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2023.05.29 (Mon)

自治体DXとはデジタル活用により利便性を向上させる取り組み|推進計画や事例を解説

posted by NTT東日本

近年、業務効率化や顧客満足度を高めるために、企業のDX化が推進されていますが、自治体においてもDXが求められています。

2021年に総務省で「デジタル庁」が発足し、自治体システムへのDXツール導入やクラウド化などが推進されており、全国で「自治体DX」が普及し始めています。しかし、どのように取り組んで良いかわからず、自治体DXを進められずに悩んでいる担当者の方は多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では「自治体DXの意味と、デジタル活用により利便性を向上させるための推進計画や成功事例」について解説します。自治体DXに取り組む上での目的や、成功に導く重要なポイントをおさえられる内容になっているので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 自治体DXとはデジタル活用により利便性や行政を向上させる取り組み

自治体DXを推進するためには、まず自治体DXの概要や目的、必要性を理解しておく必要があります。目的を理解して取り組むことで、自治体DXの効果を最大化できるでしょう。以下では、自治体DXについての基礎知識をわかりやすく解説します。

1-1. そもそもDXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用することで、業務効率化や新たなビジネスモデルの創出をめざしたり、人々の暮らしをより良くしたりするための取り組みです。また、レガシーシステム(過去の古い仕組み)からの脱却や企業風土の変革を実現させることを目的としています。

DX化を推進することで、社会の利便性が向上したり職員や従業員の負担が軽減できたりするなどのメリットが得られます。そのため、風通しの良い組織づくりと競争優位性の確立につながります。

1-2. 自治体DXとは

自治体DXとは、自治体が最新のデジタル技術を活用して地域住民に提供するサービスや業務フローなどを変革させ、地域社会の利便性向上や業務効率化をはかる取り組みのことです。企業のDXとは異なり、競争優位性の確立や利益を増やすことは目的ではありません。

政府が掲げる目標として「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことで、多様な幸福を実現できる社会」が示されています。

参照元:「自治体DXの推進」総務省

1-3. 自治体DXの必要性

自治体においてDXを推進する理由には、日本社会全体の少子高齢化に伴う人口減少があげられています。高齢者が増加する一方で、労働力として期待される世代の人口が減少傾向にあり、地域の生活に根ざしたインフラ整備が今後は困難となる見込みです。また、地方公務員の人数も減少傾向にあり、円滑な行政サービスの提供に影響を及ぼす可能性が高まっています。

自治体に求められているDXは、デジタル技術を導入することで地域住民の利便性向上や職員の職務負担軽減を目的としています。

2. 自治体が取り組むべき6つの重点取組事項

令和4年9月に示された総務省の自治体DX推進計画では、以下6つの重点取組事項が策定されています。

  • ・自治体情報システムの標準化・共通化
  • ・マイナンバーカードの普及促進
  • ・行政手続きのオンライン化
  • ・AI・RPAの利用促進
  • ・テレワークの推進
  • ・情報セキュリティ対策の徹底

以下では6つの重点取組事項を詳しく解説します。重点取組事項を達成することで、自治体DX推進の効果を最大限発揮できるので、漏れなく把握しておきましょう。

参照元:「自治体DXの推進」総務省

2-1. 自治体情報システムの標準化・共通化

従来は、自治体によって情報システムを各自で活用していました。今後は、2025年までに基幹系20業務システムを標準準拠システムへ移行させ、自治体情報システムの標準化と共通化をします。システムの管理や改修などに伴う自治体の負担を軽減させる狙いがあります。

2-2. マイナンバーカードの普及促進

マイナンバーカードを2022年度末までに、ほとんどの住民が保有することをめざし、申請・交付促進等の取り組みを行っています。たとえば、マイナンバーカードの申請・受取が完了した人に、電子マネーやクレジットカードなどでポイントを還元するキャンペーンです。

マイナンバーカードの普及は、オンラインで確実に本人確認できるようになり、デジタル社会の基盤となります。2023年4月から、医療機関や薬局でオンライン資格確認の導入を義務付けるとともに、マイナンバーカードの保険証利用が進むことをめざしています。

2-3. 行政手続きのオンライン化

行政手続きのオンライン化を促進するため、マイナポータルでオンライン手続きを可能にする計画が進行中です。引越し手続きのワンストップ化および、子育て・介護等の31における手続きを原則、すべての自治体で実施できるようにシステム構築が進められています。

