2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2022.03.17 (Thu)

製造業の課題をAI、ネットワークで解決(第1回)

AIは労働人口が減り続ける日本の救世主となるか?

 人手不足の企業が限られた人材で業務を遂行するには、既存業務の効率化や生産性向上が欠かせません。こうした課題を解消するべく、AIを含むデジタル技術に大きな期待が寄せられています。本稿では、AIの活用状況やメリットを踏まえながら、同技術でできることを整理していきます。

製造業の就業者数は年々減少。効率的なアウトプットのためにAIが必要

 少子高齢化社会へ突入した日本では、将来の労働人口不足が懸念されています。特に製造業は人材不足が指摘されており、2021年発表の「ものづくり白書」よると、2002年時点では1202万人いた製造業就業者数が、2020年には1045万人にまで減少しています。さらに、34歳以下の製造業就業者数は、2002年から2020年の間で約125万人減っています。

 この傾向を鑑みると、製造業の就業者数は将来的にもっと減少が続いていくでしょう。製造業の各社は、限られた従業員でも業務を遂行し、従来以上の効率的なアウトプットをし続ける必要があります。

 少ない労働力でも効率的にアウトプットするためには、デジタル技術の活用が不可欠です。政府は現在、付加価値創出と社会問題解決における具体策として、最先端のデジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を掲げており、AIやIoTといった技術の活用を推進しています。製造業では「技能継承」「予知保全」「生産最適化」「販売予測」「研究開発」「顧客データ分析」といった点で、AI技術の活用が期待されています。

 海外では、ドイツやフランス、中国などが、AIなど最新のデジタル技術を活用し、国を挙げた製造業の強化に取り組んでいます。これまで品質の良さを強みとしてきた日本企業も、新たに市場に参入してくる企業や海外企業との競争にさらされる可能性は高くなってきています。

 日本の製造業が、これからも品質を維持しつつ、コストでも競争力を発揮するためには、AI技術の活用は欠かせないといえるでしょう。

AIは人間に取って代わるものではない

 とはいえ、AIがすべての問題を解決してくれるわけではありません。AIはあくまで機械学習のアルゴリズムをベースに作られたプログラムであり、確率や統計学などの手法を駆使しながら計算された答えを出している計算式に過ぎません。AIの限界を理解したうえで利用する必要があります。

 よくあるAIに対する誤解として、「AIを使えばすぐにメリットを享受できる」というものがあります。実際のところ、AIがもたらす恩恵を受けるためには、導入からしばらくの時間が必要です。なぜなら、自社に適したAIを導入するためには、事前に目標や計画を立て、それに沿った学習など細かなチューニングをする必要があるからです。

 さらに、「AIを導入すれば人は不要」という誤解を抱く人もいるかもしれませんが、AIは人間に取って代わるものではありません。たしかにAIは、なんらかの法則に基づいた判断や処理の自動化は可能ですが、専門知識が必要な業務や、過去に例がない事柄などでは判断を誤ることもあります。人間の力は、たとえAIがどれだけ進化したとしても、引き続き必要です。

日本はAI導入が遅れている。しかし、焦ることはない

 AIが得意とするのは、学習する過去のデータが存在しており、何らかのルールに基づいて計算を行い判定できること、および数値化(定量化)したものを推論することです。画像認識・音声認識の分野においてAIによる計算処理が活躍しているのは、画像や音声がデジタルデータに変換できるからです。

 たとえば製造業であれば、今まで人が目視で判定していた検査業務も、AIが画像データによって検査する仕組みにすることで、業務を一部自動化できる可能性があります。

 すでに海外では、AIを業務に取り入れるケースが増えています。総務省が2018年に発行した「情報通信白書」によると、中国では85%の企業が、業務をAIに置き換えている、もしくはパイロット運用を行っていると回答しています。さらに、アメリカ(51%)、フランス(49%)、ドイツ(49%)でも、半数近い企業がAIを導入しています。一方で日本は39%と低い数値となっていました。

 すでに海外では、AIを活用した先端的の製品やサービスが登場しています。たとえば社内にAI研究所を設立したアメリカのある自動車メーカーは、ドライバーの人間性や運転時の体調、心理状態を数値化して分析した上で、走行をサポートする機能を搭載した自動車を開発しています。2022年時点ではテスト段階ですが、商品化へ向けて試行錯誤を繰り返しているといいます。

 AIの分野で海外の後塵を拝している日本ですが、かといって慌ててAI導入したとしても、すぐに恩恵を受けられるものでもありません。AIはあくまでもビジネスを円滑に進めるための手段のひとつです。「AIが流行っているから導入してみよう」と導入するのではなく、自社にAIを導入することでどのようなメリットが得られるのかを理解したうえで、少しずつ導入を進めていくのが良いでしょう。

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