ファイルサーバー・クラウドストレージのビジネス活用(第3回)

ファイルサーバーをクラウドで利用する時のメリットや注意点を紹介

 社内でのデータ共有やバックアップのために、ファイルサーバーを導入している企業も多いのではないでしょうか。ストレージでデータを共有する方法では、近年よく耳にする「クラウド化」が進んでいます。

 今回の記事では、ファイルサーバーをクラウドで利用する時に知っておきたい基本的な内容や、クラウド型のファイルサーバーのメリットや移行時の注意点について紹介していきます。

◆目次
そもそもファイルサーバーとは何か?
クラウド型で利用するファイルサーバーとは何か?
クラウド型ファイルサーバーのメリット
クラウド型ファイルサーバーのデメリット
クラウド型ファイルサーバーへの移行の注意点
クラウド型ファイルサーバーの活用シーン
まとめ

そもそもファイルサーバーとは何か?

 ファイルサーバーとは、ネットワークを通じて同時に複数人がアクセスでき、アップロード・ダウンロード・編集などができる共有サーバーです。オンプレミス型(自社で構築するもの)や、似たような方式としてネットワークを通じて外付けHDDにアクセスするNASも代表的です。

 ユーザーの権限を細かく管理できたり、容量や機能が充実しています。リアルタイムでの更新や、バックアップ用として利用できるができるなどのメリットがあります。一方で導入・運用にコストが多くかかるのがデメリットです。

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クラウド型で利用するファイルサーバーとは何か?

 クラウド型のファイルサーバーとは、複数人でのアクセスが可能なファイルサーバーを、クラウドサービスを提供している企業がインターネット上に用意したスペースで活用するものです。「クラウドストレージ」や「オンラインストレージ」とも呼ばれます。

 自社でサーバーは持たずにクラウドサービスを利用することを指す事が多いですが、オンプレミス型で用意したファイルサーバーを、クラウド上に設置して運用することもクラウド型ファイルサーバーと呼びます。「Amazon Web Services (AWS)」のクラウド上でオンプレミスのファイルサーバーを構築する「Amazon FSx for Windows ファイルサーバー」などが代表的です。

 今回の記事では、こちらのクラウド型ファイルサーバーの解説ではなく、他社のクラウドサービスを利用するケースをクラウド型ファイルサーバーとして紹介していきます。

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クラウド型ファイルサーバーのメリット

 クラウド型ファイルサーバーのメリットを紹介します。自社でファイルサーバーを構築するパターンと、クラウドサービスを利用するパターンではどのような利点の違いがあるのでしょうか。

自社サーバーより導入しやすい

 ファイルサーバーを自社で導入する場合は、サーバー構築が必要で、データセンターをはじめとした物理的な環境を用意するなど、コストが大きいです。

 クラウド型ファイルサーバーではサービスを提供しているベンダーの環境を利用できるので、新規でファイルサーバーを構築する場合に比べ導入時の工数や金銭的コストが低く、導入までの時間も早いです。

自社サーバーより運用しやすい

 オンプレミス型のファイルサーバーは、導入後の保守・運用の負荷が高いです。定期的なバックアップの実施や、ファイルサーバーで利用するOSのアップデート、またハードディスクの交換などのメンテナンスも必要になります。自社独自でのセキュリティ環境やアクセス範囲の設定なども、常に管理者がコントロールします。

 クラウド型ファイルサーバーでは、サーバー管理がなく、設計・構築・運用もベンダーに任せられるので運用しやすいです。情報システム担当にかかりがちな負担を減らすことができます。

サービスベンダーの最新機能が利用できる

 クラウド型ファイルサーバーはSaaS(Software as a Service)サービスとして、サービスベンダーが継続して利用してもらうために、利便性を常に高める企業努力をしています。もともと備わっている便利な機能やアップデートで追加される機能は、自社のファイルサーバーで実装するのはなかなか手間がかかりますが、実装コストなしでサービスとして利用できる点が魅力です。

 自動バックアップした以前のバージョンにすぐ戻せる機能や、ファイルの検索が細かくフィルターをかけられる機能、ユーザーの権限レベルを連携しているサービスでも利用できる設定などは業務効率の向上につながります。

 また、一般的に使いにくいとされるクラウドドキュメントの編集機能がPC上で編集するのと遜色なく使えることもあります。

低コストで拡張性が高い

 利用しているストレージの容量が足らない場合、ファイルサーバーではサーバーの増設やハードディスク増設などの物理的な作業による追加が必要になります。作業にかかる工数や待ち時間の発生、誤ってデータを消失するリスクがあります。

