目次
1.防災対策が企業・自治体にとって必要である3つの理由
企業や自治体で防災対策が必要な理由は、以下の3つです。
- ・自然災害によるリスク軽減
- ・BCP対策(事業継続計画)
- ・安全配慮義務
企業や自治体は、非常時に人命や安全に配慮した活動を行う必要があります。同時に、事業や取引先の経済的損失防止の対策もしなくてはなりません。この章で、企業や自治体の防災対策の必要性について確認しましょう。
1-1.自然災害によるリスク軽減
日本では、年々自然災害のリスクが高まっています。死亡者数・行方不明者数は減少傾向にあるものの、自然災害発生件数と被害額は増加傾向にあるからです。
また、近年では地震や台風だけでなく、豪雨による水害も多発しています。その中で、中小企業被害が初めて激甚災害として指定されるなど、自然災害の影響は大きいです。自然災害が増加傾向にあり、企業や自治体の被災リスクも高まっているため、災害対策が求められています。
1-2.BCP対策(事業継続計画)
事前にBCP対策(事業継続計画)の策定をしておかなければ、災害による事業停止や、復旧遅延のリスクが高まります。BCP対策(事業継続計画)とは、災害などの非常時に事業を継続・早期復旧させるための施策のことです。具体的には、以下の内容が挙げられます。
- ・迅速に職員・顧客の安否確認ができる体制
- ・緊急時の意思決定のルール作成
- ・緊急時の顧客先・仕入れ先の被災状況確認手段の確保
- ・部品・材料などの代替供給先の確保など
地震・津波などの自然災害の甚大な被害は、事業の継続や復旧を困難なものにします。また、自社が被害を受けていなくとも、取引先が被害を受けて企業活動を停止してしまうと、仕事への影響も大きいです。災害後の早期回復をめざすためにも、BCP対策(事業継続計画)に取り組むべきでしょう。
1-3.安全配慮義務
企業が安全配慮義務を怠り、職員に損害が生じたと認められた場合、損害賠償責任を負う可能性があります。労働契約法第5条には「労働者の安全への配慮」に関する定めがあるからです。
東日本大震災発生時に自動車教習所で教習生や職員が亡くなった事件では、安全配慮義務違反として、教習所側に約19億円の損害賠償命令が出されました。普段から意識して、職員の生命の安全を確保し、災害から守れるよう防災対策に取り組むことが大切です。
2.企業・自治体における4つの防災対策
企業や自治体に求められる防災対策は、以下の4つです。
- ・防災計画の策定・共有
- ・災害備蓄品の用意
- ・防災訓練の実施
- ・緊急時の連絡体制の整備
防災対策は「現実的に実行できるか」という視点で準備しておくことが大切です。防災計画や備蓄品は、実際に準備するだけでなく、内容の周知や認識を徹底しておくと良いでしょう。この章で、防災対策の具体的な内容をチェックしましょう。
2-1.防災計画の策定・共有
まずは、万が一災害が発生した場合に迅速な対応ができるよう、防災計画を作成しておきましょう。防災計画に含めるべきものとして、以下の項目が挙げられます。
- ・災害時の組織体制
- ・情報収集・提供方法
- ・救護方法
- ・初期対応方法
- ・避難方法
防災計画の作成をしたものの、職員への周知ができてなければ意味がありません。防災計画書を一人ひとりに配布するなどして職員と共有し、災害時に対応できるよう浸透させておきましょう。また、企業や自治体の規模や環境に応じて定期的に見直し、更新していくことも大切です。
2-2.災害備蓄品の用意
企業や自治体では、防災備蓄品の用意が不可欠です。勤務中に災害が発生した場合、職員の利用している公共交通機関が止まるなど、帰宅困難に陥る可能性が考えられるからです。
「東京都帰宅困難者対策条例」では、最低3日分の備蓄を用意しておくことが定められています。企業が施設内に準備しておくべき備蓄品として、以下が示されています。
- ・水:ペットボトル入り飲料水
- ・主食:アルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺
- ・毛布やそれに類する保温シート
- ・簡易トイレや衛生用品(トイレットペーパー等)
- ・敷物(ビニールシート等)
- ・携帯ラジオ・懐中電灯・乾電池
- ・救急医療薬品類
