AI・IoT最新事情(第2回)

AIを使った文字認識で、手書き書類の処理時間を短縮!

posted by Biz Drive編集部

 手書きの注文書や申込書などの情報を社内システムへ入力するといった作業は、人手がかかるとともに間違いが起こりやすいのが課題です。納品書や請求書など金銭取引と連携しているなら、より作業の正確さが必要となります。間違いを起こさず、正確に作業を行うことにより、手書き書類の事務処理で多くの時間を費やす企業も少なくありません。

 それら書類・帳票の事務処理の効率化を図る手段のひとつに、書類をスキャナーなどで読取り、自動でテキストデータ化するOCR(光学的文字認識)ソフトの導入があります。しかし従来のOCRソフトは、PCで入力された文字(活字体)による定型化された書式が前提となっており、手書き文字の読み取りでは精度が下がる傾向がありました。また読み取ったとしても、正確さが必要な業務では、人手による確認・修正作業が伴い、OCRを導入しても人手・時間などのコストを抜本的に見直すことは難しかったのです。

 このようなOCRソフトの課題を、AI(人工知能)によって解決したのが、AI-OCRです。AI-OCRによって、書類の事務処理はどのように変わるのでしょうか? AI-OCR導入のメリットに加え、運輸・運送業と卸売業など、まだ手書き書類が広く使われている業界での活用例について紹介します。

AIによって、手書き文字の読み取り精度が向上

 活字体の読み取りを前提としていた従来のOCRに比べ、AI-OCRは「手書き文字」の読み取り精度が高いことが特長です。これはAIの機械学習のひとつであるディープラーニング(深層学習)という仕組みによるものです。ディープラーニングの得意分野に「画像の分類」があります。文字の形を画像として、さまざまな形状の手書き文字を学習していくことで、初めて読み取る文字と、これまで学習した文字から似ている特徴を探し出して判定を行うようになるのです。

 さらに業務を重ねていくと、その過程でよりさまざまな文字の特徴を学習し、認識率も高まっていきます。癖字や悪筆などに対しても、だんだんと読み取れるようになっていきます。この仕組みによって、AI-OCRは手書きの書類でも精度高くテキスト化できるのです。

 AI-OCRでは、テキストデータに限らずCSVデータなど複数のファイル形式に対応していることがあるので、基幹システムなどへの入力もより容易になる可能性を秘めています。従来のOCRソフトでは、テキストデータからCSV形式などへのデータ変換を行えるのは、申込書類などのように記入箇所が定型化された書類のみでした。AI-OCRの深層学習は、文字だけでなく、文字の場所や内容からどのような情報なのかを学習することもできます。事前に「これらの文字・数字・記号が並んでいると住所や電話番号、メールアドレスである」といった法則を学習させれば、基幹システムなどへ適切な順に入力させることも可能なのです。

 このようにAI-OCRで読み取りからシステム入力までを自動化できれば、手書き書類の事務処理にかかる手間の見直しを期待できます。

活用例:運輸・運送業では、配車計画策定までを効率化

 運輸・運送業では、手書きの運送状がまだ広く使われています。納品書やドライバーからの運行日報なども手書きである場合、それらのデータ入力に人手が必要となります。一部の企業ではOCRを導入し、運送状の書式を統一する、マークシートを使って手書き文字で記入する箇所を減らす、文字のマス目を印刷して大きさを揃えるといった工夫を凝らしてきました。しかし、それでも送り先(住所)などの読み取りで、確認・修正作業に一定の手間が発生することは避けられず、抜本的な改革までは至っていません。人の手に頼った運送状の事務処理に時間がかかると、配車計画の策定にも影響が生じます。

 運送・運輸業界でAI-OCRを導入した場合、運送状が手書き文字、非定形などに関わらず、読み取りからCSV形式などへのデータ自動変換まで行えることがメリットとなります。同時に、配車計画に必要な情報抽出の業務効率化も期待できます。それによってより適切なタイミングでの納期回答が実現できれば、顧客サービスの向上にもつながります。

 納品書や日報の事務処理では、深層学習によって読取精度が向上するため、確認・修正作業にかかっていたコストの見直しが可能となるでしょう。CSVデータへの自動変換を活用すれば、帳票入力システムなど基幹業務の効率化も期待できます。

活用例:卸売業では、FAXでかすれた手書き注文書の苦労から解放

 小売店などからの注文書がFAXで送られてくるケースはまだ多いでしょう。このような書類の処理は従来のOCRソフトの苦手分野であるため、人が書類を読み取り、在庫管理や配送システムなどに入力するしかありませんでした。

 AI-OCRであれば、手書きのFAXであっても深層学習を繰り返すことで読み取り精度が向上します。書式が非定形でも、自動でCSV形式などのデータが作成できるため、スピーディな在庫管理システムや配送システムへのデータ入力の自動化も期待できます。自動化を図ることができれば、経理の帳票投入や請求書作成など、別部署の業務効率化にもつながるでしょう。

 AI-OCRは、深層学習によって従来のOCRソフトでは実現できなかった事務処理業務の効率化が期待できます。手書き書類や非定型の書類を多く扱う方は、検討してみる価値があるといえるでしょう。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2019年1月28日)のものです。

 

Biz Drive編集部

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