建設DXで使われる7つの技術とメリット・デメリット6選【導入方法5ステップ】
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2024.11.06 (水)Posted by NTT東日本
建設業界は、多くの企業で人手不足や技術の継承などの課題を抱えています。課題解消を目指して、建設DXの導入を検討している企業の方もいらっしゃるのではないでしょうか。建設DXとはデジタル技術を活用して業務方法やビジネスモデルを変革することで、業務効率化や人手不足の解消などのメリットが期待できます。
そこで、今回の記事では、建設DXの概要や導入に必要な技術などを解説します。導入の流れが理解できる内容になっているので、建設DXで課題を解決したいと考える企業の方はぜひ参考にしてみてください。
1.建設DXとは?推進される背景も解説
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略語です。では「建設DX」とはどういうものなのか、概要と推進される背景を解説します。建設DXへの理解を深めて、導入時の参考にしましょう。
建設DXとは
建設DXとは、IoTやAIなどデジタル技術を用いた業務方法やビジネスモデルの変革を指し、生産プロセス全体の最適化を目指す取り組みです。建設業界では人手不足が深刻化し、就業者数は685万人(1997年)のピーク時から482万人(2021年)に減少したというデータが発表されました。そこで、人手不足や技術の継承など建設業の主な課題をDXによって解決することが期待されています。
参考元:「総務省統計局|労働力調査」(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html)
現在、大手企業ではすでに建設DXの導入が進んでいます。中小企業でも建設DXの取り組みが始まり、成果が出ている事例が増えています。
推進される背景
各業界におけるDX化は、経済産業省主導で進められていますが、その理由として「2025年の崖」が挙げられます。「2025年の崖」とは、企業のシステムの老朽化やブラックボックス化により、この状態が続くと2025年以降、データ損失やシステム障害などを原因として最大12兆円の経済的損失が生まれる可能性があると経済産業省が提示した問題です。
老朽化が進んだシステムは維持費が高く、さらに使い勝手の悪さが業務効率の低下を招く可能性があります。問題解決のためにも、企業はDX化を早い段階で進めて業務方法やビジネスモデルを変革することを政府から求められています。建設業界は現場や製造工程が多数あり、その分従業員数が多いため、DX化を取り入れることで業務効率化が期待できるでしょう。
2.建設DXで使われる7つの技術
建設DXでは、AIやドローンなどさまざまな技術が使用されます。この章では、建設DXで使われる技術を7つ解説します。建設DXの取り組みには、どのような技術が必要なのか把握し、導入時の参考にしてみてください。
AI(人工知能)
AI(人工知能)とは、人間の思考をシステムで再現する技術です。さまざまな分野でAIが導入されていますが、建設業においては以下のような方法で活用されています。
- ベテラン職人の技術を映像解析して継承のサポートをする
- 映像解析を行いインフラの老朽化を自動で検知し知らせる
- 3Dモデルデータの処理を行う
建設業界においてDX化がさらに進めば、より多くのデータが蓄積され、さらにAIの重要性が高まっていくでしょう。
ドローン
ドローンは、安全性リスクのある斜面や高所の点検作業で使用されます。高所の点検作業をする際に足場を組み立てることが多く、予算や人材不足に悩む企業は多いです。ドローンを導入すると、点検作業の準備にかかるコストだけでなく、例えば「インフラの老朽化が進む前に気づいて修繕する」などで、メンテナンス費用削減にもつながります。
ドローンを活用すれば目視する必要がなく少人数で作業ができるため、建設業界の働き方改革としての役目を担っています。また、従業員の安全性が確保できるのも、ドローンを使用する大きなメリットの1つです。
クラウド技術
クラウド技術とは、データや業務システムなどをインターネット経由で利用できる技術を指し、さまざまな産業のDXで活用されています。建設業では、事務書類や図面などを紙で管理している企業が多いです。紙資料は管理が煩雑になりやすく、情報のやり取りにも時間がかかります。
建設DXによってクラウド技術を展開しているサービスを導入することで、資料を電子データとして一元管理できるようになります。事業所や拠点ごとに管理しているデータや業務のノウハウなどをクラウド上で共有すれば、業務効率化が可能です。
