2018.03.14 (Wed)

仕事力を落とさないための食生活(第2回)

脳の働きを活かして健康的に中年太りを解消!

posted by たかはし かなこ

 イキイキと仕事し続けるためには、健康であることが欠かせません。多忙なビジネスパーソンなら、短時間でボリューム重視の食事や毎日同じものを食べたり、遅い時間の夕食で油っぽい食事を取ってしまうこともあるでしょう。ところが、こうした量もタイミングも不規則な食生活が続くと、体が疲弊してしまいます。特に脂肪は、体内に蓄積されてしまうので厄介です。

 そこで、多くの人はダイエットを始めるわけですが、ただ食事の量を減らしただけでは健康的とはいえません。結果を出すダイエットには、血糖値の変化を意識した食事方法が効果的です。極端な食事制限ではなく、食べ方を変えることでエネルギーの過剰摂取を予防するという方法です。習慣化することで健康な体づくりにつながります。

 本記事では、仕事力を落とさずに健康を維持するための、食事と食べ方について紹介します。

血糖値を急上昇させない食べ方

 おなかいっぱい食べたのに、しばらくすると甘いものも食べたくなるときがあります。これは、血糖値の変化が影響しているからです。人は血糖値が急激に下がるときに空腹を感じ、食事で血糖値が上昇すると空腹を感じなくなります。

 血糖値が急上昇すると、体は血糖値を下げようとするためインスリンというホルモンを大量に分泌します。そして急激に血糖値が下がるので、おなかいっぱいなのに空腹と感じてしまうのです。

 さらに、インスリンは体内にある使い切れない糖を脂肪に変え、体内に蓄える働きがあります。つまり、インスリンが大量に分泌されると太りやすくなってしまうのです。ですので、おなかいっぱい食べるのは避けたいところ。また、時間がないからと、丼ものや麺類といった炭水化物がメインの食事を噛まずに流し込むような食べ方も、血糖値の急上昇につながります。

 つまり、私たちが空腹を感じるのは、血糖値が急激に下がるときですので、血糖値の急激な上昇を抑えることが重要になります。このように急激な血糖値の昇降が起きなければ、空腹感を覚えず、間食でつい甘いものを食べてしまうことも起こりにくくなります。

ダイエットに欠かせない食物繊維を意識して食べる

 次に栄養面から考えてみましょう。栄養が消化・吸収されるメカニズムを利用するためにも、毎日の食事に野菜、きのこ類、海藻などを取り入れるのがオススメです。なぜなら、これらの食材には食物繊維が多く含まれているからです。

 食物繊維は、胃や十二指腸で消化されずに小腸から大腸まで届くという特徴があります。そのため、便秘の予防や便通を整えるといった整腸作用が期待できます。ほかにも、血糖値の上昇を抑え、血液中のコレステロールを減らすなど、体にとって有益な作用も持っています。

 次に栄養面を考えた食べ方の工夫ですが、野菜、きのこ類、海藻から食べ始めるようにしてください。なぜなら、食事で作られる糖の消化・吸収を遅らせる作用があるからです。次に肉類や魚類などたんぱく質を多く含む食材を食べ、最後に米、パン、麺類といった糖質の多い食材を食べます。食べる順番を変えることで、血糖値の上昇が緩やかになるのです。食物繊維は日本人が不足しがちな栄養素ですので、毎日の食事へ積極的に取り入れましょう。

夜遅い時間の食事で工夫したいこと

 夕食の時間が遅くなった際はどんな工夫ができるでしょうか。から揚げ、天ぷらなどの脂質、丼もの、パスタなどの糖質の多い食事を食べてしまうと、体は使い切れなかったエネルギーを脂肪としてため込もうとします。気を付けたいのは、同じ量の糖質を摂取しても、遅い時間になるほど、脂肪として蓄える量が増えることです。

 特に糖質は朝ほど消費しやすく、脂質は昼ほど消費しやすいという特徴があります。ですので、高エネルギーの食事は日中に済ませておくのがオススメです。

 もし遅い食事になってしまった場合は、肉類、魚類、卵、大豆製品などのたんぱく質、食物繊維を中心にした食事を心がけてください。米を食べたいときは、白米ではなく大麦や雑穀米に変えるのがオススメ。食物繊維を補うことにもなります。その上で、よく噛んで食べれば、血糖値の上昇も緩やかにすることができます。

ダイエット継続には6時間以上の睡眠が欠かせない

 ダイエットを無理なく続けるコツは、食べる順番や食べるものへの意識を習慣化することです。「ダイエットを習慣化するには、66日間続けることが必要」とする研究結果があるように、食欲や行動をコントロールするためには、脳の働きも不可欠です。

 これを心理学の分野では「ウィルパワー」と呼びます。長期的な目標達成のために、短期的な誘惑に抵抗する脳の力のことです。このウィルパワーは、体力と同様に消耗する特徴があり、睡眠不足でも低下することが分かっています。

 ダイエット中の睡眠時間が6時間以上とれていると、ウィルパワーによって短期的な誘惑に打ち勝ち、体脂肪が減りやすい傾向にあるといわれています。逆に睡眠が6時間以下になるとウィルパワーも低下し自制心が弱くなり、誘惑に負けやすくなってしまいます。

 このように、ダイエットを成功に導くためには、脳の働きを活用することがオススメです。そして、脳の働きを維持するためにも6時間以上の睡眠が重要になってくるわけです。

 仕事力を落とさないダイエットには血糖値を急上昇させない食べ方、ウィルパワーを意識した睡眠時間を取ることが長続きさせるコツの1つです。健康と仕事力の維持につながるような食生活を心がけましょう。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2018年2月5日)のものです。

たかはし かなこ

たかはし かなこ

管理栄養士専攻の大学卒業後、管理栄養士の資格を取得し、病院に勤務。その後、フリーランス管理栄養士として、予防医学、食事、栄養に関する記事作成、コラム執筆、レシピコラム、商品コメントなどの執筆活動やオンライン栄養指導にて、個人へのダイエットサポートを行う。

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