マイページ別ウィンドウで開きますでご契約・サポート情報を確認

日本最大級のローカル5G環境を大学内に整備
最先端研究で東京の課題解決に挑む!「スマート東京」の実現へ

東京都は2019年に、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることをめざす東京版Society 5.0(※1)「スマート東京」の実現を打ち出しました。その先行実施エリアの一つに選ばれた東京都立大学では、NTT東日本にローカル5G(※2)環境の構築を依頼。新規帯域であるSub6(4.7GHz帯)を主体とした日本最大級のローカル5Gネットワーク環境を整備しました。現在はローカル5Gを活用した8つの最先端研究や実証実験に取り組みながら、スマートシティ(※3)実現による地域課題の解決やまちづくり、社会的・公共的価値の創造をめざしています。前例のないプロジェクトを、情熱をもって推進している東京都立大学の2名のご担当者にお話をうかがいました。

※1 Society 5.0とは、AIとIoTを基礎として産業革命に匹敵する変革を実現しようとする政府の提言で、テクノロジーによってオンライン空間と現実世界をつないで、さまざまな社会の問題を解決する、人々が暮らしやすい社会をめざすものです。
※2 ローカル5Gとは、地域の企業・自治体等が自社敷地内に構築・保有が可能な5Gシステム。超高速大容量、超低遅延、高セキュリティな通信が可能です。
※3 スマートシティとは、ICTやIoT技術を用いて、インフラと生活基盤サービスを効率的に管理・運営し、環境に配慮しながら、人々の生活の質を高め、持続可能な経済発展を目的とした新しい都市のことです。

東京都立大学

  • 日本最大級のローカル5G環境を大学内に整備・運用 最先端研究とICT活用で「スマート東京」の実現へ!

ソリューション導入効果

  • 屋外を含め、広大なキャンパスのどこでも研究や実験ができるようになった
  • 研究や実験の際の端末環境などNTT東日本からの手厚いサポートを受けられるようになった
  • 産学公連携やIoT技術の活用による「スマート東京」実現への一歩を踏み出せた

NTT東日本選定のポイント

  • 産学共同のローカル5G検証環境や、自治体・大学でのネットワーク構築実績などから技術力に信頼がおけたこと
  • 新周波数帯域Sub6(4.7GHz帯)を盛り込んだ効率的かつ柔軟性に優れた提案だったこと
  • 今後の技術発展に伴うバージョンアップや実証実験のサポートなど保守運用体制が充実していたこと

南大沢・日野キャンパスを「スマート東京」の舞台に!
最先端研究や社会実装のためのローカル5G環境整備に着手

――日本最大級のローカル5G環境を整備することになった背景を教えてください。

芳賀氏:「スマート東京」を実現するには、AI など先端技術を活用した課題解決に取り組む必要があります。本学では、5G 環境を活用した最先端の研究や実証実験を促進し、その成果を地域や都へ還元していきたいと考え、2019年の夏頃からキャンパス内に広くローカル5G環境を整備する検討を始めました。公告をおこなったのは2020年夏。プロポーザル方式で広く提案を募りました。

――最終的にNTT東日本へ依頼した理由はなんでしょうか。

芳賀氏:前提として、南大沢キャンパスと日野キャンパスの主要なエリアをすべてカバーしたいと考えていました。構築した5G環境は「Society5.0」実現に向けた研究に使うことが想定されていましたが、具体的な研究テーマは決まっていない段階。カバーエリアが限定されることで研究の制約にならないようにしたかったのです。

当時はまだローカル5Gの帯域幅はミリ波(28GHz帯)しか制度化されていませんでしたが、2020年12月にはより広範囲をカバーしやすいSub6(4.7GHz帯)の制度化が見込まれていました。不確定な要素が多い状況ではありましたが、NTT東日本の提案は今後の技術動向を見据えてSub6を主体にしつつ、2つの周波数の特性を生かして効率よく広範囲をカバーできるシステム構成だったことが決め手となりました。

東京都立大学管理部 5G・南大沢まちづくり担当課長 芳賀 敦氏東京都立大学管理部
5G・南大沢まちづくり担当課長
芳賀 敦氏

今後、個別の最先端研究・実証実験のテーマによっては、追加でアンテナなどが必要になる可能性もありますが、将来的な拡張にも対応できる設計でした。また、ソフトウェアベースのアーキテクチャなので5G機能のバージョンアップにも対応しやすく、柔軟性も評価しました。

加えて、NTT東日本では産学共同のローカル5G検証環境「ローカル5Gオープンラボ」を整備し、ローカル5Gの社会実装に向けた研究をしていることから、技術に信頼がおけたことも大きかったです。自治体や大学でのネットワーク構築実績も豊富なので、安心して任せられると考えました。

東京ドーム約10個相当のキャンパスに60本のアンテナを敷設
前例のないプロジェクトを熱い思いで牽引!

