【徹底解説】VPN接続とは通信の安全性を高める専用線!4つの種類とメリット・デメリットを紹介
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2024.9.27 (金)Posted by NTT東日本
近年、新型コロナウイルス感染症の影響や働き方改革により、勤務場所が多様化しています。しかし、テレワークなどで外部から会社の情報にアクセスをするのは、情報セキュリティ面で不安があるのではないでしょうか。
このような状況下で、便利な方法とされているのが「VPN接続」です。VPN接続を使えば、社外からでも安心して会社のシステムにアクセスし、スムーズに業務を行えます。
今回の記事では、VPN接続の基礎知識や4つの種類、メリットとデメリットについて紹介します。会社でテレワークを推進したい方や、VPNの導入を検討している方、インターネット接続方法を見直したい方はぜひ参考にしてみてください。
<目次>
- 1.VPN接続とは?専用機との違いも解説
- 1-1. VPN接続の基礎知識
- 1-2. 専用線との違い
- 2.VPNの4つの種類
- 2-1. インターネットVPN
- 2-2. エントリーVPN
- 2-3. IP-VPN
- 2-4. 広域イーサネット
- 3.VPNのメリット3選
- 3-1. 安全性・信頼性が高い
- 3-2. 外部から簡単にアクセスできる
- 3-3. 費用をかけず、複数の拠点間で通信ができる
- 4.VPNのデメリット3選
- 4-1. 情報漏えいの恐れがある
- 4-2. 通信速度が遅くなることがある
- 4-3. 製品によっては料金が高い
- 5.企業でVPN接続が必要になるケース
- 6.VPN接続のお悩みはNTTへご相談ください
- 7.まとめ
1.VPN接続とは?専用機との違いも解説
働き方の多様化や新型コロナウイルスの拡大により、フレックスタイム制やテレワークが推進されるようになりました。しかし、外部のインターネット回線を使った仕事では、情報セキュリティリスクを心配する方もいらっしゃるでしょう。
安全にテレワークができる、便利な方法として「VPN接続」があります。ここでは、VPN接続の基本知識や、従来の専用線との違いを解説します。
1-1. VPN接続の基礎知識
VPNとは、接続したい拠点にルーターを設置して構築する「接続間専用の機密性の高いネットワーク」です。「Virtual Private Network」の略であり、日本語で「仮想専用通信網」を表します。接続したい本社や拠点に専用ルーターを設置し、設定をすることで利用できます。最近では、ルーター間のみではなく、アプリや端末間で利用できるものもあります。
「トンネリング」「暗号化」「カプセル化」「認証」といった情報セキュリティを強化する仕組みを設定すると、外部から不正アクセスができないようになり、安全にテレワークができます。
「トンネリング」は、データの送受信間にトンネルを作る技術のことです。このトンネル内を行き来するデータを、別の形に変えて隠すことを「カプセル化」と言います。
仮想トンネルを設置しても、開きっぱなしになっていると意味がありません。この仮想トンネルに入る権利を証明をするものが「認証」システムです。万が一、データが盗まれても解読されないように「暗号化」機能が必要となります。
1-2. 専用線との違い
VPN接続のほかに、安全性・信頼性を高める方法として「専用線」があります。2つの違いを解説します。
VPN
|
専用線
|
|
通信 |
複数の拠点間で通信ができる。 |
本社と拠点間など、2点間のみ通信できる。 |
料金 |
距離が変わっても料金は一定。 |
遠距離になるほど料金がかかる。 |
情報セキュリティ |
インターネット回線を使うため、セキュリティリスクが「全くない」とは言えない。 |
通信を独占できるため、安全性・信頼性を保ちながら多くのデータをやり取りできる。 |
情報セキュリティ面で優れているのは専用線ですが、高額であることや、3つ以上の拠点間では通信できない点に注意が必要です。より柔軟性が高く、テレワークに適しているのはVPNと言えます。
2.VPNの4つの種類
VPNは、主に4つの種類に分けられます。
- 1.インターネットVPN
- 2.エントリーVPN
- 3.IP-VPN
- 4.広域イーサネット
それぞれ費用や情報セキュリティレベル、カスタマイズの自由度など特徴が異なります。それぞれの特徴を踏まえ、自社に合ったものを導入しましょう。
2-1. インターネットVPN
