• 2023.4.10 (月)
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会計ソフト購入時の勘定科目は?クラウド型・インストール型で異なる仕訳方法

経営状況の把握や決算書の作成において、エクセルでの作業は手を焼く作業の一つかと思います。
今までの業務を効率化するために、会計ソフトを導入されるしようと考えている方も多いのではないでしょうか。

会計ソフトは経費として計上することができますが、クラウド型・インストール型といったタイプや、その金額によって仕訳方法が異なります。

本記事では会計ソフト購入時に使う勘定科目や、仕訳方法について解説します。減価償却の方法や使用できる特例などについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

また、会計ソフトの基本を知りたい方は、こちらの記事を読む前に以下の記事もあわせてご覧ください。

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.勘定科目とは

勘定科目とは、会社を運営する上で発生したお金の取引をわかりやすく分類するために使用するものです。仕訳帳や現金出納帳などの帳簿に記入する際に、金額や日付などとあわせて記載します。

例として、使われることの多い勘定科目を一覧にして紹介します。

勘定科目 内容
仕入高 商品や、商品を作るための原材料などを仕入れた際の費用
売上高 商品やサービスを提供することで得た売上
給与 従業員の給与
地代家賃 店舗やオフィスの家賃など
旅費交通費 業務で発生した交通費、出張の際の宿泊費など
通信費 電話やインターネット、オンラインサービスの利用品など


勘定科目にはこれ以外にもさまざまなものがあり、取引の内容に応じて正しく選択することが求められます。

使用した勘定科目は内容ごとに「資産・負債・純資産・収益・費用」の5つのグループに分けられ、貸借対照表や損益計算書といった決算書に反映されます。

.会計ソフト購入時の勘定科目は?

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さまざまな種類のある勘定科目ですが、会計ソフト導入時にはどれを選べばいいのでしょうか。選ぶべき勘定科目や、その勘定科目などについて解説します。


会計ソフトは「通信費」もしくは「消耗品費」

会計ソフトの勘定科目は、通信費もしくは消耗品費として仕訳を行うことが一般的です。

会計ソフトはクラウド型とインストール型の2つのタイプに分かれ、これらのタイプによって使用する勘定科目を使い分けます。

  • ●クラウド型:クラウドを介して利用し、期間に応じて月額料金や年間使用料を支払う
  • ●インストール型:パソコンにインストールして利用し、購入時にまとめて費用を支払う

クラウド型の会計ソフトは通信費、インストール型の会計ソフトは消耗品費を使って仕訳を行いましょう。


無形固定資産に該当する場合も

会計のルール上、10万円以上の消耗品費は固定資産として計上するという決まりがあります。したがって、インストール型かつ10万円以上の会計ソフトは費用として計上するのではなく「無形固定資産」として計上しましょう。

固定資産として計上した後は、時間が経過するにつれて資産としての価値を減らす「減価償却」という処理を行います。

パソコンや車・設備などの有形固定資産は、時間の経過によって古くなるため、購入時の価格よりも価値が減少していると考えます。それと同様に、ソフトウェアなどの無形固定資産も、情報の価値や鮮度が落ちることで、価値が減少していくものと考えるためです。

なお、クラウド型の会計ソフトは自社が保有している資産とは言えないため、10万円以上であっても通信費としてまとめて計上して構いません。

クラウド型の会計ソフトの方が、会計処理や固定資産の管理といった面で手続きが簡単ということもあわせて覚えておくといいでしょう。

参照:No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数

参照: 消耗品費

.クラウド型の会計ソフトの勘定科目

クラウド型の会計ソフトについて、勘定科目や仕訳方法などをくわしく解説します。


クラウド型の会計ソフトは「通信費」に

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通信費は電話やインターネット回線の使用料や、切手などの郵送にかかる費用に対して使用する勘定科目です。また、インターネットを介して利用するサブスクリプション型のサービスの利用料などについても通信費で計上することが一般的です。