行政手続きのオンライン化が進めば、住民と職員の手間を省けるため、利便性向上と業務効率化につながります。

2-4. AI・RPAの利用促進

AI(人工知能)やRPA(業務効率化ロボットシステム)を導入すると、手作業で行っていた書類や資料作成などの事務作業を自動化でき、業務効率化につながります。

AIは人間と同等の学習能力を有しており、さまざまな業務に対して臨機応変に対処してくれます。また、RPAは、これまで人間だけが対応可能とされていた高度な作業を自動化できるシステムです。AI・RPAができる業務は、人間が手作業で行う必要がなくなるため、従業員が本当に必要な業務に注力できます。

NTT東日本の「AIよみと〜る」は、いままで手書きの書類や帳票などの文字やデータを手作業でパソコンに入力していた業務を軽減できるツールです。書類や帳票に書かれた文字を光学文字認識機能により、正確に読み取ってくれます。RPAツールと組み合わせることで、データの抽出から加工までを自動化させられるため、業務効率を改善できます。

「AIよみと〜る」の詳細はこちら

2-5. テレワークの推進

地方自治体の公務員や関係者がテレワークを実施できた場合、負担軽減や生産性向上につながります。テレワークを導入すれば、介護・育児と仕事を両立している職員や、出社困難な職員でも活躍しやすい環境を整えられます。

NTT東日本の「ゼロトラストセキュリティ」は、テレワークの推進におすすめのツールです。テレワークを実施するとインターネット利用環境における情報セキュリティ面で課題があります。自治体は、住民や関連業者の個人情報・機密情報を管理しています。仮に、情報が漏えいしてしまうと社会問題に発展しかねません。

「ゼロトラストセキュリティ」を導入すれば、職場内外のセキュリティ環境を同等にでき、不正アクセスやサイバー攻撃の対策が可能です。安心安全なリモートワークを実施するために、ぜひ検討してみてください。

「ゼロトラストセキュリティ」の詳細はこちら

2-6. 情報セキュリティ対策の徹底

行政手続きのオンライン化やテレワークの推進にともない、各自治体において情報セキュリティの徹底が急務です。DXは利便性が高まる反面、サイバー攻撃のリスクが高まります。

総務省とデジタル庁は「地方公共団体のガバメントクラウド活用に関するセキュリティ対策」の方針を踏まえて、高セキュリティレベルのセキュリティクラウドへの移行を支援し、情報セキュリティ対策の徹底に取り組んでいます。

3. 自治体DXが進まない3つの課題

自治体DXの推進は急務ですが、課題もありスムーズに進まず実現が遅れてしまうこともあります。以下では、自治体DXが進まない3つの課題を解説します。あらかじめ課題を把握しておくことで、解決策を見出せるでしょう。

3-1. 自治体の職員数が少ない

地方公務員の職員数は、令和に入り徐々に増加していますが、ピーク時と比較すると減少傾向にあります。職員数が減ると、ひとりあたりの業務負担が増加するため、カバーできるような体制整備が必須です。職員数を増やすのは人口減少にともない困難なため、AI・RPAツールを導入して業務を自動化すると課題解決につながります。

3-2. デジタル化が浸透していない

自治体の多くは、デジタル化が浸透しておらず、いまだに行政手続きを紙で行っています。紙で手続きを行ったり書類の整理・管理をしたりすることは、保存場所の確保が必要なうえ紛失・情報漏えいのリスクがあります。

また、書類をパソコンのソフトに入力し直すのに余計な手間がかかります。スムーズな業務を行うためにも、ペーパーレス化やクラウドシステムの導入などの対応をしなければなりません。

3-3. デジタル人材の採用が難しい

自治体DXを進めるためには、デジタル人材の確保が必要ですが、既存職員では補えない自治体が多いでしょう。アナログ文化が残る自治体でデジタル化をはかるためには、ITリテラシーや高度なデジタル技術を有した人材の採用が求められます。

デジタル人材が自治体業務で能力を発揮し、自治体DXを推進するためには、部門ごとに適した人材を配置することが大切です。

4. 自治体DXを推進する3つのポイント

自治体DXに取り組む際には、失敗しないための注意点を理解しておく必要があります。以下では、推進のコツとなる3つのポイントを解説します。3つのポイントをおさえられれば、急速にDX化を進められるでしょう。

4-1. スモールスタートする

自治体DXに取り組む際には、まず小規模の取り組みから実施しましょう。最初から組織全体で進めると、困惑した住民からの問い合わせが増加し、職員の業務を圧迫してしまい支障をきたしてしまうリスクがあります。また、いきなり業務をDX化しても職員が慣れていないため、エラーやミスが多発してしまう恐れがあります。

小さく始めても、十分に住民からの反応や新たな課題の抽出が可能です。小さな成果から得られた気づきを次の施策に活用することで、無理なく自治体DXを推進できます。

4-2. データを蓄積・分析する

自治体DXを実施する際には、生成されたデータを蓄積しておきましょう。蓄積したデータは、仮説を立てたうえで分析に活用できます。分析から得られた結果は、フィードバックして改善することで、住民に対するより良い価値提供へとつなげられます。

