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エッジテクノロジーとはインターネットに接続された端末側で、高速かつリアルタイムな処理を行う技術です。高セキュリティ、高速のデータ処理が可能であり、さまざまなビジネスシーンで活用されています。
しかし、エッジテクノロジーにより得られるメリットは多いですが、導入時には注意すべき点もいくつかあります。
そこで、エッジテクノロジーの種類や導入メリット・デメリット、活用事例までわかりやすく解説します。
エッジテクノロジーとはネットワーク端末を活用したデータ処理技術
エッジテクノロジーとは、インターネットに接続された端末側で、高速かつリアルタイムな処理を行う技術の総称です。従来は、データが一ヵ所にある中央のサーバーやシステムで集中管理・処理されていました。データのやり取りや処理に関するすべての要求が中央のサーバーを経由するため、通信の遅延が懸念点です。
しかし、エッジテクノロジーでは、クラウドへデータを送らず端末側で処理をするため、負荷が分散され通信遅延の軽減が期待できます。
また、エッジデバイスにセキュリティ機能を組み込むことでクラウドサーバーへの攻撃リスクを低減でき、情報セキュリティ向上につながります。
エッジテクノロジーは、正確かつ効率的なデータの収集・処理が実現し、ビジネスプロセスの改善や新しいビジネスモデルの創出にも寄与するでしょう。
標準的なエッジテクノロジー4選
エッジテクノロジーは端末側でデータ処理する技術の総称であり、その種類はさまざまあります。この章では、標準的なエッジテクノロジーを以下の4点に絞って紹介します。
- ・エッジコンピューティング
- ・エッジAI
- ・エッジストレージ
- ・エッジセキュリティ
それぞれの特長を知ることで、エッジテクノロジーの有用性について理解を深められます。
エッジコンピューティング
エッジコンピューティングは、デバイスやシステムなどのユーザー端末側でデータ処理する技術です。
従来は、データはクラウド上で処理され、デバイス側での処理が限定されていました。エッジコンピューティングでは、データ収集したユーザー端末側で処理をするため、処理速度の向上が見込めます。
また、エッジコンピューティングは、5GやIoTなどのテクノロジーの進歩によって注目を浴びており、今後ますます普及することが予想されています。
エッジAI
エッジAIは、エッジコンピューティングを応用して、AI処理を端末側で行う技術です。ユーザー端末側でAI処理をするため、処理速度や情報セキュリティの向上が期待できます。
たとえば、スマートスピーカーは音声認識や自然言語処理をスピーカー側で行うことにより、応答速度の高速化が実現できます。
エッジストレージ
エッジストレージは、ユーザー端末側でデータを保存する技術です。ネットワーク帯域を節約できるため、エッジコンピューティングやエッジAIにおいても使用されます。
エッジストレージの活用としての代表例が、監視カメラです。従来は、撮影した映像データをクラウドに送信して保存していました。しかし、エッジストレージは、カメラ自体に映像データを一時的に保存することで、処理速度を向上させます。
エッジセキュリティ
エッジセキュリティは、エッジコンピューティングやエッジAIにおいて発生するセキュリティ上の課題を解決する技術です。ユーザー端末側でデータの暗号化やマルウェア対策などの情報セキュリティ対策を行います。
たとえば、エッジセキュリティを活用し、IoTデバイスがネットワークに接続された場合、デバイス自体で不正なアクセスや攻撃を防げます。
また、エッジセキュリティにより、クラウドにデータを送信する際の通信量を選択的に低減し、情報セキュリティの向上が可能です。
エッジテクノロジー導入における3つのメリット
エッジテクノロジー導入の主なメリットはネットワーク通信が安定する点です。以下の3点の理由から、通信の安定を実現できます。
- ・レスポンス時間の短縮
- ・ネットワークトラフィックの軽減
- ・情報セキュリティの向上
この章では、エッジテクノロジーの導入メリットについて3つに分けて説明します。
レスポンス時間の短縮
エッジテクノロジーの導入メリットは、レスポンス時間の短縮です。時間が短縮される理由には、「データ送信時間の短縮」と「リアルタイムでのデータ処理」があります。
従来は、データの処理・管理するために中央クラウドへアクセスしていましたが、エッジデバイスでは不要となったため、データの送信時間が短縮され、結果としてレスポンス時間の短縮につながりました。
また、エッジテクノロジーがリアルタイムでデータを処理できる点があります。たとえば、自動運転制御システムでは、エッジデバイスがリアルタイムで周囲の情報を収集・制御を行います。これにより、レスポンス時間が大幅に短縮されます。
ネットワークトラフィックの軽減
エッジテクノロジーを導入すると、ネットワーク帯域幅の低減によりレスポンス時間の短縮が見込めます。従来は、クラウドにデータを送信する際に、ネットワーク帯域幅を消費していました。しかし、エッジでのデータ処理により、クラウドへの送信量を減らすことで、ネットワークの混雑を軽減させ、レスポンス時間の短縮を実現しました。
情報セキュリティの向上
クラウドでデータの処理や管理を行っていると、送信されるデータは膨大な量になります。そこで、多くのデータの送受信時に気をつけたいことが不正アクセスやデータ漏えいなどのセキュリティリスクです。クラウドとの通信を行うために、データがネットワーク上を常に移動しているため、セキュリティ上の脆弱性が高くなってしまいます。
