リモートワークとは
テレワークとリモートワークの違いを解説!メリットや導入のポイントについても紹介!
会社に遠隔勤務を導入したいが、正しい名称がテレワークとリモートワークのどちらを使うべきか分からない方もいるのではないでしょうか。
よく似た言葉でなんとなく使っていますが、違いを聞かれたら答えられないという方も多いでしょう。
そこで今回の記事では、「テレワーク」と「リモートワーク」の違いについて解説していきます。新型コロナウイルス感染症で一気に在宅勤務が広がり、言葉の意味などを考える前に、遠隔での仕事がありふれたことになりました。
これらの働き方を取り入れるためには、クリアしなければならないいくつかの課題があります。必要な対応やコツも紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. テレワークとリモートワークの違いは定義があるかどうか
「テレワーク」はテレワークの普及をめざす一般社団法人「日本テレワーク協会」(旧サテライトオフィス協会)が掲げた言葉です。実は同協会が明確な定義を公表しています。
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
※「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語
同協会に参加している441の企業・団体(2023年2月9日現在)は主にICT関係で占められています。このため、テレワークには情報通信技術の活用で遠隔勤務を普及させるという意味が込められています。
一方、「リモートワーク」ですが、こちらには定義のようなものがありません。遠隔で働くということを「リモート」+「ワーク」で表現したと考えられますが、自然発生的に使われるようになった言葉です。
こうして出自に違いのある2つの言葉ですが、私たちが日常で使う場合は同じ意味で使っています。
2. テレワークに分類される働き方3つ
国もIT活用促進や多様な働き方推進などの点から遠隔地勤務を推奨しています。総務省、厚労省、国交省、経産省の4省が関係省庁で、言葉としては「テレワーク」を採用しています。
その形態は、勤務場所によって大きく以下の3つに分けられています。
- 在宅勤務
- モバイルワーク
- サテライトオフィス勤務
この章では、それぞれについて詳しく説明します。
在宅勤務
在宅勤務は、出勤せずに自宅で仕事をする勤務形態です。勤務時間内は基本的には自宅にいることが求められ、以下のようなツールを使います。
- メール
- 電話
- チャットツールなどのITツール
- インターネットで接続できる業務システム
育児や介護などの都合で長時間の外出が難しい方も、在宅勤務であれば柔軟に働けるでしょう。インターネットの世帯普及が進んだことで実現したと言えます。
モバイルワーク
モバイルワークは、ノートパソコンやスマートフォンなどのモバイル端末を活用して、外出先や訪問先などを移動しながら仕事をする勤務形態です。営業など外回り中心の職種で増えており、日報の提出などもモバイル対応して、会社に出ず直帰という形態もあります。
出先で使えるインターネット回線が必要なため、Wi-Fiや携帯電話回線を使います。Wi-Fiでは無料で利用できる「フリーWi-Fi」もありますが、情報漏えいや盗聴のリスクがあります。このため、携帯電話回線やVPNなどを利用することをおすすめします。
サテライトオフィス勤務
サテライトオフィス勤務は、本社や本拠地から離れた場所にオフィスを設けて、そこに出社する勤務形態です。離れた本社への通勤の負担を軽減する方法としても採用されています。
オフィスのスペースは、建物や部屋を賃貸契約してインターネット回線を引くことなどで開設します。小規模なら、備え付けのオフィス家具などもあるレンタルオフィスで調達することもあります。また最近では、一つの空間を複数の会社や個人がシェアするシェアオフィスも増えています。
3. テレワーク・リモートワークが必要とされている背景
日本テレワーク協会が、前身の日本サテライトオフィス協会として立ち上げられたのは1991年で、30年以上も前のことです。その間も、テレワークの普及に努めてきたのですが、実際に急速に普及したのは最近のことです。
なぜ、テレワークやリモートワークが必要とされるようになったのかというと、以下のような要素が後押ししているからです。
- 新型感染症の拡大
- 少子高齢化による労働人口の減少
- 政府による働き方改革の推進
この章では、それぞれについて詳しく説明します。
新型感染症の拡大
テレワークやリモートワークが浸透し始めた理由として、新型コロナウイルス感染症の影響が挙げられます。通勤や出張を含め、外出そのものを自粛する機会が増えました。そのため、ほとんどの企業がテレワークやリモートワークを導入せざるを得なくなりました。