インターネットVPNとは、既存の公共インターネット回線を使ってVPN環境を確立する方法です。インターネット環境があれば簡単に導入でき、費用を抑えて運用できることが魅力です。しかし、利用するインターネット回線に通信品質や速度が左右されることや、不正アクセス・情報漏えいなどセキュリティリスクが高いことなど注意点もあります。
2-2. エントリーVPN
エントリーVPNとは、安価な光回線を使ってクローズドネットワーク(閉域網)を確立する方法です。比較的安い費用で導入できるため「エントリー」VPNと呼ばれています。特定のユーザーだけが使用でき、インターネットVPNと比べてセキュリティレベルが高いです。
しかし、通信速度などの保証がなく、インターネットVPNと同じく、通信頻度や品質に不安があるという欠点があります。
2-3. IP-VPN
IP-VPNとは、大手通信業者が用意した専用のクローズドネットワーク(閉域網)上に、VPN環境を確立する方法です。
MPLSという、IPアドレスの代わりにラベルを使い、通信を高速化する仕組みを使うことで、企業のインターネット利用が優先されます。そのため、通信速度が上がり品質も安定していますが、その分エントリーVPNより高い料金設定です。
「フレッツ・VPNワイド」は、NTT東日本が手がけるIP-VPNサービスです。通信品質やサポート体制が充実しているだけでなく、毎月リーズナブルな定額料金で利用できます。
2-4. 広域イーサネット
広域イーサネットの仕組みはエントリーVPNやIP-VPNと同じですが、カスタマイズ性の自由度が高いという特徴があります。そのため、高い技術があれば、自社のニーズに合わせた高品質のネットワークが確立できます。しかし、複雑な設定をこなす技術が必要なほか、導入から利用開始までの工数の負担が大きいという課題があります。
3.VPNのメリット3選
VPNの導入が、企業に与える主なメリットは以下のとおりです。
- 安全性・信頼性が高い
- 外部から簡単にアクセスできる
- 費用をかけず、複数の拠点間で通信ができる
VPNをうまく活用すれば、テレワークでも安心して仕事ができます。この章で、VPNの導入が自社の目的に合っているか確認しましょう。
3-1. 安全性・信頼性が高い
VPNは、カプセル化や認証・暗号化といった情報セキュリティ対策がされており、安全な通信が可能です。情報セキュリティ対策が行われていない公共ネットワークを使えば、第三者が会社の情報にアクセスする可能性があります。
外部からの不正アクセスにより、機密データや個人情報が漏えいすれば、経済活動や社会的信用に大きな悪影響を与えます。VPNを利用することで、離れた場所からでも社内サーバーやシステムに安全にアクセスしながら会社の機密情報を守れます。
3-2. 外部から簡単にアクセスできる
VPNを使うと、外部から簡単・安全に社内ネットワークに接続できるため、テレワークに対応しやすい利点があります。VPNを活用すれば、パソコン以外にモバイル端末やタブレット端末からも安全に社内システムに接続できます。従業員の自宅や外出先・海外など場所を選ばないため、さまざまな働き方ができます。
インターネット接続環境があればいつでもどこでも会社のシステムにアクセスできることは、働き方改革の推進だけでなく企業の生産性にも貢献します。
3-3. 費用をかけず、複数の拠点間で通信ができる
VPNは、仮想ネットワークを利用するため、一定の情報セキュリティレベルを保ちながら、運用にかかる費用を抑えられます。1番安価なのは「IP-VPN」ですが、さらに上のセキュリティレベルかつ、費用を抑えたいときは「エントリーVPN」を検討しましょう。
ルーターも比較的安価なものが多いため、初期費用もほとんどかかりません。高い初期費用や運用料金がかかる専用線でなくても、情報セキュリティレベルの高いネットワークが確立できます。
4.VPNのデメリット3選
VPNには「情報セキュリティレベルが高い」「料金が安い」「拠点間通信ができる」といったメリットがある一方、いくつかのデメリットもあります。
- 情報漏えいの恐れがある
- 通信速度が遅くなることがある
- 製品によっては料金が高い
VPN接続をすれば安心して通信できるといっても、情報セキュリティリスクが0ではありません。これらのデメリットを知っておくことで対策を考えたり、より自社に合った製品を選んだりすることができます。
4-1. 情報漏えいの恐れがある
導入するVPNによって情報セキュリティレベルに差があるため、情報漏えいリスクが完全にないとは言い切れません。VPNの初期設定を誤るなどのヒューマンエラーにより、DNSやIPアドレスの漏えいが起きることもあります。