 クラウド型ファイルサーバーでは、利用プランをアップグレードすればストレージの上限を増やすことができ、すぐに利用できます。プランではそもそも上限がないものもあり、オンプレミスでの構築・運用の費用と比較して安い場合が多いです。

BCP対策としてテレワークで活用できる

 ファイルサーバーを利用している場合、多くは社内のLAN環境でのみアクセスできるような設定にしています。テレワークでの在宅勤務をする場合は自宅のネットワーク環境ではアクセスできないため、VPN(仮想専用線)を利用して社外からアクセスできる環境を構築する必要があります。

 クラウド型ファイルサーバーなら、IDとパスワードがあればインターネット経由でどこからでもファイルにアクセスできます。

 災害時にはデータセンターや自社のサーバーに不具合が生じる可能性がありますが、クラウド型であればサービス提供企業が所持している対策がとられたサーバーを利用するため安心です。事業の継続性を保つことができます。

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クラウド型ファイルサーバーのデメリット

 クラウド型ファイルサーバーのデメリットを紹介します。こちらも、社内ファイルサーバーとクラウド型サービスを比較しながら紹介していきます。

インターネット回線の接続速度に影響される

 クラウド型ファイルサーバーは、ネットワークにアクセスしてデータをやりとりするため、オフラインでは扱えません。自宅のネットワークやモバイルWi-Fiなどからアクセスする場合、インターネット回線が弱いと転送速度が遅く作業に支障が出る場合があります。

 クラウド型ファイルサーバーだけでなく、オンプレミス自社サーバーでも在宅勤務などのテレワークでは同じような問題は起きる可能性があります。

自社用のカスタマイズ性が低い

 オンプレミスでのファイルサーバーは導入時に構築や設定をする工数は多いですが、自社用の仕様にカスタマイズできる点が魅力です。一方、クラウド型ファイルサーバーは、多くの企業に向けた機能をサービスとして提供していますが、自社にとっては不要な機能や使い勝手が悪いものがあるケースがあります。

 業界特有のセキュリティ上、複雑な設定が必須だったり、業務上で必要な機能を自社でカスタマイズすることが求められる場合は、やや要件にあわない可能性があります。

必要なデータ量、人数の上限に注意

 多くのクラウド型ファイルサーバーのプランでは、利用可能なユーザー数・アカウント数・利用可能なデータ量の上限でプランが決まっています。クラウド型のファイルサーバーを新規で導入する企業の中には、ベンチャー企業などの今後の組織成長が見込める企業も多いです。

 導入後の利用ユーザーの増加や、データ量が上限まで達した場合は、プラン変更が必要になりコストオーバーする可能性があるので注意が必要です。

セキュリティ設定や運用に注意

 ファイルサーバーの多くが社内LANのみのアクセスを許可して外部からのアクセスを防止しているのに対して、クラウド型ファイルサーバーはインターネットに繋がっていればどこからでもアクセスできるため、セキュリティに注意が必要です。

 もちろん、サービスとしてIPアドレス制限や2段階認証、デバイス認証などの機能を標準で揃えているクラウドサービスも多いです。それらの機能を適切に活用するためには、社内のセキュリティポリシーを定めて共通認識のもと運用し情報漏えい対策を行いましょう。

海外サーバーを利用しているものに注意

 オンプレミス型のファイルサーバーは自社で管理できる安心度の高いサーバーですが、クラウド型ファイルサーバーのサービスが提供するサーバーがどこにあるのか注意が必要です。

 データを保存するサーバーが海外に設置されている場合があります。もちろん外資系の大手のサービスなら安心できる場合が多いですが、国産のサービスの中にも海外サーバーを利用している場合があります。セキュリティやBCP(事業継続計画)的な観点からリスクを伴うケースもあるので、導入時には安全性の高いサーバーかチェックしましょう。

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クラウド型ファイルサーバーへの移行の注意点

 オンプレミスでのファイルサーバーの運用やNASを利用している企業が、クラウド型のファイルサーバーのサービスの利用に移行したいというニーズが増えています。ここでは、移行時の注意点を解説します。