少子高齢化による労働人口の減少
日本は、出生率が低下する少子化と高齢者の割合が増える高齢化が同時に進行する「少子高齢化」のまっただ中にあります。15歳から64歳の働き手の中核部分は年々減少し、労働力が不足するという事態を迎えています。
そこで、年齢や性別を問わず、働ける人には働いてもらおうという方向に進んでいます。働く人を増やす手段の一つとして、勤務場所を問わないテレワーク、リモートワークが脚光を浴びました。実際に、育児や介護で長時間自宅を離れられない方が働ける環境づくりも進んでいます。
政府による働き方改革の推進
総務省・厚労省・国交省・経産省の4省は、それぞれICTの活用や働き方改革、都市部の集中解消、産業振興の観点から、テレワークを推進し、モデル事業や助成金で後押ししています。
企業としても、従業員のワークライフバランスの向上は人材確保のための条件です。働く側にとっても、通勤にかかっていた時間を削減して介護や育児、家族との時間にあてられれば生活の質が上がります。
また、政府は地方のデジタル投資を引き上げる「デジタル田園都市国家構想」をまとめました。今後もテレワークの波は止まらないでしょう。
4. テレワーク・リモートワークが企業にもたらすメリット3つ
浸透しつつあるテレワークやリモートワークですが、導入によって得られる効果にはどのようなものがあるのでしょう。例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 優秀な人材の確保
- オフィスや人件費にかかわるコストの削減
- 労働生産性の向上
この章では、それぞれのメリットについて詳しく説明します。
優秀な人材確保
テレワークやリモートワークを取り入れることで、優秀な人材の獲得が期待できます。優れた能力を持っているのに、病気やけが、家庭の事情などで、通常の働き方ができないという人もいます。そのために退職を余儀なくされたという人もいるでしょう。
テレワークを取り入れることで、こうした人たちがハンディを越えながら働けるようになります。場所を選ばない働き方は、都会から遠く離れた人たちにもチャンスを与えます。
オフィスや人件費にかかわるコスト削減
テレワークの導入により、オフィスや人件費などの関連コストを削減できます。出社する人数が多いほど、大きなスペースが必要です。出社人数を絞り込むことで不動産関連の費用が抑えられます。
また、テレワークでは、書類や資料のやり取りは基本的にデータとネットワークで行うため、用紙代や印刷代を減らすことができます。加えて、通勤がなくなれば、交通費の削減にもなるでしょう。
労働生産性の向上
テレワークで働くと、オフィスの雑然とした環境を離れて、仕事に集中しやすい環境を自ら整えることができます。
電話応対や窓口対応などで仕事を中断していた方は、テレワークにすることで集中しやすくなり、生産性の向上が期待できます。
5. テレワーク・リモートワーク導入で生じる問題点4つ
テレワークには多くのメリットがありますが、同時に問題となりやすい要素もあります。例えば、以下のようなものです。
- セキュリティ対策が不十分
- 勤怠・タスク管理が難しくなる
- コミュニケーションの手段が乏しい
- 署名・押印・紙文化からデジタル化に変わらない
この章では、それぞれについて詳しく説明します。
セキュリティ対策が不十分
テレワーク・リモートワークでは会社外で仕事をするため、社用のパソコンやデータの入ったUSBメモリーなどを外部に持ち出すことになります。これが盗難や紛失につながる可能性があります。そのため、ID・パスワードも厳重に管理しなければなりません。
また、ネットワーク環境も社外になるので、情報セキュリティ対策が十分でないことがあります。ID・パスワードを盗まれると、会社のシステムに簡単に侵入を許してしまいます。
社外からのネットワーク利用には、しっかりとした情報セキュリティ対策を持ったツールを使いましょう。
勤怠・タスク管理が難しくなる
テレワークやリモートワークでは、社員の勤務状態を把握しにくくなります。勤務時間や業務内容が規定通りになっていないことがありえます。さぼっていたというだけでなく、働き過ぎていたというケースもあるでしょう。
こうしたことを避けるため、遠隔業務に対応した勤怠管理システムやタスク管理ツールを導入するのがおすすめです。遠隔で顔が見えない中でも、勤務実態を把握できるようになります。
コミュニケーションの手段が乏しい
テレワークは、ちょっとした声かけや雑談がしにくいという環境です。そのため、従業員同士のコミュニケーションが不十分となり、認識の食い違いが生まれやすくなります。
