地方自治体のもとには、住民から日々問い合わせが寄せられています。その中でも特に多いのが、マイナンバーカードと粗大ゴミ関連の問い合わせです。今回は、自治体に寄せられる問い合わせを、コールセンターのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)で効率化する方法と導入事例を紹介します。
マイナンバーカードが自治体の業務を忙しくしている?
「マイナンバーカード」は、2016年から交付が始まっていますが、2021年2月1日時点での交付率は41.8%(総務省HPより)で、普及に時間を要しています。政府は2022年度末までにマイナンバーカードをほぼ全ての国民に行き渡らせることを目指し、普及のためのキャンペーンを継続的に行っています。
2021年には、健康保険証としての機能がマイナンバーカードに付与され、今後は運転免許証などの機能も付く予定となっています。2022年1月からは、カード所有者に最大2万円分のポイントを付与する「マイナポイント事業」の第二弾がスタート。今後はますます、住民から自治体に問い合わせや交付対応業務が増えることが予想されます。
マイナンバーカードの普及が進まなかった理由のひとつに、カードを持つことの利便性と機能が周知されていないことがあります。カードを作ることの価値や、申請~交付手続きに関して疑問を持つ住民への理解を促進するためにも、問い合わせを受け付けるコールセンターが担う役割は大きいといえます。
とはいえ、コールセンターに問い合わせが集中すると、電話は繋がりにくくなってしまいます。たとえば、2020年の特別定額給付金の申請時は、マイナンバーカードのパスワード再設定などで、各自治体が対応に追われたことがニュースになりました。
コールセンターへの問い合わせの集中を避けるためには、電話以外の問い合わせチャネルを設け、PCやスマートフォンの扱いに不慣れな人を支援するなど、誰もがスムーズに手続きを進められる環境を用意することが欠かせません。
粗大ごみの受付も業務の負担になっている
粗大ごみ回収に関する問い合わせも、マイナンバーカードと並んで、自治体のコールセンター業務の負担が大きいもののひとつです。
粗大ごみの回収は、多くの自治体で有料化されていますが、ごみの種類によって回収料金が異なり、さらには回収のための事前予約が必要なケースがあります。電話予約の場合であれば、自治体の職員は一件ごとに対応しなければいけません。
近年では住民サービス向上の観点から、自治体HPやメッセンジャーアプリ、チャットなど、電話以外のチャネルから申し込める自治体も増えています。しかし、高齢者などITリテラシーが高くない住民のためには、引き続き電話対応も必要です。
粗大ごみの回収にあたっては、受付、収集、管理が一元的に対応できていないという課題もあります。さらに、年末など季節要因による受付の増加に対し、職員が対応しきれなかったり、収集先住所の確認や収集物料金の計算に時間がかかるといった課題も発生しています。抜本的な業務効率化が求められているといえるでしょう。
すでにコールセンターを「BPO」にしている自治体もある
こうした自治体のコールセンター業務の負担を軽減する方法は存在します。それが、冒頭で触れた「BPO」です。BPOによって、業務プロセスを丸ごと外部企業にアウトソーシングすれば、自治体の負担を抑えることが可能です。
たとえば横浜市では、粗大ゴミ回収の申込み受付や問い合わせ対応業務にBPOを導入しています。委託された企業は、デジタルツールを活用して、粗大ゴミ収集受付業務を実施。市民からの電話を、IVR(自動音声受付システム)で受け付け、そこからウェブ申込み・チャットボット・FAQなどに誘導し、自己解決を促しています。もしも解決できなかった場合は、有人チャット・メール・電話へ誘導。さまざまなチャネルを連携することで、コールセンター業務をスムーズかつ効率的に行っています。
BPOは、マイナンバーカードの問い合わせについても対応できます。ある市では、コールセンターの運営支援はもちろん、個人番号カード交付会場の運営やカード配送、交付運用までワンストップでアウトソースをしているといいます。
BPOを利用すれば、自治体の職員の負担が軽減されるだけでなく、手続きの円滑化も図れて、住民へのサービス向上にもつながります。「コールセンターBPO」という解決法があることを、覚えておいて損はないでしょう。
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連載記事一覧
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