2019.01.07 (Mon)
今、中小企業が取り組むべき課題
【COMPASS presents】人手不足を乗り越える
働く人が減っていく今、
企業はどんな手を打てばよいのか?
「予定していたスタッフが休むと店が回らなくなる」
「なかなか若い人が入社してくれない」
以前に比べて人の確保に苦労していませんか。熟練者が少ないので仕事の依頼があってもセーブせざるを得ないという話も耳にします。
それもそのはず、日本の人口は減少局面に入ってきました。2050年には総人口が1億人を下回るという予測があります。
データで確認!日本の人口
次のグラフをご覧ください。
- ※2018年以降:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年4月)」(出生中位・死亡中位推計)
- (出典)2017年まで:総務省「国勢調査」、「人口推計(各年10月1日現在)」
(総数には年齢「不詳人口」を含み、割合は年齢「不詳人口」を按分補正した人口による。1971年以前は沖縄県を含まない。)
グラフで注目したいのは、ピンク色のラインです。「生産年齢人口」と呼ばれる15歳~64歳の人々、つまり「働き手になりうる世代」です(65歳を超えても元気に働いている方が多数いらっしゃいますが、統計上の区分ということでご理解ください)。
1995年に8700万人を超えていた生産年齢人口は、2020年には7340万人へ。単純計算で2割減です。2030年には6000万人台になると予測されています。
1973年に200万人を超えていた出生数が、2015年は100万人と約半数になっています。生まれる子どもが少なければ、働く人は減り続けます。
これは現実に起きていること。日本は人口増社会から人口減社会に切り変わったのです。
企業経営にも変化が求められます。
「求人すれば人がきてくれる」前提ではなく、「少ない人手でどう工夫していくか」を考える時代になりました。
働き手の減少は国内消費者の減少にもつながります。
人口減時代の経営視点
中小企業の経営求められる変化を3つ挙げましょう。
- 少ない人数で同等以上の仕事をこなせるように業務の進め方を変える
- 人材が集まるように会社の魅力をアップする(高齢者をはじめ多様な人材が働きやすい職場にする)
- 購買側も人口が減るので、新たな顧客(来店数、取引先)を開拓するため工夫・魅力的な商品開発を行う。
一人の人が多様な業務をこなせるようスキルアップを支援したり、最新の設備を導入して効率化を図るなどの対策が求められます。並行して、徹底活用したいのがICT(情報通信技術)です。
ここでは、どの会社も急務である、1の「少ない人数で仕事をこなす対策」に注目してみます。
ICTの技術・サービスは年々進化しています。
企業が活用するICTの分野では、まず業務用のソフトが充実してきたことが挙げられます。インターネットを通じてソフトウェアを「持たずに使う」クラウド型のサービスが増えました。初期投資や運用の負荷を軽減することが可能となり、「中小規模の企業には敷居が高い」といった課題も解消されてきています。
業務用のソフトウェアを活用すると、人が行っていた手書き・転記、照合などの事務作業――たとえば、FAXで発注していた仕事を簡単な操作でネット発注できたり、手書きしていた宅配便の伝票を登録した顧客データから印刷できたり、請求書発行の際に受注内容を呼び出して記載したりなど――をコンピュータに任せることができます。
申告や届出も電子化され、役所等に出向かずにパソコン上で完了させることも可能です。最近は、勤怠管理のデータを給与計算に反映するなど、データの連携による効率化も図られています。
会計、給与、勤怠、人事などのバックオフィス業務、販売管理や顧客管理などは、真っ先にICT化してほしい分野です。人の力は、ICTにはできない仕事に投下したいものです。
逆にICT活用で代替できる仕事をまだ人海戦術で行っていたら、人を確保できないと業務が進められず、競争力が低下してしまうでしょう。
現場の業務も効率化できる
タブレットやスマートフォンの登場で工場や店舗、訪問先など、現場の業務にICTが活用できるようになりました。
オフィスに戻らなくても業務が完結して効率が上がったり、人の手を介さずに自動的にデータを取得・活用するIoTで新しい仕事の方法が見つかったりしています。
例えばお客さま先に出向くメンテナンス業務を考えてみましょう。
現場で作業した内容の報告書をスマートフォンから専用アプリに入力し写真と合わせて本部に送信すれば、社に戻ってパソコンに向かい報告書を書く時間は削減されます。
以前は会社に戻るための移動や報告書作成にあてていた時間をもう1~2件訪問を増やすことに充てたり、残業時間の削減を図ることができます。
店舗では、POSレジや在庫管理をタブレット+アプリで手軽に使えるようになり、閉店後に値札を集計せずとも、単品管理が可能になりました。
IoTの活用では、自動的にデータを収集する特徴が直接、人手不足対策になります。
農地の見回りに苦労していた農家が、IoTによる湿度や温度の管理、カメラによる監視などの導入により、少ない人手で農産物の収穫率を上げる成果を出しています。
ICT活用への着眼から
このように、人手不足への対策には、ICT活用への着眼が不可欠です。
まずは、「働き手が減る社会」の到来を受け止めこれまでの仕事のやり方を変えていく決意をしましょう。そして、最新のICTでは何ができるのかサービスや活用例を知って、積極的に取り入れていきましょう。
人口減社会を乗り越える一歩はここから始まります。
今より少ない人数でも同じ売上を上げることができれば、その分会社の利益は増え、働く人々にも給与面で還元することができるでしょう。
これは今、国が盛んにメッセージを発信している生産性向上の実現でもあります。
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