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  • 2023.4.10 (月)
    Posted by 北森 雅雄(Kitamori Masao)

電子契約はなぜ印紙税が非課税か 国税庁の見解や関連する法律を解説!

昔から契約処理を行ってる方からすれば、契約時に収入印紙を貼り、印紙税を収めることは当たり前だと感じると思います。
一方、最近導入が進んでいる電子契約では、印紙税がいらないことになっています。

「電子契約において印紙税がいらない理由は?」
と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか?

印紙税は課税文書に対して課税がされます。課税文書とは”紙”を示すため、”紙”で契約書を作成していない電子契約は非課税です。電子契約が非課税である旨が国税庁や国会答弁などで公表されていますので、気になる方はチェックしてください。

当記事では、そもそも印紙税とは何か、電子契約が印紙税の課税対象外である理由までをご紹介します。
電子契約を利用すれば印紙税代分だけコスト削減できることに対して、
理屈迄納得できる内容になっています。最後までお読みください。

また、電子契約の基本を知りたい方は、こちらの記事を読む前に以下の記事もあわせてごらんください。

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電子契約とは? メリット・デメリットや法的有効性をわかりやすく解説!

.印紙税とは何か

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印紙税は日常の経済取引に伴い作成する契約書や、金銭の受取書などに課される税金です。印紙税について記載をした印紙税法上で、印紙税の課税対象、金額などが記載されています。


印紙税が課されるのが課税文書

印紙税の課税対象が”課税文書”です。”課税文書”とは、印紙税法別表第1条の課税物件表条に記載された20種類の文書の内、以下の非課税文書を除いた文書を指します。

  • ●課税物件表の非課税物件の欄に掲げる文書
  • ●国、地方公共団体または印紙税法第二に掲げるものが作成した文書
  • ●印紙税法別表第三に掲げる文書で、同表の下欄に掲げる者が作成した文書
  • ●特別の法律により非課税とされる文書

”課税文書”とされる例として以下の文書が挙げられます。

  • ●工事請負契約書
  • ●金銭消費者賃借契約書
  • ●不動産売買契約書
  • ●注文請書 など

ただし、文書の名称により、課税文書と判断されるわけではなく、文書に記載されている記載内容により課税文書であるか判断する点に注意が必要です。

そもそも、契約は民法522条2項の契約方式の自由により、いかなる形式でも成立しますので、契約内容には実に様々なものが存在します。

印紙税の課税対象となるかは、各契約書上の記載内容を検討の上、記載内容に1つでも課税物件表に記載の課税事項が含まれていれば、課税文書と判断されるのです。

2
印紙税額は記載された金額により変わる

印紙税は課税文書に記載された記載金額、および、課税文書の種類により、課税金額が決定します。例えば、請負に関する契約書の記載金額別印紙税額は以下の通りです。

記載金額

課税額

100万円以下

200円

100万円超 200万円以下

400円

200万円超 300万円以下

1,000円

300万円超 500万円以下

2,000円

500万円超 1,000万円以下

10,000円

1,000万円超 5,000万円以下

20,000円

5,000万円超 10,000万円以下

60,000円

10,000万円超 50,000万円以下

100,000円

50,000万円超 100,000万円以下

200,000円

100,000万円超 500,000万円以下

400,000円

500,000万円以上

600,000円

特に記載がない契約

200円

3
印紙税は基本的に収入印紙による納付

原則的に課税者は、課税額に応じた収入印紙を購入し、課税文書に貼り付けることで印紙税を納付します。特例として、以下のような納付方法もありますので、自社の都合に適した方法で納付することとなっているのです。

  • ●税印押なつによる納付
  • ●印紙税納付計器の使用による納付
  • ●書式表示による納付
  • ●貯金通帳等に係る一括納付

4
電子データ取引なら印紙税は非課税

印紙税を納付する際、原則的に収入印紙を課税文書に貼り付ける必要があります。ここで、「電子文書の場合はどのように納付するのか」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。実は電子文書においては印紙税を納付する必要がないのです。

.なぜ電子取引は非課税なのか

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電子文書は”課税文書”ではないと考えられるため、印紙税は非課税です。順を追って解説します。