データ移行が問題なくできるか

 既存のファイルサーバーのデータを移行する場合、基本的にはそこまで手間がかかることはありません。注意点としては、ストレージを保存する方式にはいくつかある点です。

 NASなどで利用される「ファイルストレージ方式」では、保存されているデータそのものに加えて、どのフォルダに保存されているかという場所を示す情報の2つがセットで保存されます。クラウド型ファイルサーバーは「オブジェクトストレージ方式」で、この2つのデータがひとつとして保存されます。

 このようなストレージの方式の違いにより、新しいストレージへのデータ移行がスムーズにできるかどうか差がでます。自社のファイルサーバーやNASなどの方式と、利用予定のサービスで問題なく移行できるか導入前に確認しましょう。

アクセス範囲の移行、制限

 データ移行と同様に、アクセス権限を自社のファイルサーバーから引き継いで利用できるか導入前にチェックしましょう。前述のフォーマット方式の違いによっては、フォルダと紐づくアクセス権限の方式も異なっている可能性もあり、細かい引き継ぎはできない場合もあります。

 また、自社のファイルサーバーで社用PCでの利用が想定されていた場合も注意が必要です。クラウドサービスはさまざまなデバイスからアクセスが可能なため、利用可能なデバイスの種類の制限を設定する必要があります。

 自社で導入または連携していたアクセス認証サービスがある場合、そのまま設定を引き継いで連携できるかなどもチェックしましょう。Windows Serverの標準機能にあるシステム管理者がユーザー管理に利用する「Active Directory」などが代表的です。

 利用するユーザー数が多い場合は、ゼロから新しく認証設定する手間が大きい可能性があるので、シングルサインオン(認証を一度行えば、他のアプリやシステムも同じ用にアクセスできる仕組み)などが利用できると便利です。

操作画面の変更によるマニュアル更新などの対応

 自社構築のファイルサーバーを長年利用していた場合、従業員が使い慣れていたり、業務フローやマニュアルもそのシステムの操作にあわせて作られたりしている場合があります。データのやりとりが多い業務では、RPAツールやプログラムを組んで自動化しているケースも。

 新しいシステムを導入することで、表示方法や操作感の違いに慣れる必要があります。また、ファイルの格納ルールの変更やマニュアルの更新・作り直しなどの対応が必要な場合があります。

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クラウド型ファイルサーバーの活用シーン

 クラウド型ファイルサーバーはさまざまなシーンで活用できます。ここでは代表的なものをいくつか紹介します。

建設業などの現場

 建設業ではパソコンが使えない外出先の現場での業務が多いですが、クラウド型のストレージを利用し、タブレットやスマートフォンで社内ファイルを閲覧できれば、社内に戻らず業務を継続できます。紙の図面資料やUSBでのデータの持ち出しによる紛失や盗難のリスクも削減できます。

 社外にデータ更新のたびにメールを送らなくても、最新のファイルをすぐにストレージ上で見つけられます。

商店街や店舗

 商店街では開催するイベントの情報をチラシやポスターなどで加盟店舗に紹介することが多いですが、クラウド型ストレージの通知機能を活用すればリアルタイムに周知が可能です。各店舗とのやり取りを添付ファイル付きメールではなく、共有リンクで行えるため、利便性やセキュリティ性が向上します。

 店舗ごとの売上データをパソコン以外にバックアップをとることで重要データの消失対策にもなります。

社内やオフィス

 クラウド型のファイルサーバーでは、社内で使っているフォルダの一部を支店などに共有する時など、アクセス権限の設定が簡単に行えます。既存のファイルサーバーに慣れている場合は、クラウド型のファイルサーバーでも同じような操作感のものを活用することで、業務効率を落とすことなく移行できます。

 データとパスワードをメールで取引先に送るよりも、上長の事前承認機能による共有リンク発行機能を利用すれば、よりセキュリティ的に安心なデータ共有になります。

まとめ

 今回の記事ではクラウド型のファイルサーバーの特徴・メリット・移行の際の注意点について紹介していきました。

 クラウド型ファイルサーバーは、新しくデータ共有サービスの導入を検討している企業にとっては導入時の工数や費用があまりかからず導入しやすく、すでに自社のファイルサーバーからの移行を検討している企業には、テレワークでの運用や長期的にみたコストダウンなどがメリットとしてあげられます。

 クラウド型ファイルサーバー(オンラインストレージ)のサービスを選ぶ時のポイントについて詳しく解説しているeBookもありますので、ぜひダウンロードしてみてください。

はじめてのオンラインストレージの選び方

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