目次
1.スマートシティ AiCTについて
1-1.スマートシティAiCTの概要
スマートシティAiCT(アイクト)とは、福島県会津若松市が取り組むスマートシティ事業のことです。
具体的にスマートシティAiCTとは、スマートシティ構想を取り入れたオフィス棟や交流棟、機械室棟からなる約2,900坪ビルを官民合同で所有している事業を指します。
AiCTとは(会津、AI、Advance) ICTの略で、AiCTの”A”には”AIZU、AI、Advance(前進、進出)”の意味が込められています。
参照元:スマートシティAiCT
1-2.スマートシティAiCTの目的
スマートシティAiCTは以下のような目的のもと設立されました。
“首都圏などのICT関連企業が機能移転できる受け皿として整備されたオフィス環境(及び、オフィス周辺エリアの総称)です。ICT関連企業の集積により、首都圏からの新たな人の流れを生み出し、新たな雇用の機会が創出されることで、若年層の地元定着や地域活力の維持発展を目指しています ”
参照元:スマートシティAiCT
1-3.スマートシティAiCTのオフィス棟
スマートシティAiCTのオフィス棟では、世界的な企業を集積することによって地元企業とのコラボレーションを生み出そうとしています。また、各階にはサロンやラウンジを設けており企業間の接触を増やしイノベーションを起こすことを支援しています。
1-4.スマートシティAiCTの交流棟
スマートシティAiCTの交流棟では、入居企業によるセミナーなどが開催されており、市民や大学生が参加できるようになっており、交流機会を増やしイノベーションを創出することを図っています。
2.そもそもスマートシティとは?
スマートシティとは、“インターネットやIoT技術を使用したデバイスが連携することで、都市全体の効率性や生産性が向上し、住民の生活の質の向上をめざす。”ことを指しています。
この章では、スマートシティについてわかりやすく概要を説明します。
2-1.スマートシティの概要
内閣府によって、スマートシティの定義は以下のようになっています。
“スマートシティは、ICT 等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域であり、Society 5.0の先行的な実現の場と定義されています。”
参照元:「スマートシティ」内閣府
これらを噛み砕くと新技術を用いてより利便性が高く、災害や渋滞、犯罪などの諸問題を解決できるような街を示しています。これらをいち早く実践したのがスマートシティAiCTとなります。
2-2.スマートシティの目的
スマートシティの目的は、概要にも含まれていますが、都市の抱える諸問題を解決したり、都市の利便性を高めることによって持続可能な都市や地域を創造することです。
これらを実現するために、さまざまなソリューションが日夜検討されています。どんなものがあるか次で解説していきます。
2-3.スマートシティ実現のための取り組み例
スマートシティを実現すべく、検討されているものや実際に行われているもので標準的な取り組み例として、以下のようなものがあげられます。
- ・ドローンなどを運送に活用することによって、交通渋滞を改善したり車では行くことが難しい地域への生活用品の運搬すること
- ・交通状態をAIが分析し、それらを元に適切なルートを提示することで渋滞を解消することの検討
- ・地滑りなどが発生しうる地域にカメラを置いて、監視しそれをAIが分析することによって地滑りを事前に予期するなどの取り組み
3.会津若松市の戦略
会津若松市では、スマートシティを実現するために以下4つの理念のもとに取り組みをおこなっています。
- ・大学と連携した人材の育成や、産業、学府、官僚が連携し先進的な取り組みを行い、地域の成長や雇用拡大を測り経済効果を生み出す。
- ・自治体と協力し、観光サイトを設置し外国人観光客と交流する市民を増加させ、地域経済を活性化させる。
- ・地域で暮らしていく上で必要な情報の入手や各種証明書などにICTを活用して利便性を高める。
- ・街の見える化で安心して暮らせる街を創る。
これらを掲げてスマートシティ化をめざしており、スマートシティAiCTもその活動の一環となります。
4.会津若松市のスマートシティ事業4選
この章では、会津若松市はスマートシティ戦略における4つの理念を掲げて、実際はどのような取り組みを行っていったのかを解説します。自身の自治体で取り入れられる要素があるか見ていきましょう。
4-1.スマートシティAiCT
会津若松市のスマートシティを実現するための取り組みの一環として、官民合同のビルを立てたのがスマートシティAiCTになります。
スマートシティAiCTは“大学と連携した人材の育成や、産業、学府、官僚が連携し先進的な取り組みを行い、地域の成長や雇用拡大を測り経済効果を生み出す。”という戦略のもとに設立されています。
実際にスマートシティAiCTでは、首都圏のICT企業などがオフィス移転できるように整備されており、ICTに関連する企業を集積することにより、ICT産業の中心地となり首都圏からの人の流入を発生させ、新たな雇用が創出されることで、若年層が地元に定着したり地域活力の維持発展を狙いとしています。
4-2.外国人向け観光情報サイト「VISIT AIZU」の運営
会津若松市のスマートシティ事業としては、「VISIT AIZU」が挙げられます。
“自治体と協力し、観光サイトを設置し外国人観光客と交流する市民を増加させ、地域経済を活性化させる。”という戦略のもとに、外国人観光客を誘致するためのさまざまな情報を配信しています。
積極的に外国人観光客を誘致することで、会津若松市民との交流をうみ、国際性を生み出し市民に新たな経験をもたらすことに寄与しています。
