2023.06.28 (Wed)
【23年4月から】労働基準法の改正ポイント3選!企業内で働き方改革を行うときの留意点も解説
目次
今後新たな働き方を導入していくにあたり、労働基準法に反しないか不安に感じている企業は多いのではないでしょうか。
テレワークの導入に伴い「有給休暇は通常通り取得できるのか」「この業務は残業にあたるのではないか」など、以前までの労働環境とは異なる働き方に戸惑うことも多いです。
そこで今回の記事では2023年から新たに施行される労働基準法で知っておくべきポイントを解説します。今後求められる新しい働き方を導入する方法が理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
1.【2023年4月から】労働基準法の改正ポイント3選
2023年4月1日から労働基準法が改正されます。
改正されるのは以下の3つです。
- ・時間外労働賃金の増加
- ・働き方改革推進支援助成金や業務改善助成金の継続
- ・代替休暇の導入
改正されるポイントを把握し、今後労働環境を見直していく際の参考にしましょう。
1-1.時間外労働賃金が25%から50%に増加
中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が現行の25%から50%に引き上げられる予定です。例えば、月60時間を超える時間外労働が深夜の時間帯の場合「深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%」の割増賃金を支払う必要があります。
また休日労働の場合、月60時間の時間外労働時間の算定には、法定休日に行った労働時間は含まれないものの、法定休日外で行われた労働については35%の割増賃金を支払う必要があります。
1-2.働き方改革推進支援助成金と業務改善助成金の継続
働き方改革推進助成金とは、生産性を向上させ労働時間の縮減等に取り組む中小企業に対して、実施に要した費用の一部を助成する制度です。
また業務改善助成金とは、生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内最低賃金を一定以上引き上げた場合に、設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度を指します。
ただし、助成金を受けられるのは中小企業・小規模事業者に該当する事業者が対象です。自身の企業が中小企業にあたるかどうかは、以下の資料を参考にしてみてください。
【参考資料】中小企業・小規模事業者の定義:中小企業庁
これらの制度は、労働基準法の改正に合わせて働き方を刷新した場合でも助成金の活用が可能です。
1-3.代替休暇の導入
月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため、引き上げ分の割増賃金率の支払の代わりに有給を付与できます。ただし、60時間以下で行った時間外労働における割増賃金25%は支払わなければなりません。
代替休暇か50%の割増賃金を取得するかどうかは、労働者が任意で選択できます。事業者が選択することはできないので、注意しましょう。
代替休暇の導入に伴い、事業者は労使協定に代替休暇の算出方法、取得単位・時期など詳しい内容を定めておく必要があります。
2.【2019年改正】現在の労働基準法のポイント
今回の労働基準法改正は、2019年に制定された時間外労働の制限から一歩踏みこんだ内容となっています。改正されたポイントは、以下のような点です。
- ・時間外労働の上限に罰則付き規制が制定
- ・年次有給休暇の取得推進
- ・フレックスタイム制の活用
- ・高度プロフェッショナル制度の創設
- ・勤務間インターバル制度の導入
- ・労働時間の状況把握
改正された労働基準法の施行は2019年4月からですが、中小企業については1年の猶予を経て2020年4月から施行されています。大企業では2019年4月の時点で時間外労働における50%の割増賃金率が適用されているものの、この時点では中小企業に対して猶予期間が設けられていました。
しかし、2023年4月に改正される新たな労働基準法の施行をもって猶予期間は撤廃されます。そのため、経営規模に関わらず労働基準法の改正に伴った取り組みを行わなければなりません。
3.:労働基準法改正に伴い企業が行うべき取り組み5選
ここでは、企業で実践できる働き方改革の例を5つ紹介します。
- ・クラウド上でのデータ共有
- ・テレワークの推進
- ・ジョブ型雇用の採用
- ・勤怠・スケジュール管理の効率化
- ・フレックスタイム制導入の検討
労働基準法が改正されることで、新しい働き方が企業に求められます。ここで紹介している働き方改革の例を、労働環境を見直す際の参考にしてみてください。
3-1.有給休暇取得の把握・管理
2020年4月から中小企業も含め、年5日以上の有給休暇を取得させるよう義務付けられています。有給休暇を年10日以上付与されたすべての従業員に対して「有給休暇管理簿」を作成し、年5日以上取れているか管理しなければなりません。
