中川村役場内部の様子

人口減少・高齢化が進む地方自治体において、限られた人員でいかに効率的な行政サービスを提供するかが大きな課題となっています。長野県中川村では、NTT東日本のクラウド電話サービス「ひかりクラウド電話 for Webex Calling」を導入し、役場内の電話システムを刷新。業務の効率化と住民サービスの向上を実現しました。今回は同村の担当者お二人に導入の経緯や成果についてお話を伺いました。

【インタビューイー】

長野県中川村 地域政策課 DX推進係(CIO補佐官) 中平 仁司 氏
長野県中川村 総務課 総務係長 久保田 茂 氏

中川村役場

業種 地方公務
所在地 長野県上伊那郡中川村
職員数 約150名(正規職員84名)
導入サービス ひかりクラウド電話 for Webex Calling(2024年9月導入)

長野県中川村について

長野県中川村 地域政策課 DX推進係(CIO補佐官) 中平 仁司 氏長野県中川村 地域政策課 DX推進係(CIO補佐官) 中平 仁司 氏

長野県中川村 総務課 総務係長 久保田 茂 氏長野県中川村 総務課 総務係長 久保田 茂 氏

中川村は長野県の南部、中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那谷のほぼ中央に位置しています。村の名前の由来は、村の真ん中を流れる天竜川で、「天」の川が語源になっていると言われています。村の約7割が森林で平地が少なく、果樹(リンゴなど)を中心とした農業が主な産業ですが、村民の多くは近隣自治体の企業に通勤しています。人口は約4,600人で、正規職員84人、会計年度任用職員を合わせると約150人が村役場で働いています。財政規模は令和5年度の決算で約43億円。歳入の約半分を地方交付税に依存する財政力の弱い村ですが、実質公債費比率はマイナス1(黒字)で、なんとか健全な財政を維持しています。

クラウド電話導入の背景

複数施設間の連携課題とPBXの保守切れ

――今回のクラウド電話導入を検討することになったきっかけは何だったのでしょうか?

中平氏:きっかけはいくつかありましたが、大きなものとしては2021年4月に「農業観光交流センター」を開設して観光部門を移転したことです。開設はしたものの、役場との間に直通回線がありませんでした。ちょうど桜の見頃時期で、問い合わせの電話が多くかかってきた時期です。役場では正確に答えられず、お客さまにかけ直していただくことが頻発してしまいました。これは問題だと感じました。時間が解決してくれると諦めていましたが、役場本庁への問い合わせは相変わらず続きました。

また、オンプレミスのPBXが2023年9月に保守切れとなったこともきっかけの1つです。不自由なくしばらく使えていましたが、一度だけ外線が使えなくなるという事象が発生し、PBXの再起動で復旧したということがありました。これを機に、「2024年度に一旦は更新する」という方向を決め、同時にクラウド電話の検討も始めました。

コロナ禍における働き方改革の課題も

――コロナ禍でも課題があったとか。

中平氏:コロナ禍では分散勤務やリモートワークが推奨され、当村でもリモートワークの仕組みを整備したのですが、従来の電話設備ですと、電話をとるために登庁する必要があり、結局ほとんど進みませんでした。電話がないとコミュニケーション手段がなく、業務に支障が出てしまうのです。今後の働き方を考えると、こういった課題も解決していく必要がありました。

導入プロセスと選定理由

――最終的にNTT東日本のクラウド電話を選定された決め手は何だったのでしょうか?

中平氏:オンプレミスPBXとの費用比較をしたところ、7年間ほどで費用が均衡するという計算になりました。7年以上使えばオンプレのPBXの方が安くなりますが、クラウド移行のチャンスを失うことになるので思い切りました。
NTT東日本のサービスについては、営業の方がちょくちょく顔を見せていただき、信頼感があったことが大きいですね。WebexとTeamsの比較も行い、音声品質の面から、Webex Callingなら大丈夫だろうという判断もありました。

――実際の導入はどのように進められましたか?

中平氏:2023年11月にNTT東日本の担当者からデモを受け、LAN回線で使えることとスマートフォンでも使えることを確認し、クラウド電話を導入することに決めました。2024年6月中旬に契約、10月下旬に端末設置、11月に既存回線を切り替えて運用をスタートしました。

導入時の課題と解決策

――導入時に発生した課題はありましたか?

中平氏:疎通に関しては有線接続では特に問題はありませんでしたが、セキュリティ上の理由で通常のインターネット回線とは切り分けた運用をしたかったこと、スイッチングハブのポートが不足するであろうこと、電話機に電源が必要であるという課題がありました。
解決策として、POE(Power Over Ethernet)対応のスイッチへの入れ替えを行い、同時に電話用のVLANを設けました。これにより電源の問題とポートの問題とをどちらも解決し、セキュリティも確保できました。
無線接続では、それまで使っていたネットワークではかなりポートを絞っていたので、最初はうまく接続できませんでしたが、ポート設定を変更して解消しました。

導入後の効果と業務改善

――クラウド電話導入後、どのような業務改善や効率化が実現しましたか?

