2023.05.22 (Mon)

自治体に必要な防災への備え|対策の必要性や取り組み、準備すべき備蓄品を紹介

posted by NTT東日本

日本は、地震や台風、洪水、土砂災害などの災害を受けやすい国です。内閣府の防災情報によると、今後30年以内にマグニチュード8程度の大規模地震が起こる確率は14%といわれているため、防災の備えは大切といえます。 そこで今回の記事では、自治体が防災に備える必要性や防災への取り組みを解説します。また、常備すべき防災用品・備蓄品も紹介しますので、防災の備えにお悩みの方はぜひ最後までお読みください。

1.自治体が防災に備えておく3つの必要性

防災における行政の役割は、地域の「防災力」を高めることです。地域によって、災害の起こりやすさや起こりやすい災害の種類は異なります。

自治体における防災の備えは、地域住民が災害の予兆や避難の順序などを把握するのが目的です。この章では、自治体が防災に備えておく必要性を多面的に確認しましょう。

1-1.自然災害によるリスク軽減

日本の自然災害発生件数とその被害額は増加の傾向にあり、年々リスクが高まっています。地震だけでなく、近年は豪雨による水害も多発していることが特徴です。中小企業が受けた被害がはじめて激甚災害に指定されるなど、自然災害が社会活動に大きく影響しています。

平成30年7月豪雨では、会社の被災によって休業を余儀なくされた人々へ手当が給付されたり、2017年の九州北部豪雨や2016年の熊本地震では、インフラ復旧事業を国で補助したりしました。

いつ起こるかわからない地震だけでなく、水害や土砂崩れなどの自然災害が増加しています。自治体の被災リスクが高まっているため、災害対策によってリスクを軽減することが大切です。

1-2.BCP対策(事業継続計画)の確立

BCP対策(事業継続計画)の策定などの事前の対策をしておかなければ、災害による事業継続が困難になるリスクが高い傾向にあります。災害被害を受けたときには操業率が大きく落ちるため、災害被害で倒産に至らないために平常時からBCP対策(事業継続計画)をしましょう。

自社が災害被害を受けていなくても、取引先企業が被害を受けて事業活動が停止したときにも、影響を受ける可能性が高いです。BCP対策(事業継続計画)は、2011年の東日本大震災で被災した企業が倒産に至った経緯や2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大で、さらに重要性が高まっています。災害後の早期回復をめざすためにも、防災対策は必要です。

1-3.安全配慮義務に対する責任

災害から従業員を守る働きは、安全配慮義務として企業や自治体の責任です。企業・自治体が安全配慮義務を怠ったことが原因で、従業員が怪我や病気になったと認められた場合には、労働契約法第5条の条例違反となり、損害賠償責任を負う可能性があります。

実際に、安全配慮義務違反が認められた判例もあるため、注意が必要です。そのため、普段から正しい知識を身に付けて、防災対策に取り組みましょう。

2.自治体の防災への備えにおける6つの取り組み

この章では、自治体での防災対策を踏まえたうえで、自治体が防災対策として取り組むべきことを解説します。

  • ●BCP対策(事業継続計画)・防災マニュアルの策定
  • ●防災用品・備蓄品の確保
  • ●家具・什器の固定
  • ●定期的な防災訓練の実施
  • ●避難経路・避難所の整備
  • ●情報収集・伝達システムの整備

自治体での防災対策を知って、いつ来るかわからない災害に向けて対策しましょう。

2-1.BCP対策(事業継続計画)・防災マニュアルの策定

災害時に従業員・職員がスムーズに対応できるように、防災マニュアルを作成しましょう。防災マニュアルに含まれる項目としては、以下が挙げられます。

  • ●災害時の組織体制
  • ●情報収集・提供方法
  • ●救護
  • ●初動対応
  • ●避難方法

組織体制では、従業員・職員の役割分担を決めます。該当する人物が負傷や行方不明で対応できない場合に備えて、複数人で決めましょう。

情報収集・提供方法は、災害情報の伝達や消防署などへの連絡に関する項目です。管轄の消防署や電気・水道・ガスのライフラインの連絡先や緊急時の連絡網を記載します。災害時には通信障害が起こる場合があるため、電話以外での代替手段を決めておくことも大切です。

救護は負傷者の救出や応急手当の方法であり、初動対応では初期消火や防災設備の稼働などを記載します。避難方法は、避難経路だけでなく避難路や建物の安全確認も記載しておくと安心です。

また、作成した防災マニュアルやフローを従業員・職員に共有して、災害時に活用できるように常日頃から浸透させます。いつでも使えるように定期的に見直しを実施したり、必要に応じて更新したりすることも大切です。

2-2.防災用品・備蓄品の確保

自治体では、防災備蓄品の準備が不可欠です。災害によって、地域住民が甚大な被害を受けた場合以外にも、勤務中の従業員・職員が被災して公共交通機関がストップして帰宅困難になったなど、さまざまなケースが考えられます。

東日本大震災で、多くの帰宅困難者が発生したのをきっかけに「東京都帰宅困難者対策条例」が定められました。こちらの条例では、自治体では最低3日分の備蓄を用意しておくことが定められています。さらに「備蓄10%ルール」が推奨されているため、3日分の備蓄に余分の10%を加えたものが備蓄品の目安量です。不足しない量の防災備蓄品を準備しましょう。

参照元:「東京都帰宅困難者対策条例」東京都防災ホームページ

2-3.家具・什器の固定

地震による怪我では、家具の転倒や落下によるものが多いため、平常時に家具・什器の固定を行います。特に、コピー機やロッカーなどオフィスならではの什器が倒れると危険なため、壁面や床へ固定しましょう。