1
印紙税が課されるのは課税文書

印紙税法3条を参照すると、印紙税の課税対象は”課税文書”であることがわかります。

第三条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。

出所:印紙税法3条

では、”課税文書”とは何かというと、印紙税法基本通達44条に以下の記載があります。

第44条 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。

つまり、課税文書とは、用紙等に課税事項などを記載する必要がありますので、”紙”であると判断できます。したがって、電子契約を始めとする電子文書は”紙”ではありませんので、非課税です。

2
別表第1に電子文書の記載はないので、電子文書は非課税

課税対象は以下のように、印紙税法別表第1に記載があるものです。

第二条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する。

出所:印紙税法2条

そこで、印紙税の課税対象となる文書を記載している印紙税法別表第1を参照すると、電子契約を始めとする電子文書の記載がないことがわかります。

不動産、鉱業権、・・・・、営業の譲渡に関する契約書”“請負に関する契約書”“売上代金に係る金銭の受取書

つまり、電子契約を始めとする電子文書は別表第1にも記載がないことから、印紙税の課税対象でないと考えることができるのです。

.印紙税非課税であるとわかる事例

印紙税法の解釈上、電子文書は非課税であると判断ができます。しかし、電子契約のような電子文書が使われ始めたのは最近ですので、本当に非課税であるか不安に思う方も多いです。

そこで以下では実際に電子契約などの電子文書が非課税であると公にアナウンスされた例をご紹介します。

事例①
コミットメントライン契約についての国税庁からの回答

コミットメントラインとは、銀行と顧客があらかじめ予定していた期間内・融資額内で、顧客の要求に基づいて銀行が融資を実施することを約束する契約です。コミットメントライン契約について、印紙税法別表第一 二を参照すると課税文書であることがわかります。

では、このコミットメントライン契約は電子契約化した場合、印紙税の非課税対象になるのでしょうか。結論、「コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い」を参照すると、以下のように印紙税は非課税であることがわかります。

1. 請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません。

事例②
小泉元首相による国会答弁

第162回国会答弁上で、当時首相の小泉元首相により以下の通り、電子契約を含む電子文書に対しては非課税である旨が回答されています。

”課税文書”とは”紙”を指すため、電子契約に対して印紙税は非課税なのです。

~(中略)、 電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。

以上の印紙税法上の解釈や国税庁等による回答からみても、電子契約を含む電子文書が印紙税の課税対象外であることは明白です。

.書面の契約書を電子契約化する場合、印紙税の還付金に注意

電子契約を利用して契約を締結すれば、印紙税は非課税です。したがって、印紙税を非課税にするために電子契約サービスの導入を検討する方も多いでしょう。

この時、過去分の契約書も電子契約化することを検討する企業も多いかと思いますが、電子契約化する際にいくつか注意点があります。

1
電子帳簿保存法スキャナ保存要件を満たせば、書面契約の電子化は可能

過去分の契約書は電子化することができます。電子化する際には、電子帳簿保存法スキャナ保存要件上の以下を満たした保存が必要です。

電子帳簿保存法対応が必要

電子上で帳票をやり取りする電子契約は”電子取引”に該当します。したがって、電子帳簿保存法の電子取引要件を満たした保存が必要です。電子取引要件では以下を満たした保存が求められます。

  • ●重要書類向けの要件を満たした保存(真実性や検索性の確保など)
  • ●所轄税務署長宛の適用届出書提出

上記の要件さえ満たせば、過去分の重要書類である契約書の電子化は可能なのです。

2
印紙が貼り付け済みの書面を電子化すると、還付金が受け取れない場合がある

過去分の契約書の電子契約化は可能であるものの、書面の契約を電子契約化した場合、還付金が受け取れなくなる可能性があるため注意が必要です。

電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問3を参照すると以下のように、書面契約を電子化後に印紙税の過誤納が判明したとしても、過誤納申請ができないことがわかります。

なお、印紙税の納税義務は課税文書を作成したときに成立するものであることから、スキ ャナ保存される国税関係書類の書面(紙)についても、印紙税の課税文書であれば収入印紙を貼付しなければなりませんが、収入印紙を貼付した後にスキャナで読み取って最低限の同等確認を行った後であれば、収入印紙が貼付された当該書面(紙)を即時に廃棄しても差し支えありません。 ただし、印紙税の過誤納があった場合の過誤納還付申請については、当該過誤納となった 事実を証するため必要な文書(原本)の提示が必要であり、スキャナデータ(又はスキャナデータを出力した文書)に基づいて印紙税の過誤納還付を受けることはできませんのでご注意ください。

