2016.12.16 (Fri)
【特別企画】スペシャルインタビュー「あの有名人が語る!」(第10回)
藤原和博氏に聞く、100万人に1人の人材を育てる方法概要
ダイバーシティとは、直訳すると「多様化」と訳される。ビジネスの世界では企業経営における「企業人材の多様化」という概念が一般的である。元々はアメリカにおける「人種差別の無い社会」を実現するために生まれたものであるとされ、近年においては、ビジネスの世界において企業経営をする上での重要な概念となっている。
種類
企業経営におけるダイバーシティは、狭義の意味で「女性の活用」、広義の意味で「年齢・宗教・国籍を問わないさまざまな人種の活用」と捉えられている。近年、ここに「障害者の活用」「LGBT(性的少数者の総称)の活用」の概念も加わっている。日本においては、まだ狭義の段階での理解が一般的ではあるが、徐々に広義の段階へと理解が進んでいる現状である。
効果
ダイバーシティの推進によって得られる企業の利点は3つある。
1つ目は、異なる価値観を持った人材を活用することで、さまざまなアイデアや知恵が生まれ、複雑かつ多様な国際ビジネスにおいて優位に立つことができるという点である。
2つ目は、「女性」という理由で活躍の場が限られていたような優秀な人材を獲得できるという点である。3つ目は、先進国の少子化により労働力の確保が難しくなっている現状の中、かつては対象としていなかった層を労働力とすることで労働力の確保に繋がるという点である。
ポイント
日本においては、ダイバーシティを推進するにあたり数値化目標を掲げることが多い。具体的にいうと、「管理職における女性比率」に具体的な数字を目標として、それを達成することがダイバーシティの推進活動だと捉えがちである。しかし、数値化目標を掲げ、それを達成することだけでは本来のダイバーシティの意味とは取り違えた考え方である。ダイバーシティを「企業の競争力の源泉」として捉えるべきであり、そのために、企業は多様な人材を活用できる組織の価値観、組織体制を整えることを先行して行うべきである。
応用
ダイバーシティは、ビジネスの世界での実利だけに捉えず、人間の自由及び尊厳を尊重する価値観に繋がるという考え方がある。つまり、人権そのものであるという捉え方である。実際に、ILO(国際労働機関)において1981年に採択された、家族的責任を有する労働条約(第156号)では、「すべての人間は、人種、信条または性にかかわりなく、自由及び尊厳並びに経済的保障及び機会均などの条件において~(以下省略)」と、ダイバーシティの概念を含んでいる。それゆえ、人権活動において、ダイバーシティは、そもそも義務であるという見方もある。