また、出勤した従業員と在宅勤務の従業員で、得られる情報量に差が出る可能性もあります。在宅勤務者を置き去りにしないよう配慮が必要です。
チャットツールやテレビ会議などを上手に利用して、在宅勤務者と頻繁にコミュニケーションを取るようにすることが大事です。
署名・押印・紙文化からデジタル化できていない
テレワークを実施中にどうしても出社が必要になる原因に、署名や押印があります。経理担当者だけが出社し、紙の書類を処理しているという会社も多かったようです。
事務のペーパーレス化ができていない会社は、テレワークに二の足を踏む傾向があります。また、署名・押印だけでなく、完全にテレワーク化するのが難しい業種や業務内容もあります。
そうした会社ほど、ポイントの解決策が見つかればスムーズにテレワークに移行できる可能性があります。
NTT東日本のテレワークに関する資料やコラムは解決のヒントが詰まっています。「テレワーク導入ガイドブック」などのテレワーク推進で役立つ資料を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
6. テレワーク・リモートワーク導入のポイント5つ
テレワーク・リモートワークにはコツがあります。どのようなものか知って取り組んでいきましょう。
- 福利厚生制度を見直す
- 仕事の割り振りや評価制度を見直す
- 適切な情報セキュリティ対策を行う
- 勤怠管理システムで出退勤を管理する
- ICTサービス・ツールを導入する
この章では、それぞれについて詳しく説明します。
福利厚生制度を見直す
テレワークが拡大すると、従業員の出勤にかかっていた交通費が削減できます。その一方、在宅で仕事をするために、インターネットの通信費や電気代の出費が増えることになります。
必要な費用がシフトすることに対応して、福利厚生制度の見直しが必要になります。支給体系自体を再考する必要が出てくるかもしれませんし、受給できる補助金なども変わる可能性があります。
仕事の割り振りや評価制度を見直す
テレワークで働く在宅勤務者と出勤者の間では、どうしても不公平感が生まれやすくなります。両者の間の仕事の割り振りや、目の届きにくい在宅勤務者の人事評価が難しいためです。
評価に関する不満を引き起こさないためには、事前に十分な理解を得ておくことが重要です。業務の目標と仕事の割り振りの仕方、評価方法を明確にして、全員が納得できる形で合意しておくことをおすすめします。
適切なセキュリティ対策を行う
在宅勤務者が自宅で仕事をする際、会社支給ではない個人所有のパソコンを業務に使う可能性があります。個人の端末は会社のセキュリティポリシーに沿った運用がされていません。
サイバー攻撃による被害や情報漏えいを防ぐため、従業員が自宅で仕事をする際のセキュリティガイドラインを作成しておきましょう。また、端末へのセキュリティ対策ソフトの導入も必須です。
会社ごとの違いも大きいので、自社の状況に合わせた適切な対策をとることが大切です。
勤怠管理システムで出退勤を管理する
遠隔で勤務している従業員の勤務状況を把握するのは難しいことです。しかし、さぼったり、勤務時間を超えて働いたりするのは労務管理上の問題となります。
勤怠管理システムは、出退勤の管理のための大事なツールです。テレワーク導入にあたっては遠隔勤務に対応したシステムを使いましょう。また、運用にあたっては、勤怠の虚偽報告を防止する仕組みが求められます。
加えて、勤怠に紐付かない方法での従業員評価制度も必要です。会社の状況にあわせて適切な対応をとりましょう。
ICTサービス・ツールを導入する
スムーズなテレワークには、ICTサービスやツールの活用が不可欠です。テレワークやリモートワークにおすすめのサービスやツールには、以下のものがあります。
- Web会議システム
- 勤怠管理システム
- チャットツールなど
業務内容に必要なものを選び、テレワーク導入前までに社内全体で活用できるように準備しなければなりません。
7. テレワーク・リモートワークで柔軟な働き方をしよう
「テレワーク」と「リモートワーク」の違いは、テレワークが業界団体の定義した言葉であるのに対し、リモートワークは自然に発生した言葉である点です。国の機関ではテレワークがよく使われますが、一般の方は同じ意味と考えて問題ありません。
テレワーク、リモートワークの導入にあたっては、情報セキュリティ対策や勤怠管理という問題をクリアしなければなりません。署名・押印など文化的でもある点の見直しが必要なこともあります。
導入時のポイントでは、福利厚生制度や評価制度の見直し、適切な情報セキュリティ対策の実施などがあります。テレワークの実現のため、自社に適切なICTサービスやツールを導入しましょう。