クラウド型の会計ソフトは「物品を購入した」というよりも「オンラインサービスなどの利用料を支払った」と考えることから、勘定科目に通信費を選択します。

仕訳例①
月額料金・サブスク型のケース

借方 貸方
通信費 5,000 普通預金 5,000


月額料金を支払って使用するクラウド型の会計ソフトは、銀行口座から引き落とされた日付で通信費として上記のように計上します。

仕訳例②
年間使用料のケース

借方 貸方
通信費 60,000 普通預金 60,000


クラウド型の会計ソフトの中には、1年間の料金をまとめて支払う料金システムを採用しているものもあります。その場合でも、銀行口座から引き落とされた日付で上記のように仕訳を行いましょう。

前述した通りクラウド型の会計ソフトは固定資産に含めないため、10万円以上といった高額の支払いになっても、全額を通信費として計上することが一般的です。

.インストール型の会計ソフトの勘定科目

インストール型の会計ソフトについて、使用する勘定科目や価格別の仕訳例などを解説します。

1
インストール型の会計ソフトは「消耗品費」に

消耗品は、コピー用紙や文房具、机・イスなど、幅広い物品に対して使える勘定科目です。ソフトウェアといった目に見えないものに対しても消耗品費が適用されることがあります。

したがって10万円未満のインストール型の会計ソフトは、消耗品費として計上しましょう。

前述した通り、10万円以上の消耗品費は無形固定資産として計上する必要があります。しかし、以下の特例を利用することで例外的な方法で処理することもできます。

  • ●少額減価償却資産の特例(中小企業の特例)
  • ●一括償却資産の損金算入

この2つの制度には、減価償却を行う事務的な負担を減らせるなどのメリットがあります。

これらの点を踏まえて、インストール型の会計ソフトに関する仕訳を以下の4パターンに分けて考えてみましょう。

  • ●10万円未満のケース
  • ●10万円以上かつ通常の固定資産にするケース
  • ●10万円以上かつ少額減価償却資産の特例を適用するケース
  • ●10万円以上かつ一括償却資産の損金算入の特例を適用するケース

仕訳例①
10万円未満のケース

借方 貸方
消耗品 90,000 現金 90,000


9万円の会計ソフトを現金で支払ったと仮定すると、仕訳は上記の通りになります。

取得時の価格が10万円未満であれば消耗品費として一括して計上できるため、経理上の処理も簡単に行うことが可能です。

仕訳例②
10万円以上かつ通常の固定資産にするケース

10万円以上であれば固定資産として扱う必要があり、消耗品費として1度で計上することはできません。ここでは、前述した2つの制度をどちらも使わない場合の仕訳方法を見てみましょう。

<購入時>

借方 貸方
ソフトウェア 280,000 普通預金 280,000

28万円で会計ソフトを購入したと考えると、上記の仕訳を行います。借方の「ソフトウェア」は普段あまり見ることのない勘定科目ですが、ソフトウェアという無形固定資産が28万円の価値で計上されたことを意味します。

<減価償却時>

借方 貸方
減価償却費 56,000 ソフトウェア 56,000


固定資産として計上した資産は、会計期間の最後の日に減価償却の処理を行います

会計ソフトなどをはじめとするソフトウェアの耐用年数が5年であるため、以下の計算によって減価償却費を56,000円と設定します。

280,000円(取得価額)× 0.2(定額法における償却率)= 56,000円(減価償却費)

今回の仕訳は、1年間で56,000円分の価値が減少したと考えて、ソフトウェアとして購入時に計上した固定資産の金額を56,000円減らすことを意味します。


参照:No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数

仕訳例③
10万円以上かつ少額減価償却資産の特例を摘要するケース

「少額減価償却資産の特例(中小企業の特例)」とは、減価償却するべき固定資産を取得した際に、中小企業に限り使える特例です。取得価額が30万円以下の減価償却資産を取得した際に、その全額を経費として計上することができます。

この特例を利用するためには、以下をはじめとした要件を満たすことが求められます。

  • ●従業員の数が500人以下(令和2年4月1日以後の取得の場合)
  • ●資本金もしくは出資金が1億円以下
  • ●「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」の提出