久保田氏:最大の効果はスマートフォン端末の導入により、勤務場所がかなり自由になったことです。9台のスマートフォンを導入し、窓口対応でも移動しながら業務ができるようになりました。
例えば現在、既存の別施設を改修して「子ども家庭センター」を設置しているのですが、その施設で行っていた業務を別の施設で行わなくてはならない場合があります。その際、スマートフォン端末を持って行くことで、普段の場所と同じ電話番号が使えて大変便利です。また、インフルエンザで出勤できないときでも、自宅からでも役場の電話番号を使って仕事ができるようになりました。

もう1つの大きな変化は、代表番号のみで運用していたところを、各課の直通番号を設けて運用開始したことです。これはクラウド電話とは直接は関係ないことなのですが、電話システムを見直すタイミングでないとできなかったことです。以前は、携帯電話宛に役場から電話すると、不在着信になった場合の折り返し電話が代表電話にかかってきていました。代表電話は、かけた本人ではない職員が受けることになり、「どなたに取り次いでいいかわからない」という状況が多々あったのです。今回、各課に番号を割り振ったことで、電話の取り次ぎがスムーズになり、職員のストレスも軽減されました。

――住民サービスの向上につながる変化はありましたか?

中平氏:出先であっても、職場との電話の取り次ぎがスムーズになり、住民の方に「この番号にかけ直してください」という機会がなくなりました。住民の方や他の事業者さんとの連絡が、よりスムーズになり、サービス向上につながったと感じています。

――「チョイソコなかがわ」というサービスの利用状況にも変化があったとお聞きしました。

中平氏:はい。「チョイソコなかがわ」は当村のデマンド型タクシーサービスです。住民の方がサービスを利用したいときは、乗車予約をする必要があります。以前は外部業者にコールセンターを委託していました。受電率が50%程度と低かったのですが、クラウド電話導入、2025年1月から内製化したことで、97%まで向上しました。現在はフリーダイヤル2回線を2名の地元スタッフで受けており、住民の方には「言葉遣いも親しみやすい」と好評です。住民アンケートでは、約80%の方から満足との回答をいただいています。
クラウド電話ではなく、独立した回線でも良いのですが、電話機の数だけ回線が必要になります。中川村役場という枠(ロケーション)に含めることで、回線(チャンネル)は1つ増やすだけですみました。

災害対策としての活用

――クラウド電話のメリットとして、災害対策の面はいかがでしょうか?

中平氏:クラウド電話にする場合の懸念点として、「ネットワークが切れたときにどうするか」という問題がありました。停電や機器の保守の際にネットワークが止まりますし、役場が被災した場合も対応が必要です。
その点は、2023年11月に行われた「長野県自治体情報化推進フェア」の折に、モバイルルーターと電話機の実機を持ち込んで、きちんと使えることを実証しました。インターネットにつながるならモバイルルーターでも対応できるため、「役場のネットワークが途絶えても電話を維持できる」と分かり、これはクラウドの大きなメリットだと感じています。

コスト面と管理面のメリット

――コスト面や管理面でのメリットはいかがですか?

中平氏:コスト面について、オンプレミスのPBXは一度買い取りしてしまえば後から費用はあまり発生しませんが、クラウド電話の場合はランニングコストがかかり続けるため、一概に評価はできません。
しかし、管理面では大きなメリットがあります。オンプレミスのPBXだと、自分たちで設定を変更することはほとんどできませんでしたが、クラウド電話の場合、コントロールハブというWebインターフェースから全ての設定が可能です。自分たちで思ったような設定ができる点は、非常に便利だと思います。また、分析やレポートの機能がありますので、これまで把握が難しかった量的な統計が取れるようになったことも、業務改善につながると思います。

NTT東日本のサポート体制について

――NTT東日本のサポートやサービスについてどのような印象を持ちましたか?

中平氏:サポートセンターの対応がとても親切・丁寧で感動しました。メールでも電話でも、すごく丁寧に教えていただいています。担当の営業やSEの方も、丁寧に対応していただき感謝しています。

今後の展開・期待

――今後、クラウド電話をどのように活用していきたいとお考えですか?

中平氏:福祉部門の職員が、訪問等で庁外活動することが多いので、スマートフォン端末用のライセンスを増やしていきたいと思っています。職員の負担も減らせますし、電話がつながらず住民の方に迷惑をかけることもなくなります。

NTT東日本には、今後もクラウドPBXの機能を充実させつつ、できるだけリーズナブルな価格設定をしていただけると、より多くの端末を導入できるので期待しています。

おわりに

長野県中川村では、NTT東日本のクラウド電話サービス「ひかりクラウド電話 for Webex Calling」の導入により、柔軟な働き方の実現と住民サービスの向上を両立させています。特に移動しながらの業務や災害時の連絡体制確保など、地方自治体ならではの課題解決に役立てられている点が注目されます。今後も技術の進化と共に、より効率的で住民に寄り添った行政サービスの提供が期待できます。

  • 「Webex by Cisco」、および「Webex」は、Cisco Systems,Inc.またはその関連会社の米国およびその他の一定の国における商標登録または商標です。「Webex Calling」はCisco Systems, Inc.が提供するサービスの名称です。
  • 「Webex Calling」は、名称が変更される場合があります。最新情報は、各サービス事業者のホームページをご確認ください。
  • 事例は一例であり、すべてのお客さまに同様の効果があることを保証するものではありません。
  • 記載の内容はすべて2025年2月時点(インタビュー時)のものです。

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