参照元:VISIT AIZU
4-3.各種証明書のコンビニ交付サービス
会津若松市では、以下の戦略のもとに、各種証明書をコンビニでプリントアウトできます。
“地域で暮らしていく上で必要な情報の入手や各種証明書などにICTを活用して利便性を高める。”
これによって、市民が市役所に行き手続きを行う必要がなくなるので、ICTを活用して利便性を高めた良い例になっています。
4-4.「除雪車ナビ」の運営
会津若松市では、“街の見える化で安心して暮らせる街を創る。”という戦略のもとに「除雪車ナビ」というサービスを運用しています。
除雪車ナビではGPSを用いて、今どこに除雪車がいるのか、どこを除雪したのかが分かり街を見える化し、市民の安全を実現しています。
参照元:除雪車ナビ
※上記サイトはシーズン期間中のみご覧いただけます
5.スマートシティのメリット5選
このように会津若松市は積極的にスマートシティ事業を推進していますが、スマートシティを実現するとどのようなメリットがあるのでしょうか。この章では具体的にどのようなメリットがあるのかを解説します。
5-1.災害被害の軽減
スマートシティ化を実現すると、災害被害を軽減することが可能になります。具体的には、ICTによって莫大なデータを収集しそれをAIによって解析することで災害の予知や適切な避難所への誘導が可能になり、災害時の被害を軽減できます。さらには、地滑りなども感知することが可能で被害を軽減することが可能です。
また、自然状況の監視以外にもAI外観検査ソリューションを用いれば、ビルを安全な状態に維持でき、これによって災害被害を軽減できます。
5-2.防犯の強化
スマートシティ化を実現すると、防犯を強化することも可能です。AIの活用によって、不審者を発見できたり、犯罪行為の早期の感知できます。これによって即座に警察官や警備員が現場に赴くことで未然に犯罪を防いだり、被害を軽減できます。
また、クラウド型防犯カメラを活用することによって車番などのデータを収集できるのでさまざまなことに活用ができます。
ギガらくカメラ+AIによる車番分析ソリューション
5-3.渋滞の緩和
スマートシティ化が実現すると、AIが適切な経路や交通管理を行うことによって交通渋滞を緩和できます。
これによって交通渋滞が緩和されると、従来の渋滞によって発生していた経済的損失を減らせます。
5-4.高齢者のQOLの向上
スマートシティ化を実現すると高齢者のQOLの向上にもつながります。
具体的には、ドローンを運送に活用することで車では到達困難である地域への食料や生活必需品の輸送が容易になったり、オンラインでの診療・AIによる健康状態の管理などが挙げられます。
5-5.環境保護
スマートシティ化を実現すると、AIがエネルギーを効率よく分配することによって、省エネルギーを実現し、環境保護につながるというメリットもあります。
6.スマートシティ化の2つの課題
スマートシティを実現することにより、さまざまなメリットが得られます。しかし、実施する際に注意して導入しなければ、情報セキュリティ上のトラブルにつながってしまいます。この章では、スマートシティが抱える2つの課題について、詳しく解説します。
6-1.サイバー攻撃やネットワークトラブル
スマートシティ化の課題点として、ICT・IoTを活用する反面、さまざまなモノがインターネットに接続されることになります。したがって、今まで以上にサイバー攻撃やネットワークトラブルのリスクが大きくなることが予想されます。
この課題を解決するには、第一に高い技術力、第二にトラブル発生時の対策手順の徹底という方法が考えられます。
1点目に関しては、高い技術力を持ったベンダーによるインターネット接続環境の構築や情報セキュリティ対策の構築などが必要とされます。
2点目に関しては、トラブルが発生した時の対策を徹底的に事前に定めておくことで被害を軽減することが可能になります。
6-2.プライバシーの保護の観点
スマートシティ化の二つ目の課題点としては、大量のデータを集める必要があるのでプライバシーの侵害が考えられる点です。
しかしながら最近では、企業などもここに配慮して扱うデータを加工してプライバシーを保護するなどの工夫を加えているものが多いです。
NTT東日本のソリューションでも、高いコンプライアンス意識で取り扱うデータを加工などしてプライバシーの保護を図っています。
7.スマートシティ化を成功させる2つのポイント
現在、多くの自治体がスマートシティに取り組んでいます。さまざまな成功事例が存在する中、それらの共通点は何なのでしょうか。この章では、スマートシティ化を成功させる2つのポイントについて解説します。
7-1.IoT・ICTの積極的導入
スマートシティの定義にもあるようにIoT・ICTの積極的導入が必要不可欠です。
ただし、IoT・ICTの導入には高い技術力が必要になるものが多いので、有力なベンダーと協力することが成功のポイントです。
7-2.IoT・ICTで得たデータの徹底分析
IoT・ICTを導入するだけではなく、そこで得たデータを徹底的に分析することが必要になります。
ただ莫大なデータを扱うにはAIの技術などが必要になるので、こちらもやはり高い技術力を持つベンダーとの協力が成功のポイントになります。
8.「AI外観検査ソリューション」でスマートシティ化
「AI外観検査ソリューション」ならビルの状態をAIが検査し、安全な状態を保つので災害発生時などに被害を軽減できます。
また、ICT・IoTを活用して、地滑りなどが予想される地域をクラウド型カメラで監視し、そこからの情報をAIがリアルタイムで解析し、地滑りを感知できます。これらによって、都市や地域で安心して暮らせるスマートシティ化を「AI外観検査ソリューション」から実現できます。