しかし、エッジテクノロジーの場合、デバイスやセンサーなどの端末側でデータを処理ができるため、クラウドとのデータのやりとりを制限でき、情報セキュリティ向上につながります。
暗号化やデータの切り分けなどの情報セキュリティ対策が施されているエッジのデータ処理を活用して、データの漏えいや改ざんを未然に防ぎましょう。
エッジテクノロジー導入における3つのデメリット
エッジテクノロジーの導入時には注意すべき点を事前に理解することで、目的に応じた適切な活用ができます。
この章では、エッジテクノロジー導入のデメリットについて、以下の3つのポイントで説明します。
- ・エッジデバイスの制限
- ・データの一貫性の維持
- ・メンテナンスの困難さ
エッジテクノロジーの導入には、メリットだけでなくデメリットも含めての検討が必要です。
エッジデバイスの制限
エッジデバイスは、一般的にクラウドよりも処理能力やメモリ容量が限られており、エッジデバイスで処理できるデータの種類や処理速度には制限があります。また、エッジデバイスがオフラインになった場合には処理ができなくなるため、常に接続状態を保つ必要があります。
これらの制限を理解し、許容できる範囲の線引きをしたうえで、エッジテクノロジーの導入を検討しましょう。
メンテナンスの困難さ
エッジデバイスは、遠隔で分散された場所に設置されることが多く、物理的なアクセスが困難な場合があります。また、利用を中断せずにデバイスのトラブルシューティングや修理を行うことが困難です。
修理の際には、エッジデバイスの不具合を特定する専門知識やスキルを要する場合があるため、有事の際に備えて、リモートメンテナンスや自己修復機能などの技術を導入する必要があります。
データの一貫性の維持
エッジテクノロジーの導入の注意点にデータの一貫性の維持があります。データの一貫性を維持するには定期的な同期が必要です。
しかし、エッジテクノロジーは、レスポンス短縮のためにクラウドへの依存を減らしてローカルでデータ処理を行うため、適切な同期が実施されない場合があります。その結果、データの一貫性を損なう恐れがあります。
そのため、データの一貫性の維持には、複数のエッジデバイスからのデータを収集する前に、各デバイスのクロックの同期が必要です。また、データの整合性を確保するために、データの重複を排除する処理を行う必要があります。
エッジテクノロジーの活用事例3選
エッジテクノロジーは日常からビジネスシーンまで幅広く活用されています。導入目的に応じた活用事例を知っておくことで、実際の導入時の参考になるでしょう。
この章では、エッジテクノロジーの活用事例を3つに分けて紹介します。
地域エッジクラウド
地域エッジクラウドとは、複数のエッジコンピューティングシステムを地理的に近い場所に設置し、ローカルでデータ処理やサービス提供を行うことで、遅延を減らし、帯域幅を節約することを目的としたシステムです。
IP/VPNなどの閉域ネットワークや学術情報ネットワークとの接続で、高セキュリティかつ低遅延を実現しています。
以下の通り、特定の分野に限らず多くの領域のデータを扱えることが特長です。
- ・授業/講義資料
- ・患者カルテ
- ・ビル管理データ
- ・自治体データ
- ・栽培/漁業データ
クラウド基盤は、NTT東日本の高品質・高信頼のデータセンタ設備を利用しており、24時間365日の保守体制が整備されています。また、ストレージやバックアップの利用は従量課金制であり、データ転送によるダウンロード課金はないリーズナブルな料金体系となっています。
■地域エッジクラウドについて、詳しく知りたい方はこちら
地域エッジクラウド ソリューション紹介
スマートファクトリー
スマートファクトリーとは、IoTやAI技術、ロボット等を活用して、工場内の生産ラインを自動化し、効率的な生産を実現する工場です。デバイスから得られたデータを収集・解析・処理することで、生産計画や製品品質の管理、保全管理などをリアルタイムに行えます。
スマートファクトリーで活用される技術の一つがAI外観検査ソリューションです。AI外観検査ソリューションとは、品画像と不良品画像の特徴をAIが学習することで、熟練者の目視検査に近い品質で24時間稼働可能にした検査システムです。
このシステムにより、適正基準や判定速度の個人差をなくし、検査の効率化を実現できます。
■REIWAの外観検査ソリューションについて、詳しく知りたい方はこちら
REIWAの外観検査ソリューション
自動運転車
自動運転車とは、搭載されたセンサーやカメラ、GPSなどの情報を基に自動的に車の運転を制御できる車両です。
車載センサーから得られるデータを元に運転を制御するには、リアルタイムで高速かつ正確な判断を要します。そのため、膨大なデータをクラウドに送信するのに遅延や通信負荷の問題を抱えてしまう可能性があるため、エッジコンピューティングが必要です。
エッジコンピューティングによる自動運転技術の実現により、事故の減少や渋滞緩和、運転者の負担軽減などのメリットが期待されます。
エッジテクノロジーを活用して業務生産性を向上させよう
エッジテクノロジーとは、インターネットに接続された端末側で、高速かつリアルタイムな処理を行う技術の総称であり、以下の活用メリットを得られます。
- ・レスポンス時間の短縮
- ・情報セキュリティの向上
エッジテクノロジーの導入により、データを収集・解析が容易になり、業務の生産性向上へつながります。また、多岐にわたるソリューションデータを高セキュリティかつ低遅延で活用するには、地域エッジクラウドが有効です。
地域エッジクラウド ソリューション
地域エッジクラウド サービスサイト