2016.2.1 (Mon)
キーマンズボイス(第19回)
株式会社サカタのタネ 代表取締役社長 坂田 宏 氏概要
ニュートラルとは、中立を意味する用語である。
ビジネスの場においては、さまざまな先入観や経験による知恵などを一度捨てて検討することを「ニュートラル」に考えるといった意味で用いられることが多い。ポジティブシンキングでもネガティブシンキングでもない思考をニュートラルシンキングと呼び、良いことがあったときは喜び、良くないことがあったときは悲しむという思考である。
ニュートラルになることのメリットとしては、先入観や知識によりアイデアに対する実現性をまず考えてしまうことは、思いつくアイデアの幅を狭くしてしまう。ニュートラルに考えることでさまざまな視点からのアイデアを出すことができる点がある。
デメリットとしては、つねにニュートラルであることで感情が無いと周りに感じられてしまう点がある。ニュートラル「neutral」は、日本語の意味は中立であり、ひいきのない立場を表す。
シーン
同じ仕事に長く従事していると、一度上手くいった経験があると、その先入観が邪魔をして、時代が変化しているにも関わらず、仕事のやり方を変えることに抵抗を覚えるようになる。結果時代の流れについていけなくなり、失敗してしまうケースがある。このようなケースでは、過去のことを一旦忘れて、ニュートラルな思考で、現状の分析と今後の取組方針を検討することで、現在の問題点が見え、次へつながる行動を起こすことが可能となる。
歴史
1971年にアメリカの哲学者により発行された哲学書に「無知のヴェール(ヴェールとは女性が被る透けた布である。)」という思考が提案されている。無知のヴェールとは、周りの状況は分かるが自分の地位や立場は分からない状態を表す。人は何かを考える際に、自らの地位や立場によって個人的な利益となるような思考であったり、発言をしたりしがちである。一度自分の立場を忘れ、その状態でニュートラルに思考し発言することで、個人的な利益ではなく全体的な利益につなげることが可能となる。