また、VPNは「仮想的な専用回線」であり、自社回線とは違います。特にIP-VPNの場合、公共のネットワークを利用するため、第三者に侵入されるリスクがあります。データが悪用される可能性があるため、信頼できる業者を選定することが重要です。
ウイルス対策用のソフトを導入したり、システムの更新を行ったりするなど、通常の情報セキュリティ対策と併用してVPNを取り入れましょう。
4-2. 通信速度が遅くなることがある
VPNの中でもインターネットVPNは公衆インターネット回線を利用するため、通信速度や品質が保証されてないというデメリットがあります。時間帯によって通信速度が変動し、ある一定の時間帯になると遅くなる可能性があります。
日常的なものであれば、その時間帯は避けて通信するなど対策もできますが、災害時など突発的なことでアクセスが急増した場合、通信ができなくなる恐れがあります。料金面を重視するあまり、機能制限の多いVPNを導入して業務効率が下がるといったことがないよう注意が必要です。
4-3. 製品によっては料金が高い
導入するVPNの種類やプラン、追加するオプションによって料金が変動します。多機能だから便利というわけではないため、料金が高い場合は、契約内容を見直しましょう。
また、業者に任せっきりにしていて「必要のないオプションまで導入してしまった」というケースもあります。自社に必要な機能を事前に把握し、料金とのバランスを十分見極めて導入を検討しましょう。
5.企業でVPN接続が必要になるケース
VPN接続が必要とされる場合は、以下のとおりです。
- 無料Wi-Fiを使って社内システムにアクセスするとき
- インターネット回線を使ったIP電話を安全に使いたいとき
- 離れた拠点間でLANを構築したいとき
- 国際間で仕事をしたいとき
テレワークでは、外部の無料Wi-Fiを使って仕事をする社員も多く、情報セキュリティリスクを高めてしまいます。また、LINEやSkypeなどのIP電話は、情報セキュリティが低く盗聴の恐れがあります。しかし、VPNを使えば通信内容を暗号化することができるため、高い情報セキュリティレベルの通信を実現できます。
※LINEおよびLINEロゴは、LINE株式会社の登録商標です。 ※Skype、関連商標およびロゴ、「S」記号はSkype Limited社の商標または登録商標です。
また、本社と支社をつなぐLANは専用線が一般的ですが、近年はコストを抑えて拠点間同士の通信も可能にするVPNの需要が高まっています。国内だけでなく、国際間で仕事をするとき、中国など情報規制のある国は自由にインターネットにアクセスすることができません。しかしVPNを使えば、検閲下でも日本のサーバーにアクセスして仕事ができます。以上のケースに当てはまるときは、VPN導入を検討してみましょう。
6.VPN接続のお悩みはNTTへご相談ください
「ギガらくVPN」は、NTT東日本が手がけるVPN対応のルーターサービスです。NTT東日本のヘルプデスクが、ルーターやインターネットVPNの設定を代行します。機器購入費用・固定資産化が不要で、月額利用料だけの負担となるため手軽に導入できます。
また、NTT東日本のフレッツ 光ネクスト等を利用した「フレッツ・VPNワイド」も、簡単に複数の拠点を接続できるおすすめのIP-VPNサービスです。オプションサービスを使うことで、西日本エリアの拠点との接続や、ビジネスイーサワイドを組み合わせて利用できます。
「VPNの導入を検討しているが、どうしたら良いかわからない」とお悩みの方は、NTT東日本に相談してみましょう。
7.まとめ
VPNを導入することで、費用を抑えて高レベルの情報セキュリティで複数拠点間の通信やリモートアクセスができます。働き方改革が推進されている昨今、有望視されているインターネット接続の方法です。
VPN接続には、公共ネットワークを利用するインターネットVPNのほか、クローズドネットワークを確立するエントリーVPN、IP-VPN、広域ネットワークなどさまざまな種類があります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、自社のニーズや予算に合ったものを選びましょう。
「フレッツ・VPN ワイド」の料金詳細、導入にあたり不安なことなど、いつでもお気軽にご相談ください!
ビジネスコンサルティングセンタの経験豊富な専任スタッフが分かりやすくお答えします。
※本記事に記載された商品名および会社名は、各社の商標または登録商標です。 ※表示価格は、特に記載がある場合を除きすべて税込です。
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