目次
1.エッジデバイスとはインターネットと実世界をつなぐ末端のデバイス
この章では、エッジデバイスの概念やエッジコンピューティングの関連性について解説します。
この後に説明するエッジデバイスのメリットや活用事例を理解するためにも必要なことが登場する章になりますので、最後までしっかりお読みください。
1-1.エッジデバイスとは
エッジデバイスとは、ネットワークに接続するときに末端に設置することで、内部と外部をつなぐ役割を果たすデバイスのこと。具体的には、データ処理や通信、制御機能などネットワーク上のデータを収集し伝達する役割を担っています。
また、モノとインターネットを接続することをIoTと言いますが、インターネット接続時にエッジデバイスを設置する位置が端(Edge)であり、デバイス(Device)が装置を意味するため、エッジデバイスと呼ばれています。エッジデバイスを設置することでデータ収集や伝達だけでなく分析も可能です。
1-2.エッジコンピューティングとの関連性
エッジコンピューティングとは、センサーやIoT端末などのエッジデバイスそのものでデータ処理や分析を行う概念のこと。今までのクラウドコンピューティングは、情報をクラウドに集約しクラウド上の高性能サーバーでデータ処理を行っていたため、通信遅延やネットワークに負荷がかかる点がデメリットでした。
しかし、エッジコンピューティングを利用することでデータの加工や分析などの処理をIoTデバイスや周辺領域に配置したサーバーで行い、クラウドに送信できます。そのため、今までの技術では難しかった通信遅延の改善やネットワーク負荷の低減を実現しました。
2.エッジデバイスを活用する4つのメリット
業務にエッジデバイスを活用するメリットは以下のとおりです。
- ・情報セキュリティ対策になる
- ・ネットワークの処理速度の向上
- ・通信コスト削減
- ・BCP対策
4つそれぞれのメリットについて解説するため、エッジデバイスの活用を検討している方はぜひ参考にしてください。
2-1.情報セキュリティ対策になる
ネットワーク上で起こるといけないトラブルは、データの漏えいや改ざんです。実際に政府広報オンライン「個人データの漏えい等事案と発生時の対応について」でも情報漏えいに対する対応や事案を紹介するなど、起こしてはいけない問題の1つとされています。
エッジデバイスを利用したエッジコンピューティングであれば、データをネットワーク上ではなくエッジサーバーで処理するためデータ漏えいや改ざんリスクを軽減でき、セキュリティレベルの向上が見込めます。
2-2.ネットワークの処理速度の向上
今までのクラウドコンピューティングでは、クラウドで全てのデータ処理を行うため、ネットワークに負荷がかかりネットワークの処理が遅延してしまうのがデメリットでした。
しかしエッジデバイスを利用したエッジコンピューティングでは、エッジサーバー上でデータ処理を行いクラウドにデータ送信するため、ネットワーク処理速度が向上しリアルタイム性の高いデータ処理や分析が可能となっています。
2-3.通信コスト削減
クラウドベースのシステムでは、データセンターへの通信料に応じて課金されることが多い点がデメリットでした。つまりクラウドに転送するデータが多いほど、通信コストが発生していました。しかし、エッジコンピューティングではデバイスとIoT機器が近い位置にあるため、クラウドに転送するデータをエッジサーバーで処理できます。
そのため、全体に転送される通信量を削減でき、クラウド転送にかかる通信費コストの削減につながります。
2-4.BCP対策
エッジコンピューティングはエッジサーバとクラウドでデータ保管ができるため、緊急事態への対策、いわゆるBCP対策になります。クラウドコンピューティングは、クラウド環境が何らかの災害によって故障や停止したときにバックアップデータがないため、業務停止してしまう可能性がある点がデメリットです。システムによっては機密情報を取り扱っているケースは珍しくありません。
エッジコンピューティングであれば、たとえクラウド環境が停止した場合でもエッジサーバで情報管理すればクラウド環境復旧までの間、最低減の業務を継続できます。また、デバイスを冗長化(スペア準備)することでシステム停止リスクをさらに軽減できるでしょう。
3.エッジデバイスの活用事例3選
この章ではエッジデバイスの具体的な活用事例を3つ紹介します。
- ・地域エッジクラウド
- ・スマートファクトリー
- ・自動運転
実際の活用事例を参考にするとエッジデバイスがどのようなものかイメージしやすいでしょう。
3-1.地域エッジクラウド
NTT東日本が提供する「地域エッジクラウド」は、複数のエッジコンピューティングシステムを近い場所に設置し、データ処理やサービス提供を行うことで、遅延防止や帯域幅を節約することを目的としたサービスです。
エッジデバイスからデータを収集、処理することで必要に応じてクラウドに転送し、通信量を抑えつつ、リアルタイムにデータの送受信が可能です。そのため、リアルタイムで情報が欲しい災害時や駐車場の情報提供などさまざまな場面で利用されています。
NTT東日本のREIWAプロジェクトでは、地域エッジクラウドを取り扱っているソリューションを紹介しています。「どのようなサービスを取り扱っているか知りたい」「何ができるか知りたい」など興味のある方はこの機会にぜひお問い合わせください。
3-2.スマートファクトリー
スマートファクトリーとは、エッジデバイスが活用されているIoTやAI技術、ロボットなどを利用して工場内の生産ラインを自動化することで、効率的な生産を実現する工場のことを指します。エッジデバイスから得られるデータを収集、解説、処理することで生産計画や製品の品質管理、保全管理など工場生産の効率化を行えます。
また、少子高齢化が深刻な問題として取り上げられている日本では、労働力不足が懸念されており、スマートファクトリーが推進されれば将来の人材不足問題を改善できるでしょう。
3-3.自動運転車
自動運転とは、搭載されたセンサーやカメラ、GPSなどの情報を基に車が自動で運転できる車両のことを指します。自動運転車が普及することで、アクセルとブレーキの踏み間違いや居眠り運転による事故の減少、運転者の負担軽減になるでしょう。
運転技術にエッジデバイスが活用されているのは、リアルタイムで信号を送受信できるレスポンスの速さを兼ね備えているからと言えます。
4.エッジデバイスを活用して業務生産性を向上させよう
この章では、エッジデバイスを活用することで得られるメリットを改めて解説します。
- ・レスポンス時間の短縮
- ・情報セキュリティの向上
エッジデバイスを利用することで、クラウド環境だけでなく、エッジサーバでデータの収集や解析ができるため、結果としてレスポンス時間の短縮が見込めます。ネットワークで重要視される情報セキュリティ面では、エッジサーバでデータ処理を行うため、クラウド環境だけのシステムと比べて安心できる点がメリットです。
エッジデバイスを利用しているものとして地域エッジクラウドが挙げられます。データ格納や情報セキュリティに対して不安を感じる方は活用することと良いでしょう。下記サイトからお問い合わせできますので興味のある人はぜひ参考にしてください。
地域エッジクラウド ソリューション紹介
5.まとめ
エッジデバイスとは、インターネットに接続するときに端に設置するデバイス機器のこと。エッジデバイスを活用するメリットとしてレスポンス時間の短縮やセキュリティ向上、緊急時のサーバ停止防止などが挙げられます。特にレスポンス時間の短縮ができることからリアルタイムで情報発信が必要な「地域エッジクラウド」に利用されています。
また、地震などの災害時やテロ発生など何かしらのトラブルによって業務が停止した場合でも、エッジサーバに重要情報を移動することでシステムを停止せずに稼働できる点は大きなメリットです。
インターネットの発展によってエッジデバイスを利用したシステムが生み出されたように日々新しい技術が開発されています。
地域エッジクラウド ソリューション紹介