収納用品を積み上げる場合には、重たいものを下にして重心が不安定になるのを防止したり、固定が難しい冷蔵庫は上部分をベルトで固定したりします。飛散すると危険なガラス部分には、飛散防止シートを貼っておくと、ガラスが割れても飛散しにくいです。固定で転倒や落下を防止することで、家具の転倒や落下による怪我を防ぎます。

2-4.定期的な防災訓練の実施

防災対策には、定期的な防災訓練の実施も欠かせません。2種類の防災訓練を並行して行うことで、災害時に地域住民や従業員・職員が迅速かつ適切な行動ができます。

地域住民向けの防災訓練の目的は、避難する地域住民が災害時に迅速かつ適切な行動をすることです。一方で従業員・職員向けの防災訓練は、自治体の地域住民たちを災害から守るために、避難誘導訓練をしたり、初期消火訓練をしたりします。AEDの使い方や心肺蘇生法を学ぶ応急救護訓練、負傷者の救出や搬送の手順をシミュレーションしておくと、災害時の救助活動を迅速に行うことが可能です。

2-5.避難経路・避難所の整備

避難経路・避難所の整備では、避難路に指定するルートを実際に歩いて確認します。地図を確認するだけでは荷物で塞がれていたり、緊急時に使用できない可能性も考えられたりするためです。

避難路として確認するときには、倒壊の危険がありそうな看板や塀がないかを確認しましょう。避難経路や避難所を整備しておくことで、スムーズに避難できます。

2-6.情報収集・伝達システムの整備

災害・事故などの緊急事態が発生したときに、従業員・職員が迅速に情報共有できる緊急連絡網を定めます。緊急連絡網の共有によって、従業員・職員が判断に迷わず、情報を伝達することが可能です。

電話やSNS、メールなどの他にも、安否確認システムを導入しておくと緊急時の連絡がスムーズになります。安否確認システムは、災害時を想定してサービス提供側で連絡の到達率を高める工夫が施されているためです。同じメールでの連絡でも、安否確認システムを利用したメールであれば、遅延やサーバーダウンに影響されない場合があります。

情報収集・伝達システムを整備して、災害時にも迅速な情報共有を実現しましょう。

3.常備すべき防災用品・備蓄品

防災の備えとして、防災用品や備蓄品を常備しておくことが大切です。しかし、具体的にどのようなものを備蓄すれば良いのかわからない方もいるでしょう。

この章では、防災用品・備蓄品を職員個人として常備すべきものと、自治体として常備すべきものに分けて紹介します。

3-1.職員個人として常備すべき防災用品・備蓄品

職員個人として常備すべき防災用品・備蓄品は、以下の通りです。

  • ●飲料水(1日3リットル目安で、3日分)
  • ●非常食(人数分を3日分)
  • ●生活必需品(トイレットペーパー、ティッシュペーパー、マッチ、ろうそく、カセットコンロなど)

災害時には、飲料水以外にも生活用水が不足する恐れがあります。普段から水道水を溜めたポリタンクを用意したり、浴槽の水をいつも張ったりするなどで生活用水の備えをしましょう。

非常食は、お湯または水で食べられるアルファ米や乾パンなどのすぐに食べられるものを用意します。

生活必需品は、高齢者や女性、子どもがいる家庭によって、必要なものが異なるため、家族構成に合わせて人数分用意しておくことが大切です。

3-2.自治体として常備すべき防災用品・備蓄品

自治体として常備すべき防災用品・備蓄品では、避難してきた方や怪我をした方に、必要なものを用意します。

  • ●飲料水(1日3リットル目安で、最低3日分)
  • ●非常食(最低3日分)
  • ●簡易トイレ(1人1日5回を目安)
  • ●真空パック毛布

飲料水と非常食は、それぞれ最低3日分を用意します。大規模な災害時には、1週間分の備蓄が必要になるため、余裕を持って用意しておくと良いでしょう。真空パック毛布は本部対策要員に各1枚ずつ、帰宅困難者には2名で1枚を配備するのを目安に用意します。

4.NTT東日本の「シン・オートコール」で災害に備える

災害時には迅速に情報共有することで、素早く避難できたり、人命救助が行えたりします。NTT東日本の「シン・オートコール」は、災害発生時の避難誘導・安否確認ができるNTT東日本の次世代型防災ソリューションです。シン・オートコールは、避難誘導をはじめとする防災無線や安否確認をDX化します。

シン・オートコールでは、AIによる音声読み上げまたは録音した肉声で、固定電話などへ一斉に情報伝達が可能です。スマートフォンを持たない世代や防災無線が聞き取りにくいエリアでも、固定電話などの使い慣れた連絡手段で情報を伝達できるため、誰もが情報を受け取れます。

さらに地域住民の応答状況を蓄積して、迅速に状況を可視化できるため、従業員・職員の方が優先度の高い業務に専念することが可能です。シン・オートコールによって、災害時の連絡業務に関する負担が軽減できます。防災手段の拡充を検討している方は、以下のリンクを参考にしてください。

※シン・オートコールご利用にはAWSのご用意、AWSへの設計構築が必要となります。

シン・オートコール

5.まとめ

自治体が防災に備えることで、リスクの低減やBCPの確率につながります。防災への備えを怠った場合には、安全配慮義務に対する責任を負う可能性があるため、コンプライアンスの強化のためにも大切です。

自治体が取り組むべき防災への備えは、日頃から備えておくことで災害時に活かせます。防災用品や備蓄品の確保以外にも、情報収集や伝達システムの整備が大切です。災害時だからこそ、優先度の高い業務に注力できる環境を整えましょう。労力や時間を短縮できるため、NTT東日本の「シン・オートコール」は、迅速な避難行動につながります。

災害時に命を守る行動をするには、日頃から防災への意識を高めることが大切です。日頃から防災に備えて、災害時の対策をしましょう。

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