したがって、書面契約の電子化を検討する際には上述の過誤納申請ができないリスクを踏まえた上で、電子契約化を実施するか検討する必要があるでしょう。

.電子契約サービスを利用するメリット

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契約締結をする際に、電子契約を利用すれば印紙税は非課税ですので、大きなコストメリットを得られます。電子契約を利用する際には、電子契約サービスを利用することにより、電子契約のメリット最大化が可能です。

以下では電子契約サービスを利用するメリットを解説します。

1
印紙税カットを含めてコストの85%を削減できる

電子契約を利用することで以下のコスト削減が可能です。

  • ●書面契約の作成・郵送・管理のための人的工数の削減
  • ●監査や通常業務時の対象契約の検索工数の削減 など

日本No1シェアのクラウドサインによると、電子契約サービスを導入することで、既存の契約業務の85%のコストを削減できたとのデータがあるようです。このデータからも分かる通り、電子契約を利用することによるコスト削減効果は大きいと判断できます。

また、電子契約のメリットを最大化できる電子契約サービス上には、契約業務を効率化する以下のような機能が多数搭載されているため、コストの削減と同時に業務の効率化を目指せる点がメリットです。

  • ●契約テンプレート登録
  • ●顧客別ステータス管理
  • ●契約期間のリマインド通知
  • ●契約書の保管・検索
  • ●ワークフロー など

2
契約業務のリードタイムを即日に短縮できる

書面契約を利用する場合、契約書を作成し、相手方に送付後、記名押印済みの契約書を返送してもらうまでに2-3週間程度の時間がかかる場合も珍しくはありません。

一方で、仮に立会人型の電子契約サービスを利用すれば、契約締結用のURLが記載されたメールを相手方に送付することで契約業務を完結できますので、契約業務のリードタイムを早ければ即日に短縮可能です。

電子契約サービスの中には相手方によるアカウント作成なども求めないサービスがありますので、可能な限り相手方の負担を減らすことで更にリードタイムの短縮を期待できる点もメリットでしょう。

3
法対応が容易

電子契約は各種税法に基づいた保存が必要です。例えば、上述で紹介した法律を含めて、以下の法律を満たした保存が求められます。

  • ●電子帳簿保存法 電子取引要件
  • ●法人税法 など

上述の法対応をExcelなどで作成した電子契約で対応することも、理論上可能ですが、手間を要します。なぜなら、Excelなどで作成した電子契約で対応する場合、事務処理規定の作成や手動でのフォルダ振り分けなどが発生すると想定されるからです。

この点、電子契約サービスを利用すると、システム上に、以下のような法対応をサポートする各種機能が搭載されている場合が多いですので、容易に、かつ、確実性を高めた法対応を実施できます。

  • ●タイムスタンプの付与
  • ●主要三項目(取引年月日、取引先名、取引金額)による検索
  • ●複数条件、範囲指定による検索
  • ●システム上での7年以上の長期保存
  • ●長期署名
  • ●バージョン管理 など

2022/1の電子帳簿保存法の改正、2022/5の宅建業法の改正など、ITに関連する法律が昨今多いです。電子契約サービスを利用すると、このような多数の法改正にも労なく対応できる点もメリットといえるでしょう。

まとめ 電子契約は印紙税が非課税なので利用しない理由はない

印紙税は”課税文書”のみに課税されます。”課税文書”とは”紙”を指すため、電子文書である電子契約は非課税です。また、電子契約にはコスト削減やリードタイムの短縮といったメリットがあります。

したがって、書面契約を電子契約に移行するのは合理的な判断といえるでしょう。もし、現状、書面契約を利用しているのであれば、電子契約の利用をぜひ前向きにご検討ください。

NTT東日本では各種税法に対応した「クラウドサイン for おまかせ はたラクサポート」を提供しています。ぜひ検討の1つの選択肢としていただければ幸いです。

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この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori

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