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2023.11.09 (Thu)

自治体ならではのICT活用(第5回)

自治体DX推進のためのBPR有効活用法

 組織の業務にデジタルソリューションを導入し、業務効率やその内容、組織体制などを改革していくDX。自治体の庁内業務においても、さまざまなDXの取り組みが始まっています。自治体DXの推進において有効な手法の一つが「BPR」です。本コラムでは、自治体におけるデジタルソリューションの活用方法、その中で生かせるBPRの仕組みと、自治体DXの課題や成功のためのポイントについて紹介します。

自治体で進む「自治体DX」とは何か

 新型コロナウイルス感染症拡大時、感染者への対応において各組織が保管するデータの横断的な活用が十分にできなかったなど、さまざまな課題が浮き彫りになったことから、自治体に対して「自治体DX」の推進が強く求められるようになっています。デジタル社会の実現のために生活者に身近な行政を担う役所の役割が重要視されていて、そのスムーズな業務をサポートするのが自治体DXです。

自治体DXの取り組みについては、次の2つの観点があります。

(1)自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して、住民の利便性を向上させること
(2)デジタル技術や AI 等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていくこと

これと並んで、総務省が策定した「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」では、自治体の重点取り組み事項として「自治体の情報システムの標準化・共通化」「自治体の行政手続きのオンライン化」、その他の施策として書面・押印・対面業務の見直しを前提とした「BPRの取組みの徹底」が挙げられています。

自治体DXに欠かせない「BPR」推進の手法

 自治体DXBPRは、「Business Process Re-engineering(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)」を略したもので、「リエンジニアリング」は既存の方法を抜本的に改革することを意味します。つまり、業務が本来果たすべき目的に向かって既存の方法や制度、組織の構造などを根本から見直し、業務フローや体制、運用システムなどを総括的に改革していく手法ということです。

 「業務改善」では、現行の方法を維持しながら一部を見直して効率化を図りますが、BPRでは、組織が抱える課題や弱点を特定の部署だけではなく全体を通して根幹から改善するため、業務効率化や生産性向上における大幅な成果を見込めます。

 BPRをスムーズに進めるためには、適切なプロセスに沿って取り組むことが大切です。BPRの一般的なプロセスは、「検討、分析、設計、実施、モニタリング・評価」の5段階。特に、「検討」段階の目的・目標の設定、「分析」段階の分析・課題の把握、「設計」段階の戦略・方針の策定、「実施」方法の検討が重要とされています。

 BPR推進過程において欠かせないのがデジタル技術の積極的な活用です。例えば、パソコンによる事務作業をソフトウェアロボットに任せて自動化する「RPA:Robotic Process Automation」の導入です。単純だけれど量の多い作業などをRPAに置き換えることによって、職員は、複雑な判断を要したり付加価値の高い業務に専念することが可能になります。こうしたDXを、BPRの手法と合わせて進めることで、より迅速に業務の改善が促されていくはずです。

 同時に、業務の流れや部署同士の連携状況、フローを可視化し、優先順位をつけて再構築する、場合によっては部分的にアウトソーシングを検討するなど、組織体制の整備も行う必要があります。その準備段階として、何を目的としてBPRを行うのかを明確に把握し、中長期のスパンで各部署をリードしていける人材の育成も重要です。

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自治体DX+BPRの実践事例

 ここで、自治体DXとBPRを実践している自治体の例を紹介します。

 綾瀬市では、職員不足という大きな課題を抱えていました。この課題を解決するために、BPRやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を推進・活用して職員の働き方改革を進め、人にしかできない業務へ人的資源を集中させ、職員負担の軽減や住民サービスの向上を図ることを検討。まずはスモールスタートではじめ、最終的にはDXを自走化できることを目標に、DXコンサルティング・伴走支援を受けることになりました。

 職員研修では、実際に職場で困っていることを題材にワークショップを行い、その結果をもとにして市の公式LINE導入・電子申請システム導入という成果が生まれました。電子申請システムは、フォームの作成やメンテナンスを職員自ら行えるもので、それまで約180時間必要だった対応時間が、43時間へ大幅に短縮。他の課からも「行政手続きをオンライン化したい」という相談が来るようになったそうです。

 福島市は、AI-OCRとRPAを連携させることで介護保険業務における帳票入力業務の効率化を実現しました。職員の作業負荷軽減のために、以前から業務委託やバッチ処理を導入してきましたが、どうしても手作業が残る部分が存在していました。効率化を検討する中で注目したのがAIーOCRとRPAでした。

 導入対象とした業務は、帳簿入力が多い介護保険の申請受付です。業務量が膨大で月初に集中していたため繁忙期には2~3人が専任で入力作業を行っていましたこの業務を、NTT東日本のAI-OCRサービス「AIよみと~る(LGWAN接続タイプ)」を利用して効率化しました。読み取り精度だけではなく、将来のマイナンバー対応や充実したサポート体制も導入を決定するポイントになりました。

自治体DX成功には「デジタル人材確保」がポイント

 自治体DXを成功に導くためには、以下のポイントを考慮して、取り組むことが大切です。

 1つ目はデータ活用と情報共有の重要性です。DXの目的はITソリューションを導入し、業務をデジタル化することだけではありません。デジタル化によって蓄積される多くのデータは、今後の業務改善やさらなる効率化を実現するための重要なソースになります。加えて、各組織が保有するデータをセキュアな環境で、必要な人がすぐ使えるよう共有できれば、職員の利便性は向上し、住民へのスムーズなサービスの提供にも寄与します。

 2つ目は、デジタルスキルを習得し、経験を積み重ねていくことです。DX推進に資する新たなテクノロジーやシステムの開発が進む中で、それらを活用する側に求められるスキルも日々変化しています。データ活用や、より組織の業務にマッチしたDXを実現するためには、積極的にデジタルスキルを習得し、取り組みを重ねていくことが大切です。

 3つ目は、DXを進めるための「デジタル人材」の確保です。自治体に限らず民間企業でも、DXを効果的に進めていくためのデジタル人材の確保が必要不可欠となっていますが、労働人口の減少なども伴い、どこも苦戦を強いられています。

  この問題を解消するため、各組織内でデジタル人材を育成するための投資が進む一方、外部人材・サービスの活用にも注目が集まっています。最近では、自治体DX全般に向けたコンサルティングサービスなども登場。導入システムの構築だけではなく、その運用や保守、デジタル人材育成などを幅広くサポートしています。

 自治体DXが進めば、住民への対応の質の向上はもとより、職員の時間外労働短縮といった職場環境の改善効果も見込めるでしょう。外部サービスの活用も一手としながら、今後も自治体にはBPRを伴うDXのさらなる推進が期待されています。

自治体DXの導入事例資料をまとめてダウンロード

自治体DXの推進には、先行している自治体の事例が参考になります。ここでご紹介するのは、自治体のDX事例資料をおまとめしたセットです。何を導入し、業務がどの程度効率化できたのか、ぜひご自分の目で確かめてみてください。

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