2016.2.1 (Mon)
キーマンズボイス(第19回)
株式会社サカタのタネ 代表取締役社長 坂田 宏 氏概要
スマートアグリとは、情報通信の技術を活用した農業のことである。ビニールハウス内の栽培においては温度管理や水やりの管理、畑などにおいては害虫や害獣の駆除など、これまで人の手で実施していたものを自動で実施し、生産効率や品質の向上を図るものである。
スマートアグリを取り入れることにより、人件費の削減とともに収穫物の増加に繋がることがメリットとして挙げられるが、初期コストが多くかかり、さらに運用していく上でも通常は発生しないランニングコストがかかることがデメリットである。
スマートアグリは、スマートアグリカルチャー(smart agriculture)の略であり、直訳すると「利口な農業」となるが、スマートフォンなどに代表されるスマートの意味から、情報通信の技術を取り入れた農業という意味で用いられる。
種類
スマートアグリの活用方法としては、主に農業や畜産がある。農業においては、照明管理、温度管理、水量管理、肥料管理などにより、作物の品質を保つことを可能とし、収穫時期には収穫の自動化、出荷までを自動管理することも可能となる。畜産においては、牧場における家畜の体調管理、食料管理を自動化することも可能となる。
これらの技術を利用することで、人件費はそのままでより品質の良いものをより大量に生産することができる。
シーン
スマートアグリが導入されるケースとしては、大規模な農地を管理する農家だけでなく、食品販売の企業が自社農場を作成して栽培、収穫した農作物を商品へと加工して販売するケースもある。さらに企業だけでなく自治体と提携し、地域の活性化を図る例もある。
スマートアグリの具体例としてはドローンを用いた農場の監視や、センサーを用いた温度管理や降水量管理、各種データを収集して離れた事務所のパソコンからの農作物への遠隔操作、自動収穫などが挙げられる。
歴史
世界的に見ると、スマートアグリが成功した例としては、オランダが挙げられる。農作物の輸出がアメリカに次ぐ世界2位となったのは、スマートアグリの導入によるものとされている。
日本においては、現状でも農家が品質の良いものを作ることが可能となっているため、初期コストのかかるスマートアグリに手を出しづらい部分がある。しかし近年の高齢化社会による農業人口減少に伴い、日本でもスマートアグリの可能性が注目され、各地で導入されはじめている。