2020.10.20 (Tue)
1から学ぶSDGs(第1回)
社会人なら押さえておきたいSDGsのキホン
近年、SDGsに対する意識が高まっています。SDGsを意識している企業の商品を好んで購入する人も、少なくありません。また、就職活動に臨む学生も「SDGsに取り組む企業を選ぶ傾向がある」と言われています。大企業だけでなく中小企業にとっても無視できないトピックスとなりつつあるSDGs、その基礎と取り組みの始め方を紹介します。
SDGsは地球を持続可能な状態にするための目標
SDGs(エスディージーズ)とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」で採択されたアジェンダに盛り込まれているもので、2030年までに地球を持続可能な状態にするための17の目標と169のターゲットが定義されています。
社会課題の解決と経済成長をまとめて扱う“新しさ”がウケた
SDGsが多くの企業や団体に浸透した理由は、親しみやすさにあります。「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」といった、多くの人が共感できるであろうシンプルかつ普遍的な目標項目、そして、カラフルなアイコン。瞬時に理解できるコピーと、目を引く華やかなデザインで人々の興味を引き、広く受け入れられました。
もうひとつのポイントが、社会課題の解決と経済問題がひとつのくくりで語られているところです。SDGsが登場するまで、社会課題の解決と経済の成長は、両立しにくい、もしくは対立しやすい項目であると捉えられてきました。「社会課題を解決しなければならないことはわかるが、優先すると利益を生み出せない」そんなジレンマを抱える企業が多く、社会課題の解決は後回し、もしくは「利益と関係なく行う慈善事業」という立ち位置を抜け出せなかったのです。
ところがSDGsの、例えば「8.働きがいも経済成長も」といった目標によって、多くの企業が、働きがいのある企業をつくり雇用を生むことで、経済成長と社会課題の解決が両輪で進んでいくことに気付きました。他に「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」など経済に言及した項目も多く、産業界が参加しやすい流れが一気に生まれたのです。
他に、“環境問題ネイティヴ”の世代が大人になりつつあることも影響していると言われています。生まれたときから地球温暖化、生まれたときから少子高齢化……、そんな時代背景のなかで多くの課題を目の当たりにし課題とともに育ってきた人は、「環境問題や社会課題を解決するのは当たり前である」という意識が強いとされています。
まずは企業ミッションの再定義から始めることが大切
大企業だけでなく中小企業や教育機関など、さまざまな組織・人々の間で広がりつつあるSDGs。「これから取り組みを始めたい」という企業は、どこから手をつけていけばよいのでしょうか。
まず最初に取り組みたいのが、企業のミッションを見つめ直すこと。提供する事業やサービスによって未来の社会にどんな影響やインパクトを与えたいのか、企業の志や原点はどこにあるのか、こうした部分を突き詰めて明らかにしていくことが重要です。また、そのミッションが全方位的に正しいかを精査することも欠かせません。「利益は出るけれど、社会によい影響を与えない」、「なんらかの社会課題は解決できるけれど、倫理的に問題がある」といった状況では、いずれ破綻してしまいます。企業にとっても、地球や社会にとってもwin-winのミッションを見いだすことが大切です。
ありがちなのが、ミッションの見直しや確認をせずに、いまある事業やサービスがSDGsの17項目のうちのどれに当てはまるかを考えてしまうこと。「8が当てはまる」、「13が近い」といった感覚で、事業やサービスを紹介するウェブページやカタログに該当するアイコンを貼り付けるだけでは、ポーズにしかなりません。いずれ事業やサービスとSDGsの間にズレが生じます。
事業やサービスといった「出口」に近い部分から考えるのではなく、ミッションや志といった最上流の部分から考えていくことが重要。定義したミッションや志を真剣に追求することで、その企業ならではの価値を含む、SDGsの意義を踏まえた、新しい事業やサービス、新展開、イノベーションが生まれるのです。
なにも難しく考える必要はありません。「始めたいと思ったら、まずは企業としての原点や志、正しさを研ぎ澄ます」。そこから自然と、SDGsへの扉が開いていくことでしょう。
連載記事一覧
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- 第3回 約9割の企業が参加、寄附からはじめるSDGs 2021.05.31 (Mon)