- ・その他の物資(特に必要性が高いもの)
経費縮小などの理由で備蓄品の種類や量を抑えてしまうと、災害発生時に不足が発生する可能性があります。人命や事業継続に大きな影響を与えますので、十分な量の備品を準備しておきましょう。
2-3.防災訓練の実施
予測困難な自然災害の対策として、定期的な防災訓練の実施は欠かせません。企業で取り組むべき防災訓練の具体例は、以下のとおりです。
- ・地震や火災発生時の避難誘導訓練や初期消火訓練
- ・心肺蘇生法やAEDを学ぶ応急救護訓練
- ・負傷者搬送手順の模擬訓練など
繰り返し訓練を行うことが大切ですが、形式的だとマンネリ化を引き起こします。地域と共同したり、専門家の手を借りたりして、当事者意識を高められるようにしましょう。
2-4.緊急時の連絡体制の整備
災害・事故などの緊急事態が発生した際に利用する、緊急連絡網を作成しておくと良いでしょう。「どのような順番で・誰が・どこに連絡するのか」を具体的に定めておくと、職員が判断に迷わず済みます。
緊急連絡網を組織全員に共有しておくだけでなく、SNSやメールを活用したり、安否確認システムを導入したりしておくと、さらに緊急時の連絡がスムーズになります。
3.企業・自治体における防災対策を行う際の3つのポイント
企業・自治体で防災対策を行う際は、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- ・人命の安全確保を優先する
- ・二次被害の防止を意識する
- ・防災備蓄品の使い方について講習を実施する
東日本大震災などの災害を踏まえて、企業や自治体ではより高レベルで実践的な防災対策が求められています。この章で、防災対策を行う上で具体的に意識すべきポイントを確認しましょう。
3-1.人命の安全確保を優先する
災害が起きたときの最優先項目は、職員や顧客、取引先などすべての人々の安全確保です。一般的な避難訓練だけでなく、さまざまな場合を想定した訓練をしておく必要があります。具体的には、以下のような場面です。
- ・けが人に応急処置が必要な場合
- ・持病などのハンディキャップがある方への対応が必要な場合など
災害対策に関する研修・教育は、職員全員で欠かさず行うことが大切です。万が一の事態を想定し、人命救助のための行動を取れるようにしておきましょう。
3-2.二次被害の防止を意識する
職員全員が、災害発生時の二次被害を防止する行動をとれるようにしておくことも重要です。多くの場合、地震や台風発生時には、以下のような付随的な災害が発生する可能性があります。
- ・火災
- ・津波
- ・土砂崩れ
- ・停電など
埋立地などの海抜の低い地域や、近隣に河川や海がある場所は、土砂崩れや津波の可能性があります。避難のマニュアルを策定し、迅速に二次被害の防止対策ができるようにしておきましょう。
3-3.防災備蓄品の使い方について講習を実施する
防災備蓄品はどのようなものが準備されており、どうやって使うのかを職員全員が認知しておくことが大切です。防災グッズや防災用具・非常食などは、普段取り扱わないため、緊急時に適切に利用できないことが考えられます。
定期的な備品の使用方法の説明会や訓練を行い、その際に期限切れなどの点検も行っておきましょう。実際に、電気が使えないなどの災害発生時の状況で試食をしたり、防災グッズを使ったりしておくと安心です。防災備蓄品の使用方法などを、職員へあらかじめ教えておくと良いでしょう。
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5.まとめ
企業や自治体では、リスク軽減やBCP対策(事業継続計画)のために、防災対策が不可欠です。また、従業員を災害から守る安全配慮義務も法律で定められています。実際の企業・自治体の防災対策では、以下の準備が求められます。
- ・防災計画の策定・共有
- ・災害備蓄品の用意
- ・防災訓練の実施
- ・緊急時の連絡体制の整備
災害はいつ発生するかわからないため、人命救助や二次被害防止のためにスムーズに行動できるよう、日頃から対策しておくことが大切です。
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