目次
1.ワーケーションとは?推進されている背景も解説
ワーケーションとは、ワークとバケーションを組み合わせた言葉です。ここでは、ワーケーションとは「どのような働き方なのか」についての概要や、推進されている背景も含めて解説します。
1-1.ワーケーションとは
ワーケーションとは、職場ではなく観光地などで余暇を楽しみながら業務を行う働き方です。自宅やカフェ、コワーキングスペースなどを利用するリモートワークとは異なり、ワーケーションは旅行先で作業を行います。
ワーケーションは、目的によって2種類に分けられます。
- ・休暇型ワーケーション
- ・業務型ワーケーション
休暇型ワーケーションは、余暇を楽しむことを目的とし、福利厚生の一環として取り入れている企業が多いです。一方、業務型ワーケーションは、働くことを主な目的としています。
ワーケーションは国からも推奨されている働き方で、キャンプ場や旅館でも実施できるよう、Wi-Fi環境の整備やコワーキングスペースの設置などの支援が行われています。
1-2.推進される背景
ワーケーションは、ノートパソコンやインターネット接続環境が普及した2000年代に初めてアメリカで提唱されました。日本では2017年頃にワーケーションという考え方が誕生し、政府が推進する働き方改革の一環として、少しずつ導入する企業が増えてきました。
ワーケーションが急速に注目・推進されるようになったのは、新型コロナウイルス感染症の流行が主なきっかけです。新型コロナウイルス感染症の流行によって観光業が大きな経済的ダメージを受けたため、観光地を助けようと新しい働き方が浸透しました。
2.【従業員側】ワーケーションのメリット3選
ワーケーションは従業員や企業、自治体のそれぞれにメリットをもたらします。この章では、従業員におけるワーケーションのメリットを解説します。ワーケーションを取り入れることで、従業員にどのような変化が期待できるのかを把握しましょう。
2-1.作業効率化につながる
職場で仕事をしていても、掃除などの雑用が増えたり他の従業員と会話したりすると、なかなか生産性が上がりません。ワーケーションの場合、周囲を気にすることなく作業だけに取り組めるため、作業効率の向上が期待できます。
2-2.気分転換しやすい
ワーケーションは観光しながら業務ができるので、気分転換がしやすいというメリットがあります。リゾート地や観光地で仕事をするため、仕事に疲れて気分転換したくなったときはすぐに遊びに切り替えられます。気分転換がしやすくストレスが軽減されるため、結果として作業の効率化も期待できるでしょう。
2-3.働き方の選択肢が増える
ワーケーションの制度が導入されると場所の制限が無くなるため、働き方の選択肢の拡大につながります。働き方の選択肢が増えれば、従業員のワークライフバランスの向上が可能です。最近はワークライフバランスを重視して仕事を探す人が増えているため、ワーケーション制度の導入によって就職希望者が増え、企業にとってのメリットにもなり得ます。
3.【企業側】ワーケーションのメリット3選
企業側には、生産性の向上や従業員の定着率が上がるなどのメリットがあります。この章では、企業におけるワーケーションのメリットを解説します。ワーケーション制度の導入によって、企業にどのような利益があるのか把握しましょう。
3-1.生産性の向上につながる
ワーケーションと聞くと、遊びの延長線上で仕事を行うものでオンオフの切り替えが難しいというイメージを持っている人もいるでしょう。ワーケーションは限られた時間で仕事をこなそうとするため集中力が上がり、生産性の向上が期待できます。さらに、職場とは違った環境で仕事をするため新しいアイデアが出やすく、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。
3-2.従業員の定着率が上がる
さまざまな働き方の中から自分に合った環境を選べるようになるので、従業員のワークライフバランス向上につながります。働き方の選択肢が広がれば従業員の状況に柔軟に対応できるようになり、結果として定着率の上昇が期待できます。さらに、多種多様な働き方の導入や地域活性化への貢献は、企業イメージの向上にもつながるでしょう。
3-3.有給休暇取得率が上がる
働き方改革関連法案により、年5日間の有給休暇取得が義務付けられました。日本は世界的に見ても有給休暇の消化率が悪く、長期休暇や休みを取りにくいのが現状です。ワーケーション制度を導入することで長期休暇を取りやすくなり、有給休暇取得率の上昇につながります。有給休暇取得率が高いと社外へのアピールになり、企業イメージの向上や新しい人材の確保が期待できます。
4.【地域側】ワーケーションのメリット3選
自治体はワーケーションを誘致することで、平日の観光・旅行の需要創出や地域活性化につながります。この章では、地域側におけるワーケーションのメリットを解説します。ワーケーションの誘致によってどのような効果があるのか、確認しましょう。
4-1.平日の観光や旅行の需要創出につながる
ワーケーションが行なわれるのは、基本的に平日です。平日の観光客が少ない自治体にとって、ワーケーションは需要拡大の大きなチャンスです。ワーケーションの利用者側にとっても、平日は観光客が少ないためゆっくり楽しめたり宿泊費が安くなったりなど多くのメリットがあります。このように、ワーケーションは受け入れる地域と利用する従業員の両方にメリットがある仕組みです。
4-2.地域の関連事業活性化や雇用創出につながる
ワーケーションを誘致して多くの人に足を運んでもらうことで、宿泊施設や飲食店などの売り上げアップが期待できます。それだけではなく、ワーケーション制度を導入している企業と地元企業がつながり、新しい事業が誕生することもあるでしょう。企業によっては、地域にサテライトオフィスを設置するケースにもつながり、新たな雇用の創出も期待できます。