4-3. 全体にDX化の意義を浸透させる

DXを小さく行い成果が現れ始めたら、自治体全体にDX化の意識を浸透させましょう。まずは、リーダーシップを取る立場の首長や幹部職員らが、DXへの理解を深めて意識改革をすることが重要です。

DXは、システムの導入や刷新のタイミングで大きな判断が求められるため、目的や進め方を理解したうえで決断しなければなりません。トップダウンで全体に広めることで、一般職員の意識改革にもつなげられます。

5. 自治体DXの事例3選

自治体DXを進める前に、実施事例を知っておくことで具体的な実施イメージを持てるでしょう。以下の3つの自治体の事例を取り上げます。

  • ・愛知県瀬戸市
  • ・京都府
  • ・大阪府東大阪市

参照元:「自治体DX推進手順書参考事例集【第1.0版】」総務省

※以下で紹介する事例はNTT東日本が関与したものではありません。

5-1. 電子決裁機能付き文書管理システムの導入|愛知県瀬戸市

愛知県瀬戸市では、電子決済機能付き文書管理システムを導入しました。一部の部署で施行した後、システムを全庁で本格運用することで、行政事務のペーパーレス化をめざしました。

行政文書は薄冊ではなく、ファイリングシステムと呼ばれる管理手法を導入することで、以下のような効果が期待できます。

  • ・事務作業の効率化(文書の検索時間短縮)
  • ・文書管理の強化(情報の一元管理による組織対応力向上)
  • ・ライフサイクルの厳格化(期限満了文章廃棄の円滑化)

文書管理システムの書類分類と同一であるため、将来的な文書の電子管理や電子決済への完全移行への道筋としています。

5-2. 出勤簿廃止によるペーパーレス化・テレワークの促進|京都府

京都府では、紙の出勤簿を使用していました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、テレワークを実施したところ、テレワーク中の職員の勤務状況を管理することが課題となりました。

課題解決のため、職員のパソコンへのログイン・ログアウト情報を既存システムと連携させて出勤状況を一元的に管理できるシステム改修を実施しました。これにより、所属長が所属職員の出退勤状況を正確に管理できるようになったほか、職員も出勤簿への記録を行う必要がなくなりました。システムを改修したことで、ペーパーレス化にもつながり紙の出勤簿を廃止できました。

5-3. 議事録作成支援システムの導入による作成時間の軽減|大阪府東大阪市

大阪府東大阪市では、議事録作成で録音した音声を複数回聞き直しながら作業を行っていたため、会議時間の3〜8倍もの時間を要していました。

課題解決のため、AIを活用した音声認識技術による議事録作成支援システム用の端末を導入しました。実証実験した結果、適切な集音環境で録音されたデータを用いることで、議事録作成にかかる時間を3割程度軽減できることが判明しました。

実証実験で効果が確認できたため、令和2年6月より端末を2台増設して3台体制とし、全庁に周知をして議事録作成支援システムの貸し出しを開始しました。

6. 自治体DXをNTT東日本の「REIWAプロジェクト」でサポート

自治体DXを推進するには、各地域で抱えている課題を把握し、解決につながるサービスやソリューションの導入が不可欠です。

NTT東日本が提供する「REIWAプロジェクト」では、サービスやソリューションの開発段階から自治体の要望を吸い上げ、IoTデバイスやクラウドなどのICTアセットで地域の課題解決をサポートしています。「インフラ」「医療・健康」「教育」「防災」などさまざまな分野で実証実験やDXの取り組みを行っているため、お客さまにあったサービス・ソリューションを提案します。

自治体DXの推進を検討中の方は、NTT東日本にお問い合わせください。

「REIWAプロジェクト」の詳細はこちら

7. まとめ

自治体DXとは、自治体が最新のデジタル技術を活用して、地域社会の利便性向上や業務の効率化をはかる取り組みのことです。総務省が策定している6つの重点取組事項を実行することで、自治体DXの効果が高まります。しかし、課題DXをスムーズに推進できない課題があるため、早急に解決しなければなりません。

取り組みを成功させるためには、まず小さく始めて結果が出たタイミングで徐々に全体に浸透させていくことがポイントです。また、自治体DXによって得られたデータは蓄積していき、分析・改善することで、住民により良い価値提供ができます。

今回の記事で紹介した自治体の事例は一部ですが、すでに多くの自治体で実施され始めています。実際に効果があった事例もあるため、ぜひ参考にしてみてください。

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