インスタントメッセージ
概要
インスタントメッセージとは、コンピューターネットワークを使用してメッセージを送受信するコミュニケーション用アプリケーションの総称である。さまざまなアプリケーションが存在するが、近年はインターネットの発達により、クラウドで動作するものや、スマートフォンを用いたアプリケーションなどが普及している。
気を付けるべきポイント
専用のアプリケーションを使用するチャットと捉えれば間違いではないが、インスタントメッセージとチャットの大きく異なる点は、チャットは第三者の介入が原則として可能であるが、インスタントメッセージでは暗号化技術などを用いて、1対1でメッセージのやりとりを行うことである。さまざまな暗号化技術により、セキュリティは向上しているが、完全に秘匿できるシステムは存在しない点も、留意すべきである。インスタントメッセージの秘匿性を過信すべきではないとされている。
歴史
ネットワークを利用したユーザー間のメッセージを送受信するという意味では、UNIXコマンドのtalkまで遡る事ができる。1985年に開発されたBIT NETのInterchat Relay Networkが、世界初のインスタントメッセージである。1988年8月、フィンランド人のヤルッコ・オイカリネンがBIT NET Relayを参考にInternet Relay Chat(IRC)を作成した。仕様が非常に簡潔であったため、さまざまなクライアントソフトウェアが開発され、インスタントメッセージのサービスが本格的に普及するきっかけとなった。1989年、アメリカのオンラインサービスであるQ-Linkによるオンラインメッセージが、世界初の商用サービスとしてのインスタントメッセージである。その後、1990年代中頃からインターネットが普及すると共に、インスタントメッセージのアプリケーションも、インターネットを使用したものへと変化していく。1996年11月、イスラエルのMirabilis社により、インスタントメッセージの草分け的存在であるICQが開発された。当時は相手のコンピューターと1対1でファイル転送できるシステムが画期的とされ、爆発的に普及。4年間で1億人のユーザー数を獲得する大ヒット作となった。この1990年代中頃からは、インターネットが一般にも普及し始めており、数々のインスタントメッセージが開発され、そのサービスの競争が激化していくこととなる。2000年代後半になると、スマートフォンの普及によるスマートデバイスを用いたサービスや、ソーシャルネットワーキングサービス、クラウドを用いたインスタントメッセージサービスなど、多種多様なサービスが登場し、新たな開発競争が起こっている。