海外発ビジネス最前線(第7回)

BEAMS・三越伊勢丹が最高売上、ライブコマースとは

 ライブ動画を通じて、インフルエンサーやショップ店員がおすすめの商品を販売する「ライブコマース」。ECの新たな形として中国で始まり、「2時間で3億円を売り上げた」「1秒で55台の車が売れた」などが話題になりました。コロナ禍で不可欠となったECにおける、ライブコマースの現状と可能性を解説します。

そもそも「ライブコマース」とはどんなものか?

 ライブコマースは中国で誕生したEコマースでの販売手法で、その市場規模は2019年時点で約4,338億元(約6.6兆円)、2020年にはさらに倍となる予測が発表されています。中国では、ショッピングにおけるインフラのひとつとなっています。

 ライブコマースの最大の特徴は、配信者と視聴者がリアルタイムでコミュニケーションできることです。ライブ動画上に視聴者からのコメントが次々に表示される仕組みとなっているサービスが大半で、例えば視聴者から「洋服の裏側を見せて欲しい」というコメントがあれば、配信者がすぐに反応して商品の説明をしていきます。

 画面上に商品の購入ボタンが表示されていたり、商品ページへのリンクが貼られていたりと、購入までの導線もシームレスです。「インフルエンサーやファッションアイコンが自分のコメントに応えながら商品を紹介し、欲しいと思ったらすぐに購入できる」という手軽さが受け、日本でも広がりを見せているのです。

 国内の主なライブコマース配信サービスには、「SHOPROOM」「TAGsAPI」などがあります。楽天株式会社もライブコマースの仕組みを導入しています。

 株式会社ジャストシステムが発表した「Eコマース&アプリコマース月次定点調査」によると、ECサイト利用者のうちライブコマースの動画視聴経験者は16.6%、10代の認知度は32.1%、視聴者の50%が商品を購入というデータが公表されています。

BEAMSや三越伊勢丹は過去最高のEC売上を記録

 ライブコマースをいち早く導入した国内企業も多々あります。

 ファッション関連のセレクトショップを展開する株式会社ビームスは、2020年3月27日に初のライブコマースを実施しました。同社クリエイティブディレクターの中村達也氏と「BEAMS F」ディレクターの西口修平氏が出演し、スーツやネクタイなど紳士向けアイテムを紹介。スーツ、シャツ、ネクタイのVゾーンにこだわったコーディネートを見せることで、1時間の配信で6,000人以上の視聴者を獲得し、100万円弱の売上を記録しました。

 百貨店の老舗である株式会社三越伊勢丹ホールディングスは、さらに前の2019年11月15日にライブコマースを実施しています。お歳暮商品を「パッケージの華やかさ」や「ものづくりのストーリー」から紹介し、過去最高のEC売上を記録しました。

 料理レシピの情報サイトなどを運営するクックパッド株式会社は、2020年6月1日に生鮮食品を扱うECサイト「クックパッドマート」で「先払い式ライブコマース」をスタート。生鮮食品を先払いで購入してもらい、商品が届くまでの間に、生産者や食材にまつわるストーリーを配信するというものです。消費者にとっては食の楽しみが広がるメリットが、生産者には売れ残りを気にせず生産に集中できるメリットがあり、食品廃棄を減らす効果も期待されています。

「1日受付」をオークションするインフルエンサーも

 ライブコマースは、インフルエンサーの増加、次世代通信規格5Gの普及によって、国内でも拡大すると予想されています。

 例えば、インフルエンサーとして知られるゆうこす(菅本裕子)氏が、自身がプロデュースする美容アイテムを5秒で完売させたり、俳優の山田孝之氏が、自身の「1日受付」を商品としてライブコマース型のネットオークションを行ったところ2,700万円で落札されたユニークな例も話題となりました。

 Facebookは、無料でECサイトを制作できる「Facebook Shop」を2020年5月19日に発表。将来的にライブコマース機能を搭載する予定だと述べ、こちらも注目を集めています。

 ライブコマースは、非接触・非対面での実演販売ができることから、これからのECビジネスにおいて存在感が高まっていくと予想されます。あらゆる商品の販売業者にとって、意識をしておきたい手法です。

 

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