2016.4.14 (Thu)
ICTで業務を効率化(第1回)
ICT機器のクラウド化でコスト削減概要
TCOとは、Total Cost of Ownershipの頭文字を取ったもので、設備などの購入から廃棄処分までの、全ての時間と支出の総計のことである。総所有コストともいう。全てのコストのことを指すため、外部からは見えづらいコストも含まれる。そのため、TCOを見積もる専門の調査会社が存在する。
種類
TCOの構成には、システムの導入や開発費などの初期投資額(イニシャルコスト)と、その後の保守、運用から光熱費や廃棄費用までを指す運用費用(ランニングコスト)が含まれる。初期にまとまって必要である初期投資額に目が行きがちだが、TCO全体の額を把握するには、運用費用も念頭に置いて計算する必要がある。
シーン
新しいシステムを導入する際に、TCOを算出した上で比較検討することが一般的である。ハードウェア、ソフトウェアの購入費、システム開発に関わる費用といった初期にかかる費用以外に、保守点検、運用、光熱費、故障時の修理費用、将来的なシステムのアップグレードまで、システム全体を構成するコストを、トータルでTCOとする。この場合、仮に初期投資額の安いシステムを導入することで費用を低く抑えたとしても、後々の修理など保守点検を含めると高額になってしまうケースがある。このTCOを削減する具体的な手法は、ソフトウェアのバージョンアップをリモートで行うシステムや、システム障害を事前に検知するシステム、分散化したサーバーの統合などがあげられる。
気を付けるべきポイント
TCOは、初期投資額だけではなく、保守や運用、維持のための費用、システムの更新、管理にかかる人件費、光熱費、最終的にそのシステムを法に則った形で廃棄するまで、全てを含めた経費のことを指す。ユーザーやスタッフの教育費、突発的な不具合の修理、外部によるサポート費用なども、纏めてTCOに含まれるといった点に、気を付けるべきである。
背景
従来は、コンピューターシステムを導入するに当たって、その製品の選定は購入価格や開発費などの初期投資額が重視されていたが、現在はコンピューターが汎用化され、初期調達コストが下がった反面、システムが複雑で維持費用が多額に上るケースが増えてきたため、たとえ初期費用が少額であっても、運用や管理などに膨大な費用がかかってしまうケースが多い。そのため、TCOの算出や見積もりを細かく行って、全ての費用を比較すべきであるという考え方が普及した。こうした考えが生まれたのは、アメリカのIT分野の調査や助言を行うマーケティングリサーチ会社ガートナーの提唱が、きっかけとなった。