――専用かつ自営によるローカル5Gネットワークをどのように構築していったのでしょうか。

山田氏:NTT東日本への依頼を決めたのは2020年7月下旬です。そこから毎週のように会議をして、具体的なアンテナの本数や設置場所を検討しました。現場を確認すると、景観やほかの設備との兼ね合いから設置が難しい場所もあり、何度もシミュレーションを重ねました。会議は30回を超えたと思います。

最終的に2つのキャンパスを合わせてアンテナ60本を敷設。カバー範囲は約49万平方メートル(東京ドーム約10個相当)におよび、日本最大級の規模になりました。2つのキャンパスを同時並行で計画・工事をしていくのは思った以上に大変でした。

スケジュールもあまり余裕がなかったのです。すでに制度化されていたミリ波(28GHz帯)の電波は2021年1月までに、2020年12月に制度化が見込まれていたSub6(4.7GHz帯)の電波は2021年3月末までに飛ばすスケジュールでした。万が一、制度化が遅れたときに備えて、NTT東日本ではサブプランも用意してくれていたので、安心して作業を進められました。

結論から言いますと、Sub6は2020年12月に予定通り制度化され、翌3月には無事電波を飛ばすことができました。NTT東日本のアドバイスで免許申請の準備も早めに進められ、制度化初日に総務省へ申請できたのも短い期間で工事をやり遂げる一助になったと思います。短期間ながら作業は非常に丁寧で、見学者を案内すると、学内の景観に見事に溶け込んだ配線の美しさを感心されます。

東京都立大学管理部 学長室庶務係5G環境整備担当 主任 山田 有紀氏東京都立大学管理部
学長室庶務係5G環境整備担当
主任 山田 有紀氏

今回、NTT東日本のプロフェッショナルな技術や経験には大いに助けられました。チームの一人一人が、業界のパイオニアとしてこの新しいプロジェクトを成功させるんだという強いパッション(情熱)を持ち、3月まで一緒に走り抜けてくれたと感じています。

芳賀氏:制度化前のSub6を主体にローカル5Gを構築するというのは、前例のないチャレンジングな取り組みでした。加えてコロナ禍ゆえの制限もありましたから、非常に難易度は高かったと思います。本学としては「ローカル5G環境整備はなんとしてもやり切る」という強い意志を持っていましたが、NTT東日本の力がなければ、日本最大級のローカル5Gネットワークを自営で構築・運用することは難しかったでしょう。

「日本最大級」のローカル5G環境で最先端の研究を
地域課題の解決や未来のまちづくりに活用

――日本最大級の専用かつ自営の5Gネットワークとなったわけですが、運用状況はいかがでしょうか。

芳賀氏:導入直後に速度チューニングをした以降は、大きなネットワーク障害もなく、問題なく研究に使えています。これまで、社会実装型研究や挑戦型研究など8テーマの最先端研究に着手しました。新たなテーマの採択に伴い、研究室へアンテナの追加もしたのですが、簡単に増やせる拡張性の高い構成でした。実証実験における教員へのサポートも手厚く、教員から端末の設定方法や研究に必要なデータの収集方法について相談があると、すぐに対応してくれるので助かっています。保守運用体制にも非常に満足しています。

当初は研究だけに使う予定でしたが、コロナ禍だったこともあり、オンライン授業受講用のインフラとしても活用しています。おそらくプロジェクト発足時は学内でローカル5Gの重要性はそこまで理解されていなかったでしょう。実際に実証実験が始まったり、オンライン授業に活用したりしたことで、学内での理解や評価が高まってきています。

山田氏:オンライン授業に5Gを使っている教員からは「ローカル5G環境があって助かった」という声を聞きます。学内ネットワークと別の、独立した構成なのでネットワーク帯域のひっ迫もなく、安定して使えています。

――ローカル5Gのさらなる活用やICT推進など、今後の展望をお聞かせください。

芳賀氏:すでに“日本最大級”のローカル5Gネットワークの環境整備と運用を実現しましたが、ここからは"最先端"のローカル5Gネットワークを育て、運用していくことになります。ぜひ引き続きNTT東日本と二人三脚で取り組んでいきたいです。

「スマート東京」が打ち出されてから約2年。環境は整ったので、ここからは成果を生み出していく段階。今後は企業にも最先端研究や実証実験の環境として活用していただき、産学公の連携によってローカル5Gの社会実装につなげていきたいと考えています。最終的にはIoT(※4)技術を活用したスマートシティを実現し、まちづくりや地域課題解決、ひいては東京都民の生活の質向上に貢献していきます。

※4 IoT(Internet of Things)とは、さまざまなものがインターネットにつながることです。

ローカル5G用アンテナ。屋外はおもにSub6(上)を設置し、運動場(下)を含め、キャンパス内の広範囲を効率的にカバー。ローカル5G用アンテナ。屋外はおもにSub6(上)を設置し、運動場(下)を含め、キャンパス内の広範囲を効率的にカバー。
イニシアティブ交流スペース向け(上)には実績のあるミリ波アンテナを設置。講堂大ホール(下)にはSub6とミリ波アンテナを設置。イニシアティブ交流スペース向け(上)には実績のあるミリ波アンテナを設置。講堂大ホール(下)にはSub6とミリ波アンテナを設置。

*上記ソリューション導入時期は2021年3月です。

*文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2022年2月時点(インタビュー時点)のものです。

*上記事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。

東京都立大学
学校名 東京都立大学
大学概要 東京都が設置する唯一の総合大学です。2005年に東京都立大学、東京都立科学技術大学、東京都立保健科学大学、東京都立短期大学を再編・統合して誕生しました。南大沢、日野、荒川などのキャンパスで、約9,000名の学生が学んでいます。「学問の力で、東京から世界の未来を拓く」を大学ビジョンに掲げ、研究力の強化と国際的な研究拠点の形成をめざしています。

教員数 647名(2021年5月1日現在)
学生数 9,059名(2021年5月1日現在)

この事例記事のPDFダウンロードはこちら

PDFをダウンロードする

「教育(大学)関連」の導入事例資料をまとめてダウンロード

導入事例資料

「教育(大学)関連」に関する資料を
まとめてダウンロードできます。

資料ダウンロード別ウィンドウで開きます

関連事例

ページ上部へ戻る