4-3.交流人口が増加する
ワーケーションの利用で地域に訪れる人が増えると、おのずと自治体の交流人口が増加します。地域に訪れた人がSNSで魅力を投稿し、自主的にプロモーションをしてくれると、それを見た方が観光に来てくれることがあるでしょう。さらに交流人口の増加によって、新たな雇用が生まれたり遊休施設が有効活用されたりと地域が抱える問題の解決につながる可能性があります。
5.【従業員側】ワーケーションのデメリット2選
ワーケーションはさまざまメリットがありますが、従業員や企業、地域のそれぞれに注意すべき点があります。この章では、従業員におけるワーケーションの注意点を解説します。ワーケーションをする上で従業員側は「どのような点に注意すべきか」「デメリットはあるのか」が分かる内容になっているので、ぜひご覧ください。
5-1.宿泊費・交通費など費用がかかる
ワーケーションを行うときは、宿泊費や交通費がかかります。自ら働く場所を選択することになるので、ワーケーションにかかる費用のほとんどが、従業員の負担になっている企業が多いかと思われます。ワーケーションを行う上で、企業は従業員に費用負担が発生することを説明し、理解してもらう必要があります。
5-2.労働時間の自己管理が必要になる
ワーケーションを行うとき、基本的に時間の使い方は従業員に任されます。自分で働く時間帯をある程度自由に決められるメリットがあるものの、労働時間を管理しなくても良いわけではありません。職場で作業をするとき以上に、労働時間に対するリテラシーと理解が求められます。
6.【企業側】ワーケーションのデメリット3選
企業側においては、就業時間が把握しにくい、セキュリティリスクがあるなどの注意点があります。この章では、企業側におけるワーケーションの注意点を解説します。ワーケーションを導入するときに企業側が気にしている点でもあるので、誘致を行うときの参考にしてください。
6-1.就業時間が把握しにくい
ワーケーションでは従業員が職場から離れたところで働くことになるため、労働時間や仕事の状況を把握しにくくなります。基本的に労働時間は従業員から自己申告してもらうことになるので、正確な数値は企業側で把握できません。ワーケーション導入時は、労働時間に関する規定や人事評価のプロセスなど、事前に決めておくことが大切です。
6-2.セキュリティリスクが高まる
ワーケーションでは職場以外のインターネットを利用して業務を行うため、セキュリティリスクが高まります。そのため、ワーケーションを行う際には、個人情報や社内情報の取り扱いについて対策が必要です。さらに、パソコンの盗難・紛失に対する対策も検討しなくてはいけません。企業だけではなく、従業員にも情報セキュリティ対策について理解してもらうことが重要です。
6-3.導入コストがかかる
ワーケーション導入時には、従業員が遠隔地にいてもスムーズに仕事ができるよう環境を整える必要があります。高速で安全なWi-Fi環境や業務で必要なパソコンなどのツールやシステムなどが必要なため、その分コストがかかります。既にシステムやツールを導入している企業にとっては大きな負担にはならないですが、これから準備をする場合は膨大なコストが必要です。
7.【地域側】ワーケーションのデメリット2選
ワーケーションを受け入れる地域側には、環境整備の費用や感染症拡大のリスクといった注意点があります。この章は、ワーケーションの地域側の注意点が分かる内容になっているので、誘致を検討している自治体の方はご覧ください。
7-1.環境設備に費用がかかる
ワーケーションの受け入れには、高速で安全なWi-Fiやコワーキングスペースなど環境を整えるために費用がかかります。ワーケーションのために高クオリティのインターネット接続環境や設備を整えると、利用者の数によっては維持費の方が高くなってしまう可能性があるので注意が必要です。
7-2.感染症拡大のリスクがある
ワーケーションでは他の地域の人を積極的に受け入れることになるため、感染症拡大のリスクがあります。コワーキングスペースや宿泊施設などにおいて、感染症対策の徹底が必要です。特に高齢者が多い地域の場合、地元に住む人への配慮が大切なので、必要に応じて説明を行い理解してもらうことが重要です。
8.ワーケーション誘致をするなら「実証実験・トライアル」がおすすめ
地域がワーケーションを誘致するときは、利用者が快適に仕事ができる環境整備が必要です。そこでおすすめなのが、NTT東日本が提供している「実証実験・トライアル」のサービスです。
キャンプ場の運営のスマート化を通じた利用者拡大や消費促進につながる仕組みなど、持続的な地域経済の発展に向けた取り組みを行っています。例えば、デバイスとアプリを連携しキャンプ場への予約から宿泊施設への入室まで人を介さず対応できたり、さまざまなICT技術を搭載したトレーラーハウスでワーケーションができたりします。
「実証実験・トライアル」は、地域活性化の仕組みを考え、データを活用しながら継続的なアップデートが可能です。地域活性化やワーケーションの誘致を検討している地域の人は、ぜひ以下のリンクをご覧ください。
9.まとめ
ワーケーションとは、観光地やリゾート地など、職場とは離れた場所で余暇を楽しみながら働くスタイルです。ワーケーションには、以下のように従業員・企業・地域それぞれにとってメリットがあります。
- ・リフレッシュできる
- ・生産性の向上につながる
- ・地域の活性化につながる
ワーケーションを誘致するときには、利用者が快適に仕事に取り組める環境整備が欠かせません。ワーケーションを通じて地域活性化をめざしている地域や施設の人は、以下のリンクを参考にしてください。
キャンプ場から広がる地域の未来!
遊休資産の活用による持続的な地域経済の発展