このほかにもさまざまな要件があるため、国税庁のホームページや税理士の指示などを参考に検討しましょう。


借方 貸方
消耗品費 280,000 普通預金 280,000


少額減価償却資産の特例の利用により30万円未満の消耗品費を一括で計上できるため、上記のようなシンプルな仕訳で済みます。

この特例は令和4年3月31日までの限定的なものでしたが、2年間おきに期限が延長されています。そのため、現状では令和4年3月31日〜令和6年3月31日までこの特例が利用できることとなります。

参照:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

参照:令和4年度税制改正(租税特別措置)要望事項

仕訳例④
10万円以上かつ一括償却資産の損金算入の特例を摘要するケース

「一括償却資産の損金算入の特例」とは、取得価額10万円以上20万円未満の減価償却資産を、3年に分けて損金として参入できる制度です。

<購入時>


借方 貸方
一括償却資産 180,000 普通預金 180,000


例として、18万円でインストール型の会計ソフトを購入したとしましょう。購入時には、購入した日の日付で「一括償却資産」として上記のように計上します。

<減価償却時>


借方 貸方
減価償却費 60,120 ソフトウェア 60,120


会計期間の最後の日には、減価償却の処理を行います。 特例を利用することにより3年の減価償却となるため、以下の計算で求めた60,120円を減価償却費として計上します。

180,000円(取得価額)× 0.334(3年の償却率)= 60,120円

参照:一括償却資産

.サポート費用の勘定科目は?

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会計ソフトの操作方法や会計上の処理方法に不明点があれば、チャットや電話などで問い合わせができるサービスもあります。

サポート費用の勘定科目にこれといった決まりはありませんが、以下をはじめとする勘定科目を使って計上することが一般的です。

  • ●消耗品費
  • ●支払手数料
  • ●諸会費

会社に何らかの方針がある場合や、似たような仕訳を過去に行っている場合は、そちらを参考に仕訳を行うといいでしょう。

.勘定科目についての考え方

ここまで会計ソフトの勘定科目について解説してきましたが、実は勘定科目に明確なルールが設けられているわけではありません。

本項では参考として、勘定科目についての考え方やおすすめの決定方法などについて解説します。

1
法的に明確なルールはない

「このような場合にはこの勘定科目を使用しなくてはいけない」といった法的なルールが設けられているわけではありません。そのため、独自のルールや過去の慣習に沿って運用している会社も見受けられます。

例えば、クラウド型の会計ソフトの利用料として「クラウドサービス利用料」など、新たな勘定科目を作成しても問題はありません。

しかし、あまりにもめちゃくちゃな方法で会計処理を行っていたり、支払うべき税金が上下してしまうほどのミスをしていたりすれば、税務調査で指摘を受ける場合もあります。不要な疑いを持たれることのないよう注意しましょう。

2
基本的に一度決めた方法で運用する

会計処理においては「継続性の原則」と呼ばれる原則があり、一度決めた処理方法は正当な理由がない限り変更せず、継続して運用する必要があります。

そのため、会計ソフトの勘定科目を通信費として計上した場合には、その後も継続して通信費として計上することが求められます。

作成した帳簿や決算書は税務署や金融機関に見せることもあるので、できるだけこの原則を守るようにしましょう。

また、自社の経営状況を把握したり、今後の経営戦略を考えたりする際に、一度決めたルールを守らないとわかりにくい書類となってしまいます。第三者のためにも自社のためにも、処理方法のルールは継続して運用することが大切です。

.まとめ

会計ソフトの勘定科目は、購入した会計ソフトのタイプや金額によっても異なります。本記事などを参考に、適切な勘定科目を選んで仕訳を行いましょう。

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この記事を書いた人

NTT東日本 ビジネス開発本部 北森雅雄

NTT東日本に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングからキャリアを開始。

2018年から現職にて、プロダクト(SaaS)開発、デジタルマーケティング全般のディレクションに従事。

2022年に業務のデジタル化を分かりやすく発信するオウンドメディア(ワークデジタルラボ)のプロジェクトを立ち上げ。
NTT東日本にかかわる、地域のみなさまに向けてデジタル化に役立つ情報発信を展開。

北森雅雄 masao kitamori

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