2017.1.4 (Wed)
顧客満足と経営のほどよい関係(第9回)
顧客満足でいちばん重要視すべきことは?概要
顧客満足は、自社製品やサービスに対する顧客の満足度のことである。主に購入前の期待と購買後の成果がもたらす満足/不満足の度合を指す。
購入前に商品に対して抱いていた期待に対し、購入後、その期待を上回る使い勝手や楽しさ、食べ物であればおいしさを感じれば満足度は高く、逆にツマラナイ、使えない、まずいなどマイナスの感情を抱けば満足度は低いといえる。
場面
顧客満足はスローガンではなく、経営の価値観や進め方を改善していく施策として位置づけが可能である。会社全体として行う施策のため、コストの発生は避けられないが、必要以上のコスト負荷は商品やサービスの価格に転嫁される可能性が高く、顧客がコスト負担を行うかたちとなる。そうなった場合、結果として顧客満足の向上に寄与しないので、できるだけコストは抑えるべきである。
シーン
現代のマーケティングにおいて、顧客満足の向上は重視すべき施策のひとつ。企業利益に直結するため、その度合いをつねに測定する必要がある。企業においては顧客満足度の達成度合をチェックするため、購入者向けのアンケート調査、覆面調査員を配した店舗調査、店内のポストを使った顧客からの苦情・提案情報の収集などを行い、つねに顧客満足度を測定する必要がある。
気をつけるべきポイント
顧客満足度の調査は社内でスケジュールや推進体制を整えたうえで、プロジェクト化して行うと、満足度向上施策の実施・立案がスムーズになる。これにより現状の把握と、分析、その先のリテンションまで行いやすくなる。リテンションとは顧客の再来店やリピート購入、エンゲージメント(顧客との結びつき)の強化を指す。
歴史
顧客満足は1980年代にアメリカで生まれた概念で、生産者主導で考えられていた商品の質を、消費者の要望、嗜好を踏まえたものに変えていくべきではないか、という考え方が背景にある。とりわけサービス業などの第三次産業の割合増加が遠因になったともいわれている。
1990年代には、顧客ロイヤリティの概念が体系化。これにより顧客満足度を算出しCRM(Customer Relationship Management)を実施するための基盤が作られ、より数理的にとらえられるようになる。
最近では、ACSI(American Customer Satisfaction Index)と飛ばれる産業別の顧客満足度指数をアメリカの政府機関が発表、「満足度」という心理的・感覚的なものに対し一定の指標ができ、より知覚的に顧客満足の構造を把握できるようになった。