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2023.05.29 (Mon)

スマートシティとはデジタル技術を駆使した持続可能な都市|自治体の事例をわかりやすく解説

posted by NTT東日本

スマートシティとは、IoTやAIなどの技術を駆使してさまざまなデータを収集・活用する都市です。ICT技術を活用した新たな価値創出によって、ビジネス面のチャンスはもちろんのこと、実現後に得られるデータの活用で新たな利益を獲得するチャンスが得られる可能性もあると考えられます。

そこで、今回はスマートシティの定義や目的のほか、自治体による取り組みなどの事例を紹介します。スマートシティについて理解しやすい内容になっているので、スマートシティへの取り組みを検討している方はぜひ最後までお読みください。

1. スマートシティとは?定義や目的を解説

この章では、スマートシティの概要をわかりやすく解説します。近しい概念としてよく耳にする「スーパーシティ」とは何なのかも正しく理解しておきましょう。

1-1. スマートシティとは?

スマートシティは政府や自治体がIoTやAIのようなデジタル技術を活用してインフラを効率化し、人々にとって持続可能な住みよい都市です。

内閣府によってスマートシティは、以下のように定義されています。

“スマートシティは、ICT 等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域であり、Society 5.0の先行的な実現の場と定義されています。”

参照元:「スマートシティ」内閣府

都市や地域の抱える課題に対して個々に解決するのではなく、スマートシティでは新技術を連携させて横断的な取り組みによって複数の課題を解決へ導きます。

1-2. スマートシティが注目されている背景

スマートシティが注目されている背景には、世界規模での人口増加が挙げられます。国連の推計によると世界人口は2050年までには97億人に増加すると予想されています。都市部へ人口が集中することで、エネルギー消費量や交通量が飛躍的に増加し、環境汚染や交通渋滞などの問題が引き起こされる可能性もあります。

参照元:国際連合広報センター|2022年8月18日プレスリーリース記事より

日本では災害の頻発や少子高齢化、高度経済成長期におけるインフラの老朽化など、先進国に先駆けて多くの課題に直面しています。こうした問題に対応するために、都市全体のインフラをIoT技術で管理し、電力・行政・交通などへの効率化をめざす期待が高まっています。

参照元:都市交通調査・都市計画調査:スマートシティに関する取り組み - 国土交通省 (mlit.go.jp)

1-3. スマートシティのこれから

スマートシティの実現には大規模なレベルでの取り組みとなることから、単一の企業だけでプロジェクトを行うケースは稀です。異なる能力を持った複数の企業が行政自治体などと連携しながら進めるのが基本的な形式といえます。

自治体および企業・研究機関、関係府省などと「スマートシティ官民連携プラットフォーム」が発足されました。企業・大学・研究機関・地方公共団体・関係府省等から構成されるプラットフォームを軸として、官民が一体になって全国各地のスマートシティの取組が推進されます。

参照元:「持続可能な都市を構築するために~JICAの新たな挑戦~」独立行政法人 国際協力機構

1-4. スーパーシティとの違い

スーパーシティはAIおよびビッグデータを活用し、社会の在り方を根本から変えるような都市設計であり、生活、ビジネスのしやすさにおいて世界最先端の都市です。スーパーシティは、都市OSの概念を導入しています。都市OSとは、各自治体をまたいでも同じようにサービスを使うために設計された基盤です。

スマートシティでは、各自治体が主体となり技術が活用されたサービスを提供しています。スーパーシティでは、画一的な規格で日本全体に最先端技術を使って、課題を解決しようとする点がスマートシティと異なるでしょう。

参照元:「『スーパーシティ』構想について」内閣府

2. スマートシティが日本で推進される3つの理由

スマートシティが日本で推進される理由は環境や人に配慮しながら、課題解決につながるためです。この章では、注目される理由として3つのポイントを解説するので、ぜひ参考にしてください。

2-1. 都市ごとの課題やニーズに対応できる

交通渋滞は都市部への人口集中でますます深刻化しています。AI(人工知能)やスマート交通システムを利用することで、環境に配慮しながら渋滞を緩和し、ドライバーと歩行者に安全を提供する交通改善が試験中です。

AI(人工知能)を活用した自動運転技術やMaaS、次世代通信規格5Gによって都市部の問題だけではなく、過疎地で生活する高齢者が買い物しづらい問題の解決案としても期待されています。自動車をドローンに置き換える方法も考えられており、実現されれば小包の配送のほかに乗客の輸送や、食事の配達も可能です。技術の進歩に伴い、都市ごとに交通効率と安全性の向上に重要な役割を果たしていくでしょう。

2-2. 気候変動へ柔軟に対応し高い効果が期待できる

災害リスクデータの可視化によって、防災対策に効果が期待できます。都市空間データと災害データの重ね合わせによる、災害リスクの可視化および、避難シミュレーションや防災対策の実現が可能です。

たとえば、365日24時間収集した降雨量のデータをAIで分析して、今後の河川氾濫(はんらん)予測をします。崖などに位置情報の測定が行えるセンサーを埋め込むことで、地盤の動きをいち早く捉えることが可能です。土砂災害や崖崩れの予兆を見つけて、住民に避難を呼びかけられます。

