、システム管理者への問い合わせが必要になります。

VPNの接続を確認する

 VPNはインターネット経由で、安全にオフィス内ネットワークに接続する仕組みです。テレワークで、社外からオフィス内ネットワークのファイルサーバーにアクセスする場合、VPNが必要です。VPNへ接続しないままファイルサーバー利用を試みている場合は、VPN接続を行います。

 しかし、なかにはVPN接続をしてもファイルサーバーが表示されないケースもあります。この場合は以下の手順でNetBIOS設定の有効化が必要です。NetBIOSが有効化されていないと、適切な形式でデータが受け渡されません。設定手順は以下の通りです。

a. 画面右下のネットワークアイコンからネットワークと共有センターをクリック
b. プライベートネットワークの「Wi-Fi」をクリック
c. 「プロパティ」をクリック
d. 「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」をクリック
e. 詳細設定(V)をクリック。WINSタブを選択
f. 「NetBIOS over TCP/IP を有効にする(N)」にチェックして「OK」をクリック

ルーターの不具合がないか確認する

 通信先の居場所(IPアドレス)を検索する機能や、利用しているデバイスのIPアドレスを通信先に知らせる機能、特定のIPアドレスを遮断する機能など、ルーターはIPアドレスを元に、ネットワークを相互につないでいます。

 デバイスとファイルサーバー間にも複数のルーターが存在します。そのうちのどれが一つに不具合や故障が起きた場合、ファイルサーバーへの接続ができません。不具合については以下の手順で確認を行いましょう。

a. ルーターの電源が入っている(電源ランプがついている)
b. ルーターとLANケーブルが接続されている(インターネットにつながる)
c. ファイルサーバーのIPアドレスにpingが通る(企業内のネットワークに接続できる)

 これら3つの手順を試して問題ない場合は、他の原因が考えられます。電源とLANケーブルの接続手順がうまくいかない場合は、修理か買い替えが必要です。pingが通らない場合は、システム管理者に問い合わせましょう。

ファイルサーバー自体の理由でアクセスできない場合のチェックポイント

 ファイルサーバー側の設定が原因で、アクセスができない可能性も考えられます。この場合、手元の設定変更では状況が変わらないため、システム管理者への問い合わせが必要になります。

フォルダのアクセス許可を確認する

 ファイルサーバー側のアクセス権限の変更で、アクセスができなくなる場合があります。とくに特定のフォルダ・ファイルだけが見られない場合、大半が権限の問題に起因します。フォルダの管理者に問い合わせて、アクセス権が付与されているか確認してもらいましょう。

同時接続制限に達していないか確認する

 ネットワーク混雑による同時接続制限だけでなく、ファイルサーバーそのものにも同時接続制限はあります。設定はファイルサーバーに利用しているOSに依存します。一般的には無制限のOSが多いものの、企業の予算などを理由に、制限付きのOSが利用されている可能性も考えられます。始業時刻や、月末の締め作業のタイミングなど、接続できないタイミングが、ファイルサーバー利用が集中する時間帯と重なっていないか確認しましょう。

匿名アクセス(guest)・パスワード無しアクセスの有効化

 通常ファイルサーバーへのアクセスにはユーザー名とパスワードが求められます。しかし、稀にではありますが、ファイルサーバーで利用するOSの種類によっては、匿名アクセス(パスワード無しでのゲストアクセス)を許可できます。

 期間限定で外部企業のプロジェクトに参加して、外部企業のオフィス内からファイルサーバーに接続する、企業内で少数に限られたチームでのファイル共有する場合など、ファイルサーバーにパスワード無しでアクセスすることが考えられます。匿名アクセスでファイルサーバーに接続できない場合、システム管理者に問い合わせをしましょう。

 またシステム管理者が匿名アクセスを有効化しても接続ができない場合、物理的なケーブル等の故障が考えられます。

ファイルサーバーにアクセスできない際に考えられるその他の理由

 ここまでファイルサーバーの仕組みからアクセスできない理由と対策について説明してきました。しかし、前述した内容を確認してもまだアクセスできない場合、さらに根本的な原因も考えられます。

Wi-Fiの接続遅延

 社外からファイルサーバーにアクセスできない場合、デバイスが接続されているWi-Fiの問題が考えられます。たとえば、ファイルサイズが大きい資料の閲覧や編集、ネットワーク速度不足などによって、アクセスできなくなります。また公共Wi-Fiを利用している場合、セキュリティ上の理由から、ファイルサーバー側でアクセスを拒否する可能性も考えられます。

物理ケーブルの故障

 デバイスとルーター、ルーターとLAN、LANとファイルサーバーなど、それぞれの間をつなぐ物理ケーブルの故障が想定されます。物理ケーブルが故障すると、ファイルサーバーへのアクセスだけでなく、インターネットやプリンタへの接続もできなくなります。ファイルサーバー以外の接続についても確認することで、物理ケーブルに問題がないか確認しましょう。

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まとめ:柔軟なファイルサーバー利用にはコワークストレージがおすすめ

 NTT東日本が提供するコワークストレージは協業やクラウドシフトが進む企業向けの、データ共有ソリューションです。ファイルサーバーの操作性や堅牢性を維持しつつ、テレワークや協業の効率的な推進を実現します。

 これからファイルサーバーやクラウドストレージの導入、増設を検討する際、ぜひ一度ご検討いただければと思います。

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