ユビキタス
概要
ユビキタス(Ubiquitous)はラテン語で、いたるところに存在する(遍在する)という意味。転じてITの分野では、コンピューターやネットワークが、使いたいときに場所を選ばずに利用できる状態などを表す用語である。
コンピューターがいたるところに偏在し、いつでも使える状態にあることをユビキタス・コンピューティングと呼び、同様にネットワークにいつでもどこでも接続できる状態をユビキタス・ネットワークと呼ぶ。そしてそれが可能な社会をユビキタス社会と呼んでいる。
今日ではいつでも、どこでも誰でもインターネットなどを介して、情報へのアクセスやネットサービスの利用などが可能になっていて、ユビキタス社会が実現しているといえる。ユビキタス実現の背景には、高速なワイヤレス通信網、スマートフォンやタブレットといったモバイル通信端末、さらにはクラウド・コンピューティングなどの技術がある。
歴史
IT分野におけるユビキタスの始まりは1988年。パロアルト研究所の技術主任であったマーク・ワイザー博士が「パソコンに代わる、日常のあらゆる物に埋め込まれた見えないコンピューター」として提唱したことから始まった。その後、日本政府は2005年まで取り組んでいたe-Japan戦略に続いてユビキタスネット社会を実現するためのu-Japan政策を提唱した。
今日ではユビキタスという言葉の使用頻度はさほど高くない。ユビキタス社会を表現する言葉は、世界に存在する無数の「モノ」がセンサーと高速無線通信を介してネットワークを構成するIoT(モノのインターネット化)というキーワードに移行しつつある。