2016.02.24 (Wed)

専門家の力で道を切り拓く(第1回)

社会保険労務士を活用して売上向上を目指そう

posted by 工藤 崇

 社会保険労務士は、人事・総務に精通した専門家であることを証明する国家資格です。企業運営においては営業と同じく人事・総務の仕事も大切ですが、経営者が売上拡大に専念する場合は、営業寄りの目線になることが多いもの。その際にお勧めしたいのは、人事・総務部門を社会保険労務士に任せることです。

社会保険労務士の専門分野とは?

 社会保険労務士の専門分野を知るには、毎年8月に実施される資格試験の「試験科目」を知ることです。確認してみましょう。

○労働基準法及び労働安全衛生法…労働者にとって基本となる法律
○労働災害補償保険法…事故などが発生した際の労災についての法律
○雇用保険法…労働者が加入する雇用保険について
○労務管理その他の労働に関する一般常識…労務に関する幅広い一般常識
○社会保険に関する一般常識…社会保険分野の一般常識
○健康保険法…医療費3割(諸条件による変更あり)の根拠となる法律
○厚生年金法…会社員の加入する年金について
○国民年金法…最後は、国民全員が加入する年金について
※労災・雇用両科目には、「労働保険の徴収についての法律」が含まれます

 この試験科目から、社会保険労務士は、「労務・公的保険・公的年金」に精通した専門家ということがわかります。特に創業期などは、経営者自身がノウハウを積むことが多い、この分野。しかし、短期間で内容が変わることが多いため、変化に対応できる専門家が求められているのです。

 また最近、経営層と労働者の問題は大きな社会的関心を集めています。経営者が舵取りを誤って「ブラック企業」というレッテルが貼られると、売上への悪影響が懸念されます。また、個人情報の管理が煩雑な「マイナンバー制度」や、社員の精神疲労を確認する「メンタルチェック制度」という新制度が導入されることも決まり、労務全体に詳しい専門家に任せるメリットは増える一方です。

社会保険労務士に人事・総務をお願いするメリット

 社会保険労務士に人事・総務分野をお願いし、経営者の負担を軽くする具体的な方法は2つ。メリット・デメリットとともに見ていきましょう。

(1)外部の社会保険労務士事務所に依頼する
●メリット…複数の会社を担当していることが多く、経験も豊富。突発的な社会情勢の変化にも対応しやすい
●デメリット…費用が割高

(2)人事・総務責任者に社会保険労務士の資格を取得させる
●メリット…費用が安い。人事・総務責任者は経営者と労使関係のため、指示命令が出しやすい
●デメリット…責任者がノウハウを積むまでは実務能力面に不安が残る

 なお、上記の中間として「実務面は社員、指示管轄は外部」や「実務力豊富な人材を採用する」という方法もあります。

社会保険労務士に期待されるのはコンサルティング力

 いま、社会保険労務士に求められているのは、「人事総務分野の管轄力や実務力」だけではありません。成功を収めている社会保険労務士は、経営者の「コンサルタント」として密接な関係を築いている、と言われます。

 先ほど社会保険労務士に業務委託するメリットをお伝えしました。その一方で、必ず経営者が担う仕事があります。

 それは、会社経営においての「意思決定」です。その判断を誤って、会社全体が大きな損害を受けるニュースが、最近よく報道されています。

 そんな時、社会保険労務士は「名参謀」としても活躍します。対応の助言、意思決定に必要な情報の取捨と、経営者の負担を和らいでくれることでしょう。そのためには、「信頼できる社会保険労務士を『仲間』にできるか」がなにより重要。身近な社会保険労務士の存在は、心強いコンサルタントとなります。

 社会保険労務士の実務内容から専門性の活用法、そしてコンサルタントとしての役割まで幅広くお伝えしました。社会保険労務士を活かし、事業の発展を実現させてください。

工藤 崇

工藤 崇

1982年北海道生まれ。MYS(マイス)代表。ウェブ執筆および個人コンサルを中心に活動。北海学園大学卒業後、資格試験予備校で8年間勤務。社会保険労務士をはじめとしたさまざまな資格試験の案内、接客応対を経験。社労士本試験直後、翌年の資格取得を目指す受講生向けに本年資格の分析および次年度のコースの要点を伝える電話相談イベントに担当者として関わる。

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