2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2022.03.31 (Thu)

建設業界の課題とその対処法(第5回)

人手不足に悩む建設業をDXで変える方法

 人手不足と長時間労働が課題となっている建設業界では、現状を打破するために「DX」の導入が期待されています。とはいえ、まだITツールを有効活用できず、業務効率化や生産性向上が図れていない企業も多いでしょう。建設業界はどのように労働環境を改善すれば良いのでしょうか。建設業界の労働環境の実態と政府の取り組み、DXに取り組む意義について解説します。

なぜ建設業界に人が集まらないのか?

 建設業で人手不足と長時間労働が課題となっている背景には、同業界独特の労働環境が影響していると考えられます。

 2019年に国土交通省が発表した「建設業の働き方改革について」という資料内の「年間実労働時間の推移」では、建設業が全産業の平均値よりも年間300時間を超える長時間労働が慢性化していることが分かります。さらに、他産業では一般化している週休二日制の導入も、建設業では遅れています。

 既存人材への依存が常態化している建設業界の課題を緩和するため、政府は「建設業法(2019年改正)」、「改正労働基準法」、「働き方改革関連法」を施行し、労働環境の改善を促しています。

「働き方改革」を進めたくても、建設業ではテレワークができない

 建設業に関する複数の法案の概要をまとめると、(1)長時間労働の是正 (工期の適正化など)、(2)現場の処遇改善、(3)限りある人材の有効活用と若者の入職促進、(4)建設工事の施工の効率化の促進のための環境整備、という4つに分けられます。

 このうち時間外労働に関しては「原則として月45時間かつ年360時間」、「年720時間」、「2~6カ月の平均でいずれも80時間以内」、「単月100時間未満」、「月45時間を上回る月は年6回を上限」と定められています。

 これら働き方改革に関連する法案は、他産業ではすでに2019年から適用されていますが、建設業には5年間の準備期間が設けられ、2024年から適用開始となります。つまり建設業では、2024年までに新ルールに適用しなければなりません。そのためにも、建設業の各社では、できるところから業務効率化の取り組みを着手していく必要があります。

 とはいえ、建設業では現場作業が必須となるため、テレワークの導入は簡単ではなく、働き方改革で重視している「柔軟な働き方」をなかなか実現できていません。現場での作業時間が大きな割合を占める建設業においては、オフィスでの事務作業を効率化するDXだけでなく、現場の作業を効率化するDX化についても求められているといえるでしょう。

現場も事務作業もDX化しよう

 建設業の現場をDX化する動きは、すでにスタートしています。

 たとえば、政府が立ち上げた「i-Construction推進コンソーシアム」もそのひとつです。これは、測量・調査・設計・施工・管理といった製造業の各プロセスにデジタルツールを用いるよう推進するもので、3次元データの活用も視野に入れています。

 i-Construction推進コンソーシアムの狙いは、建設業のDXによって2025年度までに建設現場の生産性を2割程度向上させることです。さらに、社会資本の整備を担う建設業関連者に対して働きやすい環境を整えることも目的としています。

 それ以外の業務についても、すでに世の中に存在する技術にて効率化は可能です。たとえば、ノートPCやスマホといったモバイルデバイスをクラウドに接続し、場所を問わずミーティングやファイル共有・ファイル更新を実施すれば、従業員が現場から本社へ戻る手間が省けます。

 勤怠管理についても、クラウドが役に立ちます。タイムカードや手書きの日報などによる管理では、直行直帰の際にも不便が生じますが、場所を問わずさまざまなデバイスから入力・確認できるクラウドの勤怠管理システムであれば、わざわざオフィスに立ち寄る必要もありません。

 会議についても効率化できます。建設業界では施工関係者との会議が頻繁に開かれますが、最近では場所を問わず会議に参加できるWeb会議ツールや、会議の議事録を自動で作成するツールも登場しています。

 現場の業務改革だけでなく、身近の事務作業など、建設業における業務改善の切り口はいくつもあります。これまで当たり前のようにやってきた業務に目を向け、DX化を進めることで、2024年を待たずに働きやすい職場に変えることも、決して夢ではないでしょう。

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