また「有給休暇簿」は作成してから3年間保管することも義務付けられているので注意しましょう。事業者は有給休暇の取得義務化と「有給休暇管理簿」を作成しなければならないことを把握する必要があります。
3-2.テレワークの推進
男性の育休取得の増加、女性社会進出の主流化など多様化する労働環境に合わせた業務生産性の向上を図るためにも、テレワークを導入しやすい企業体制の見直しを進めていきましょう。
テレワークを導入することで、多様化する労働環境に柔軟に対応できるようになります。また、労働人口の確保、地方創成といった社会環境を向上させる働きもあります。
NTT東日本が提供する「おまかせ はたラクサポート」は総務・人事・経理・労務のバックオフィスSaaS(必要なサービスをシステム化したもの)の利用を支えるサポートデスクです。「おまかせ はたラクサポート」の詳細な内容については、こちらの資料を参考にしてみてください。
3-3.ジョブ型雇用の採用
ジョブ型雇用とは、企業が予め定めた職務内容(ジョブ)に合わせた人材を雇用する採用方法です。ジョブ型雇用を導入することで、適切な人材が職務を遂行できるので、企業の生産性を向上させられます。
労働者側も適性のある職務に従事できるので、効率よくキャリアアップできます。ジョブ型雇用を採用する場合は、事前に具体的な業務内容や責任範囲を記載した「職務記述書」を準備しましょう。職務記述書を作成しておくと、適正な職務内容・責任範囲・待遇など労働者に合った条件をスムーズに確認できます。
3-4.勤怠・スケジュール管理の効率化
労働基準法改正により、時間外労働時間の制限が課せられるようになりました。時間外労働を把握するために勤怠状況を「見える化」していくことが必要です。
勤怠やスケジュールを「見える化」すれば、チーム全体でタスク・進捗状況を管理できるようになり、チーム全体でフォロー可能です。
また、テレワークの導入により労働時間が曖昧になることが考えられます。テレワーク環境下においても適切な労働体制を守るために効率化を進める必要があります。
3-5.フレックスタイム制導入の検討
フレックスタイム制とは、始業時刻や終業時刻といった労働時間を自身が決められる制度です。フレックスタイム制を導入することで、多様化する働き方に柔軟に対応できるようになります。
企業は1日のなかで必ず出勤していなければならない「コアタイム」を設けることもできます。そのためフレックスタイム制であっても、顧客対応や労働者間の共有を円滑に図るような体制をとることが可能です。最近では、コアタイムを設けず、労働者自身で全ての時間を決める「スーパーフレックスタイム制」を導入している企業もあります。
フレックスタイム制では総労働時間を企業が定め、その規定内で自由に働けるので、労働人口を確保しやすいメリットがあります。
4.労働基準法の改正により新しい働き方への対応が求められる
HR総研が実施した「今後の働き方調査」では、中小企業を含め約9割の企業がテレワークを導入しており、今後も継続していく企業が多数あることが分かります。
また、ジョブ型雇用は中小企業の方が導入しやすい傾向があるため、今後も増加していくことが分かります。今後エンゲージメントを向上していくには、企業側のメッセージ発信を個別フォローすることが必要不可欠です。
新型コロナウイルスによる新しい生活様式が定着しつつある昨今、テレワークの継続とジョブ型雇用が増加しています。アンケートレポートから分かるように今後も継続されていく傾向があるため企業は一層新しい働き方への対応が求められるでしょう。
CTA:今後の働き方に関するアンケートレポート資料ダウンロードはこちら
5.労働基準法を基に働き方改革を推進するなら「おまかせ はたラクサポート」がおすすめ
「おまかせはたラクサポート」は、NTT東日本が提供しているバックオフィス業務を効率化するためのサービスです。「おまかせはたラクサポート」は、以下のサービスを一元的に管理できるようになっています。
- ・勤怠管理
- ・電子契約
- ・経費精算
- ・会計管理
- ・給与計算
また、初期設定から運用支援、効率的な使い方まで企業や労働者に合わせた柔軟な対応を行うことが可能です。各種クラウドサービスの導入を検討しているものの、初期設定や運用方法に不安がある方におすすめのサービスとなっています。
まとめ
2019年に労働基準法が改正され、新しい生活様式が定着していきました。そして、2023年4月から新たに時間外労働の割増賃金率が改正・施行されます。
企業ではテレワークによる労働環境の整備、ジョブ型雇用の増加といった新しい働き方改革が現在も継続中です。今後の急激な社会環境の変化に対応するためにも新しい働き方に合わせた労働環境を整備していく必要があります。
テレワークの導入に伴い、クラウドサービスを導入したいけど初期設定や運用方法に不安を不安を感じる企業は、NTT東日本にお気軽にご相談ください。