ビジネスだけでなく家庭でも多くの人が利用しているWi-Fiは、無線LANの通信規格の1つです。現在では、無線LANといえばWi-Fiというくらいに浸透しています。
たとえば、スマートフォンでネットサーフィンをする場合、通常は携帯電話事業者のキャリア回線を通じて利用しますが、家庭に戻ったらインターネット回線と接続しているWi-Fiへ切り替えることで、キャリア回線の帯域(通信速度)を気にせずに映像や音楽を楽しむ、といったライフスタイルも一般的になりつつあります。また駅や商店街など、多くの人々が集まる場所では公衆無線LANサービスを活用する人も増えています。
オフィスへWi-Fiを導入すれば、デスクに縛られることなく、タスクに応じてPCを自由に移動できるようになるといったメリットがあります。また、最近では社員が私物のスマートフォンを業務に利用するBYOD(Bring Your Own Device)を許容する企業もあり、そのような端末を業務で使用するにはWi-Fiによる無線LANが必要となるケースが多いです。
すでに多くの企業が導入しているWi-Fiのうち、現時点で最新規格であるIEEE 802.11acではギガビット単位での高速なデータ通信が可能です。基本的に、Wi-Fiはアクセスポイントに一度接続すると、その設定をPCやスマートフォンなどのデバイスが記憶するため、次回からは自動的に接続できます。オフィス内のどこにいても、いつでもネットワークに接続するWi-Fiは、スマートオフィス(ITを活用してつくる環境配慮型省力化オフィス)に必須のインフラの1つとなっているのです。
来客へのおもてなしになるWi-Fiの提供
オフィスへのWi-Fiの導入は、社員のためだけではありません。Wi-Fiを来訪者も利用できるように開放することは、おもてなしの1つともなりえます。
たとえば、レストランやショップなどの店舗。そういった店舗に訪れるお客さまの多くは、スマートフォンを利用しているでしょう。レストランでは提供された食事を撮影してInstagramにアップする、ショップで贈り物を探しているような人は、気になる商品を見つけたらそれを撮影して友人と相談するなどといったことがあげられます。そんなスマートフォンを使ったコミュニケーションは日常的な光景です。
来店されるお客さまは、スマートフォンでコミュニケーションをしたいというニーズがあるでしょう。それに応えるWi-Fiの提供によって、お店の情報を拡散してもらえることにつながるかもしれません。
一般的な企業であっても、打ち合わせなどで来社する社外の人に対してWi-Fi接続を許可することで、来訪者の利便性を上げ、交渉がよりスムーズに進む可能性もあります。現在では、モバイルルーターを持ち歩くビジネスパーソンも増えていますが、オフィスビルの高層階や奥まった会議室では、モバイルルーターがうまく動作しないこともよくあります。そのような場合に、社内の安定したWi-Fi接続を提供することで、打ち合わせが効率化し、結果的にビジネスチャンスを活かすことにつながります。
Wi-Fi提供には安全性の確保が必要
店舗やオフィスで来訪者がWi-Fiを利用可能とすることは、利用者だけでなく提供する側にもメリットがあります。しかし一方でセキュリティには配慮しなければなりません。来訪者にWi-Fi接続を許可するということは、社内ネットワークへのアクセスも許容してしまうリスクがあるのです。
基本的に、Wi-Fiを使ってインターネットに接続するということは、「インターネット接続が可能なネットワーク環境へ接続を許可する」ということになります。つまり社内ネットワークへの接続や、接続している他の端末への接続が許可される可能性があります。外部には見られたくない内部資料へ、来訪者もアクセスが可能となっているかもしれません。
Wi-Fiは、ビジネスチャンスを活かすメリットが大きい一方、通信傍受やネットワークへの接続許可の切り分けなどのセキュリティをどう確保するかが大きな課題となります。社員および来訪者のメリットを提供しつつ、お互いのデータ通信の安全性を確保できるような無線LAN設備の保守が要求されるといっていいでしょう。
そのためには、Wi-Fiだけでなく、ネットワークの運用・保守に関連した専門知識を有するスタッフを確保する必要がありますが、社内でそういった人材を継続的に確保することが困難な企業も多くあります。
人材の確保が難しい場合には、Wi-Fiの導入から運用保守管理を一手に引き受けてくれる外部の専門業者によるサービスを活用するのも手です。社内セキュリティはもちろん、来訪者がWi-Fi接続する際の安全性の確保など、自社に適したWi-Fi環境を提案してくれるでしょう。
※掲載している情報は、記事執筆時点(2018年3月20日)のものです。
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