ICT(情報通信技術)
ICTとはInformation and Communication Technologyの略で、ネットワークを使ってコミュニケーションを取る技術です。パソコンやスマートフォンなどをインターネットでつないで、情報の共有や共同作業などを行うときに使用します。建設DXでは、パソコンやスマートフォンなどのデバイスだけではなく、AI搭載の機器やドローンなどとの通信にも活用されます。
RTK測位
RTKは、相対測位という測定方法の1つです。衛星を利用し精度の高い位置情報を取得する技術で、ドローンの自動航行や農場機械の自動運転などに活用されています。建設DXにおいては、ドローンにRTKを導入し高精度の位置情報を取得することで、より正確な飛行ができるようになります。
BIM/CIM
BIM/CIMは、土木や建物などを3Dデータで表す技術です。建設業では、企画の際に3Dデータを活用することで、仕上がりや構造などが分かりやすくなります。また、建築物の性能もシミュレーションできるので、設計品質の向上につながるでしょう。BIM/CIMの利用促進が進み、国土交通省は2023年度までに、全ての公共工事(ただし小規模工事は除く)に原則適用するとしています。
5G
5Gは次世代移動通信規格のことを指し、多数のデバイスや機器との接続が可能、超高速・大容量の通信ができるなどの特徴があります。4Gでは通信の遅延や同時接続台数の制限などによって、リアルタイムに現場の状況を把握できないという問題がありました。5Gの導入によってこれらの問題が解消され、業務の効率化や生産性の向上が期待できます。5Gについて詳しく知りたい人は、ぜひ以下のリンク先をご覧ください。
3.建設DXのメリット4選
建設DXには、業務の効率化につながるやノウハウ・技術の継承がしやすいなどのメリットがあります。そこでこの章では、建設DXのメリットを解説します。建設DXの取り組みによって、どのような課題が改善されるのかを理解しましょう。
業務の効率化につながる
建設DXの大きなメリットとして、業務の効率化が挙げられます。デジタル技術を活用することで、図面や測量データから3次元モデルを作成し、さらに設備設計から仕上げまでのさまざまな情報を一元管理できるようになります。
また政府も建設DXを推進しており、3Dデータを活用する「BIM/CIM」の公共工事への適用がその1つです。3次元データを用いることで作業員がイメージしやすくなり、業務の効率化が期待できます。
ノウハウや技術を継承しやすくなる
建設業界では若い人材が不足し「ノウハウや技術の継承ができない」もしくは「時間がかかってしまう」といった問題を抱えています。ベテランの職人が引退する前にノウハウ・技術を継承したくても、引き継ぐべき人材がいないという企業は少なくありません。
AI技術でベテランの職人の動きを映像解析することで、簡単に再現できるようになりノウハウや技術の継承が可能になります。データを蓄積し教材として活用することができるので、新人作業員の教育にも役立ちます。
人手不足の解消につながる
DX化によってさまざまなデジタル技術を導入することで、作業時間を短縮できたり少ない人数で仕事がこなせるようになったりします。建設業界に若手の人材が集まらない原因として、労働環境や労働条件が挙げられます。ドローンや自動制御技術などを活用して、作業員の業務負担軽減や長時間労働の改善につながれば、若手の人材が集まりやすくなり、人手不足の解消が期待できるでしょう。
安全性の向上につながる
建設業は他の業種と比べて危険な作業や厳しい気象条件での作業が多いため、労働災害が多い傾向があります。ロボットやドローンを使って作業を遠隔ですることにより、労働災害を未然に防げます。また、ドローンを使って映像を撮り危険度判定ができると、危ない箇所の見逃しが減り事故を減らせるでしょう。ロボットやドローンなど機械の導入によって、労働災害の減少が期待できます。
4.建設DXのデメリット2選
建設DXには、費用や手間がかかる、経営戦略が立てにくいといった注意点があります。この章では、建設DXの注意点を解説します。建設DXではどのようなことに気を付けるべきなのか理解した上で、導入を進めていきましょう。
導入時に費用と手間がかかる
建設DXに取り組むにあたって、さまざまなデジタル技術を導入する必要があります。これまでデジタル技術を使っていなかった企業ほど、膨大な費用が必要です。デジタル技術に慣れていない作業員が多い場合は、教育にかかる費用がさらに必要となります。
