2017.03.30 (Thu)

このオフィス用品がすごい!(第6回)

単機能だけど奥深い「テープカッター」の世界

posted by 大久保 通

 セロハンテープをカットするために、デスクにテープカッターを備えている人もいるでしょう。テープカッターは、引き出したセロハンテープをカットするというシンプルな機能ではありますが、意外と奥深い構造になっています。

 たとえば、テープカッターの先端に付いているギザギザの刃は、厳密にいえばテープをカットするものではなく、テープに小さな穴を開けるためのもの。その小さな穴をさらに引っぱり続けることで、穴が拡大し、テープが引き裂かれることで、結果的にテープを切ることができているのです。

 今回は、単機能ではありながらも奥深いテープカッターの中から、個性的な製品を3点紹介します。

切り口が直線に、力を入れる必要もなし「直線美」と「カルカット」

 テープカッターでカットしたテープは、前述の通り刃で小さな穴が開くため、切り口はギザギザに仕上がります。しかしこれだと、テープを貼った跡がギザギザで目立ちやすくなってしまい、見栄えが悪くなります。また、テープを引っ張る際には、テープを引き裂くために力を入れる必要がありました。

 こうした従来のカット方法の問題点を解決したテープカッターが、ニチバンの「直線美」と、コクヨS&Tの「カルカット」です。

 この2製品に共通しているのは、一般的なテープカッターよりも刃先を精密な構造にしている点です。直線美は、直線的な刃の先にプレス加工を施し、わずかなジグザグを付けています。この刃の上にテープを置いて引くことで、引き裂く動きが左右へ連鎖し、テープがカットされます。従来のギザギザの刃と比較しても、少ない力でカットでき、切れ目も直線的になります。

 いっぽうカルカットの刃は、金属を腐食させる「エッチング」技術により、従来よりも刃のギザギザを細かく鋭利にしています。刃先がテープに垂直に入るため、軽い力でカットでき、切り口もすっきり仕上がるといいます。

 ちなみにテープカッターの刃は消耗品であり、直線美、カルカットとも専用の替刃が販売されています。一般的なギザギザの刃に比べると、実売価格は約2倍以上と高価。まさに刃が「命」の商品であることが分かります。

「切る」と「貼る」が片手でできる! アイデア商品「ハリマウス」

 続いて紹介するのが、直接テープに触れずに、片手で切れて貼れるテープカッター「ハリマウス」です。製品化するまで5年をかけて開発された商品で、京都在住のグラフィックデザイナーが営む同名の企業から発売されています。

 ハリマウスは、修正テープやテープのりのような感覚で、セロハンテープが貼り付けられる製品です。本体内部には、12mm幅のセロハンテープが格納でき、本体上部を押さえながら貼付面上をなぞると、ローラーでテープが引き出され、面に貼られていきます。必要な長さを貼り終えたところで本体上部から指を離すと、バネの力で内部のカッターがテープを切断する仕組みになっています。

 つまり、テープを引っ張って刃でカットするというテープカッターの基本動作がまったく必要なく、テープを貼りたい面をなぞるという手軽な操作で使える点が特徴です。メーカーでは操作の手早さを“ひと貼り1秒”と謳っています。

 本体は手のひらサイズと小型なため、内蔵するテープは12mmの小さなものに限られます。メーカーからは、ハリマウス専用の交換用のテープも販売されています。

自動で回る円盤が作業をサポート「ZCUT-870」

 梱包や発送作業などで大量のテープを使う際には、手でカットする作業が面倒になります。そんな時に便利なのが、自動でテープをちょうど良いサイズにカットしてくれる、電動のテープカッターです。

 その電動テープカッターの世界で、ひときわ異彩を放っているのが、ヤエス軽工業の「ZCUT-870」です。テープのオートカッター機能に加え、レコードプレーヤーを思わせる円盤状のターンテーブルを装備しているのが最大の特徴です。このターンテーブルが断続的に回転し、カットされたテープが自動で貼りつけられていきます。これにより、ユーザーはすぐテープを手に取って使えるという仕組みになっています。

 テープは本体に搭載された上下の刃で強力にカットするため、紙・フィルム基材のほか、ガラスクロステープなどにも対応しています。業務用なので、実売価格は7~8万円と高価ですが、テープを大量に使う場合、厚くカットしづらいテープを扱う場合には重宝するでしょう。

 テープを「切る」「貼る」という単純な2つの動作にも、効率性や快適性を高めた商品があります。もしテープを使った作業に面倒臭さを感じた場合は、今回取り上げたテープカッターに買い換えてみてはいかがでしょうか。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2017年2月27日)のものです。

大久保 通

大久保 通

フリーライター。地方紙・業界紙での記者経験を経て独立。企業取材、インタビューを中心に幅広く執筆活動を行っている。

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