このような取り組みにより、人手をかけずに、災害から安心・安全を守る自治体が増加しました。

データのオープン化・高度化、異業種・産学官での連携等による幅広い分野における防災・減災のためのスマートシティが検討されています。

2-3. 環境負荷を減らして生活の質が向上する

都市や地方によって課題やニーズはさまざまですが、個人のライフスタイルに合わせてICT技術を柔軟に取り入れることで、生活の質が向上すると考えられています。技術の活用により距離や時間制約が減り、生活維持の時間を自己実現の時間として使えるためです。

たとえば、オンライン注文で手軽に購入する、またはテレワークなどのICT技術を導入したことで働き方改革も進み、オフィススペース縮小するところも増えました。このような取り組みは各自治体や民間企業との連携が不可欠となり、技術力向上やインフラ整備などが期待され、社会が抱えている問題の解決にもつながります。

3. スマートシティに取り組んだ自治体の事例4選

この章では、スマートシティに取り組んだ自治体の事例を紹介します。実際の施策イメージを理解できるように、取り組みの背景と重要性を具体的に見ていきましょう。

3-1. 遠隔協同子育て支援ロボット 未就学児向け発達巡回の実証実験

東京都渋谷区は2021年10月より、子育て支援ロボットによる未就学児向け発達巡回の実証実験を開始。ロボットの遠隔操作にて、遠く離れた園児と発達あそびを行い、子どもの発達状況(得手・不得手や特徴)を日常的に観測したのち、蓄積データをもとに、子どもの発達に関する早期発見や発達状況を評価し見合った支援をサポートします。保育園及び一般家庭による実証実験を経て、保育園 や幼稚園等の乳幼児向け施設や発達に不安がある一 般家庭向けへの発達支援へ展開予定とのことです。

参照元:渋谷区スマートシティ推進基本方針(37ページ)

3-2. 岡山県倉敷市 AI/IoT技術によるスマートパーキング

倉敷市は、美観地区周辺における観光需要による駐車場供給量不足と観光渋滞が課題となっていました。そこでスマート・パークアンドライドと題し既存駐車場等にAIカメラ、IoTセンサを設置しました。これにより、人と車の通行量と滞留状況をリアルタイム収集し、AIを活用した渋滞リスク予測が行えます。また、官民オープンデータと連携して、状況に応じてルート案内を行い、まちなか歩きを誘導する活用も実施中です。

収集されたデータは標準化して、オープンデータとして公開します。対象駐車場を10ヶ所に拡大しての整備を行い、得られたデータのオープン化と共に、スマート・パークアンドライドモデルの横展開を順次進めていく方針です。

参照元:倉敷駅周辺地区スマートシティ検討ワーキンググループ

3-3. 兵庫県加古川市 ICTを活用したオンライン申請システム

兵庫県加古川市では、2020年に全国一律に給付される特別定額給付金において、マイナンバーカードを不要とし、独自でオンライン申請システムを構築しました。市民はオンラインで簡単に申し込め、市では入力などの工数を軽減でき、給付までの期間をできる限り短縮するという、加古川市が独自でめざした「郵送ハイブリッド方式」が実現されました。また、加古川市では市民にとって一番の優先事項である振込時期についても、オンライン上で申請処理状況の確認も可能なシステムが構築されています。

加古川市職員が発案した、このオンライン申請システムは、外部に委託することなくシステム構築まで独自で進められ、発案から1週間あまりでスタートし、スピーディーに立ち上がりました。市民の声が好評だったこともあり、関心がある他の自治体にも活用してほしいという加古川市の意向で、独自で開発されたシステムをオープンデータとして公開しています。

参照元:加古川市|かこがわオンライン申請システム

3-4. 千葉県柏市 エネルギーを地域で融通しあうスマートグリッド

千葉県柏市にある「柏の葉スマートシティ」は、蓄電池や太陽光発電などの分散電源エネルギーを街の区間で相互に融通する、スマートグリッドを2014年7月より運用を開始しています。自営で分散電源や送電線などを活用し、公道をまたぎ街区間で電力の相互融通が行える日本初のケースです。分散電源の電力を街区間で融通し街全体における電力ピークカットの実現が可能になりました。

参照元:柏の葉スマートシティ

4. スマートシティの実現に向けた課題

スマートシティの実現に向けて課題と考えられるのは、さまざまな情報収集によってプライバシーの侵害が生じてしまう懸念です。

スマートシティはさまざまな場所へセンサーが設置されるなど、情報収集されやすい環境も生まれています。そのデータは分析されるため、監視されていると感じたり、プライバシーが侵害されていると感じたりする可能性があるでしょう。

また、システムに突発的なトラブルが発生してしまうと、さまざまな都市機能が停止するリスクも考えられます。都市の規模が大きければ大きいほど、システムの構造は複雑になるため、復旧までにかかる時間も長くなると考えられています。

スマートシティの構築には既存のインフラとAIやIoTなどの技術を融合させる必要があるようです。そのために技術開発とインフラの整備・維持・運用に多額のコストの懸念も生じます。コストの住民負担はどうしても賛同が得にくく、場合によっては計画の見直しを迫られることもあるでしょう。

5. 一人ひとりの価値観や生活様式に合った都市機能を実装

各地の都市には、それぞれ異なった課題やニーズを抱えています。人々の価値観が多様化し、さまざまな社会問題が顕在化し、すべての人が同じかたちの幸せや豊かさを追求することはむずかしくなってきています。

一人ひとりの生活様式や価値観に寄り添う機能を都市自体へ備えることが求められており、蓄積されたデータを有効に活用ができるスマートシティの構築が、ますます必要になってくるのではないでしょうか。

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