既にデジタル技術を導入している場合でも、既存のシステムとの連携が難しく、稼働させるまでに手間がかかります。実際に作業する従業員から不満や反対意見が出ることが考えられるため、説明に時間がかかる可能性もあるでしょう。
経営戦略が立てにくい
建設DXは新しい取り組みのため、経営戦略を立てにくいという注意点があります。コストメリットや従業員への周知など、どのように進めていくか考えるときに悩む人が多いでしょう。また、建設DXの経営戦略を検討するときには、IT知識が求められます。経営者や戦略担当者はITに関する知識を持った上で、自社の課題と経営戦略に向き合っていく必要があります。
5.建設DX導入の流れ5ステップ
建設DXを導入するときには、段階を踏んで進めていくことが大切です。この章では、建設DXを導入する際の流れについて解説します。建設DXの取り組みを始める企業の方は、スムーズに導入するための参考にしてみてください。
現状の課題を把握する
建設DXを進めるときには、まずは現状の課題を把握することが大切です。実際に作業をしている人にヒアリングして意見を集め、要望や不満を洗い出しましょう。現場の声を聞くことで、どのようなデジタル技術が必要かが明確になります。自社の課題を把握し、建設DXをどのように進めていくか検討していきましょう。
DX化の目的や戦略を決めて周知する
現在の課題を把握したら、建設DXの目的や戦略を決めましょう。このとき、現場の声を経営者層にも伝えて、理解してもらうことが大切です。建設DXをうまく進めるには、企業全体で取り組むことが重要なポイントです。
建設DXの目的や戦略を決めたら、経営者層から作業員まで全体に周知しましょう。説明の際は建設DXによって「業務がどのように変化し」「働き方がどう良くなるのか」イメージできると、さらに伝わりやすくなります。
導入体制を整える
DX化には、手間と時間がかかります。そのため、建設DXを進めるチームを作り専念できる環境を整えましょう。DX化には、デジタル技術やシステムに関する知識がある人材の確保が必要です。
さらに、チームのメンバーに必要な教育をし、DX化の知識を身につけてもらうことも大切です。自社でデジタル技術やシステムに詳しい人材の確保が難しい場合は、DX化をサポートするサービスやツールの活用を検討してみましょう。
小規模のDX化を進める
デジタル技術に詳しい人材の確保やシステムの準備が整ったら、まずは小規模のDX化から進めていきましょう。一度で全ての作業をDX化すると、作業員が難しさを感じモチベーションが下がったり、不満を抱えたりする可能性があります。
最初につまずくと、DX化がうまく進まなくなる可能性があります。最初は「紙資料を電子データとして保存する」「コミュニケーションをチャットで行う」など、小さなことから始めていくのがおすすめです。
データの収集と改善を繰り返す
DX化を進めたら、データを収集し問題点があれば改善しましょう。実際にDX化を行ってみてシステムにエラーが出たり、作業員がうまくデジタル技術を扱えなかったりしたら、原因を追求し改善することでDX化の効果がさらに高まります。全ての作業のDX化が完了した後も、そこで終わるのではなくデータ収集と改善は繰り返し行うことが大切です。
6.DX化を進める基盤としてまずローカル5Gを導入しよう
建設DXを進めるときには、5Gの通信環境が必要です。NTT東日本では「ギガらく5G」という低遅延・高速のローカル5Gを提供しています。ギガらく5Gとは、本格的な5Gの手続きや設計だけではなく、導入後の運用やサポートまでトータルで提供しているマネージド型のサービスです。
料金プランは導入しやすいサブスクリプション型と一括支払い型から選べ、定額で5Gが使い放題です。また、システムのラインナップが豊富で、ユーザーのニーズに合わせて対応できます。
もし5G導入について不明なことや疑問点がある場合は、経験豊富なスタッフに相談できますのでご安心ください。ギガらく5Gについて詳細を知りたい方は、以下のリンク先Lをぜひご覧ください。
7.まとめ
建設業界は、深刻な人材不足や技術の継承がしにくいなどの課題があります。これらの課題を解決するために、建設DXが効果的です。建設DXは人材不足の解消や技術継承のサポートをするだけではなく、業務効率化や安全性の向上につながります。
建設DXに取り組むときは、まず現状の課題を洗い出し、どのようなシステムの導入が必要か把握しましょう。建設DXには、AIやドローン、5Gなどの技術を活用することが重要です。5Gについては、以下のURLから資料がDLできるので、気になる方はぜひご覧ください。
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