自社の情報やシステムを守るため、ウィルス対策ソフトなどを導入している企業も多いでしょう。しかし、企業のウィルス感染の事故報告は今も起こっているのです。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の2015年の調査では、約17%の企業がウィルスに感染する被害に遭っています。企業が安全なシステムを構築しようと対策をしているのにもかかわらす、2010年以降、被害件数は増え続けているのです。
現状の対策を見直して、より安全なシステムにするにはどうしたらいいのか、考えてみましょう。
ウィルス対策ソフトのパターンファイルは更新していますか?
ウィルス対策ソフトを導入しただけで安心してはいけません。最新のウィルス対抗策を施したパターンファイルを更新しないと、時がたつにつれて危険性がどんどん上がっていきます。ここで、パターンファイルの更新を怠っていた2人のケースを見てみましょう。
パターンファイルの更新を怠っていたAさんは、デスクトップ画面に見慣れないアイコンを発見。なにげなくクリックするとセキュリティソフトが立ち上がりました。しかし、これは偽のセキュリティソフトで、パソコンが乗っ取られた状態に陥ってしまったのです。すでにウィルス対策ソフトでは改善できない状態にあり、パソコンを工場出荷状態に戻さなくてはなりませんでした。
また、パターンファイルの更新を怠っていたサッカーファンのBさんは、あるサッカーチームの偽Facebookページにログインしてしまいました。パターンファイルを更新していなかったので、当然警告は表示されません。幸い直接的な被害には遭いませんでしたが、Facebookで利用しているID・パスワードが盗み出されていたら、サービスに不正ログインされてしまい、後日さまざまな情報が流出するかもしれません。
2つの例は、特別なケースではありません。パターンファイルの更新を怠っているといままで蓄積したデータのすべてを失うことはもちろん、ウィルスの種類によっては他人のパソコンを被害に巻き込んでしまうこともあるのです。
ウィルス対策ソフトは基本的に、自動的にパターンファイルを更新してくれるものです。しかし、料金を定期的に支払わないと、自動的に更新されなくなってしまいます。それどころか、パソコンの処理が重くなるからと、自動更新設定を故意に解除しているケースもあったりします。
クラウドを活用したウィルス対策が便利
かといって、システム管理者が全社員のパターンファイルの更新状況に目を配るのは困難でしょう。そのような悩みを解消するのが、クラウドで提供されているウィルス対策ソフトの活用です。
クラウドのウイルス対策ソフトでは、パソコン本体には脅威の発見に必要な情報だけを保存し、ソフト自体はクラウド上に存在します。これにより、パソコンの処理が重くならず、快適な操作性が得られるのです。
さらに、パターンファイルはサービス事業者が常にクラウド上で最新の状態にしているため、社員自身でパターンファイルを更新するよりもさらに安心・安全といえるでしょう。
クラウドでのウィルス対策ソフトでは、コンピューターウィルス対策はもちろん、フィッシング対策、有害サイトの表示規制、スパイウェア対策、個人情報漏えい対策、不正アクセス対策や迷惑・詐欺メール対策ができるものもあります。うまく活用すれば、企業全体のシステム管理が容易になることにも夢ではありません。ぜひ利用を検討してみましょう。
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