• 2024.11.06 (水)
    Posted by NTT東日本

ミリ波の活用分野6選!ほか周波数帯との違いや5Gへの活用についても解説

電波は、船舶航空無線や携帯電話だけでなく、電子レンジやICカードシステムなど、私たちの身の回りでさまざまな用途に使われています。また、IoT(センサーやカメラを搭載した端末同士がデータを送受信する技術)市場が拡大したことから、自社の商材やサービスにも移動通信システムを活用しようと考えている企業が多いのではないでしょうか。

特に近年では、マイクロ波やミリ波など周波数の高い電波の移動通信に注目が集まっています。そこで今回の記事では、ミリ波の活用分野やほかの周波数帯との違いについて解説します。ミリ波を利用した5Gについてメリット・デメリットを理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。

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1.ミリ波とは?ほか周波数帯との違いも解説

ミリ波は、簡易無線や天文・衛星通信に使用される電波です。では、ミリ波とは具体的にどのような特徴があるのでしょうか。本章では、ミリ波の性質やほかの周波数帯との違いについて詳しく解説します。

ミリ波とは

ミリ波は、波長が1〜10mmで30〜300GHzの電波です。ただし、移動通信システムにおいては、26〜29GHz帯の電波がミリ波と呼ばれています。一方で、26〜29GHz帯はマイクロ波に属する電波でもあります。ミリ波の特徴は、以下のとおりです。

特徴

活用分野

    • 情報伝送能力が高い
    • 直進性が強く回折しにくい
    • 悪天候や障害物に弱い
    • 短距離の無線通信
    • 簡易無線
    • 車両搭載レーダー
    • 電波望遠鏡
    • 天文観測装置

電波は、周波数が高いほど取り扱いが難しく、需要が少なくなります。そのため、周波数が高いミリ波帯はこれまで注目されていませんでした。なお、需要が少ない周波数帯は、帯域幅を広く取れるという特徴があります。電波は、帯域幅が広いほど通信速度が速くなります。そのため近年では、高速通信が必要な5Gへのミリ波需要が増加しました。

ミリ波とほか周波数帯の違い

ミリ波とほかの周波数帯の特徴は、以下のとおりです。

名称

周波数(Hz)

特徴

活用シーン

超長波

3~30k

地表面に沿って伝達し、水中で通信できる。

海底探査

長波

~300k

1930年代まで、通信に利用されていた。

ラジオ放送

船舶ビーコン

中波

~3M

電離層に反射して、遠距離まで届く。

AMラジオ放送

短波

~30M

地球の裏側まで届く。

遠洋船舶通信

国際放送

超短波

~300M

山や障害物をある程度回折する。

FMラジオ放送

移動通信(業務用)

極超短波

~3G

情報伝送能力が高く、小型の通信設備で送受信できる。

デジタル放送

空港のレーダー

マイクロ波

~30G

直進性が強く、情報伝送能力が高い。

衛星通信

気象レーダー

ミリ波

~300G

情報伝送能力は高いが、近距離にしか届かない。

無線通信

簡易無線

サブミリ波

~3T

光に近い性質を持っており、水蒸気に電波が吸収されやすい。

電波望遠鏡

ミリ波は、長波や中波のように長距離の通信に使われていません。一方で、短距離の無線や画像伝送システムにミリ波は使われています。

2.ミリ波の活用分野6選

ミリ波は通信速度が高い一方で、直進性が高く遮蔽物に弱く、通信距離も他の電波より短い電波です。それでは、ミリ波はどのような分野で活用されているのでしょうか。本章では、ミリ波の活用分野について詳しく解説します。

通信

ミリ波は、以下のような通信サービスに活用されています。

  • 簡易無線
  • 無線LAN
  • 通信衛星
  • 放送

ミリ波は電波の指向性が高いため、特定エリアに絞った通信に適していて、他の機器との混信や干渉を起こしにくい周波数帯です。直進性が高く電波を飛ばす方向を限定できるので、軌道衛星同士や地上における混信を避けて通信できます。そのため、ミリ波は短距離通信(5G・WirelessHDなど)デジタル放送のRoF(光ファイバー)伝送システムに利用されています。

自動運転

自動運転分野において、ミリ波は以下のようなサービスに活用されています。

  • 遠隔操作(自動運転レベル3)
  • 車載レーダー
  • 位置認識システム

自動車(公道上)は時速40km以上で走行するため、数秒の通信タイムラグが重大な事故につながりかねません。自動運転における障害物検知や遠隔操作には、ミリ波のような低遅延な通信が求められています。そのため、ミリ波の低遅延通信は、自動運転の安全性を高めるV2X(車両と歩行者・信号機などで構築されるネットワーク)障害物検知のミリ波レーダーに活用されています。

医療

ミリ波は、以下のような医療サービスに活用されています。

  • 生体情報取得
  • 介護施設での転倒検知
  • 睡眠時無呼吸症候群の治療
  • ジェスチャー入力装置

ミリ波を利用したセンサーは、呼吸・拍動による臓器の細かな動きの高精度測定が可能です。そこでミリ波センサーは、非接触のバイタルデータ収集AIによる高齢者の転倒や体調異常の検知などに活用されています。また、高齢者との意思疎通ツールの開発にミリ波が利用されています。

工業

工業におけるミリ波の活用サービスは、以下のとおりです。

  • スマートシティ・ファクトリーの基幹システム
  • 労働環境の自動化
  • 危険エリアへの進入防止
  • 製品の加工(加熱、乾燥、水分調整、殺虫)

ミリ波は同時多数接続が可能な電波であり、工業分野ではIoT(モノのネットワーク)の通信で真価を発揮します。センサーやカメラを搭載した大量のIoT端末がミリ波でデータを送受信し、業務の効率化や自動化を支援します。

天文

天文分野において、ミリ波は以下のような機器に活用されています。

  • 国立天文台の電波望遠鏡
  • 太陽電波強度偏波計
  • ミリ波干渉計
  • 電波へリオグラフ
  • 環境(オゾン層や太陽)計測機

ミリ波は直進性が高く、光学観測より高精度な天体データを収集可能です。そのため、より遠くに位置する天体や太陽・オゾン層の観測に、ミリ波が利用されています。また近年では、天気予報にもミリ波の電波減衰(雨や霧に電波が吸収される性質)が活用されています。

エネルギー開発

エネルギー開発分野におけるミリ波の活用機器は、以下のとおりです。

  • ワイヤレス電力伝送システム(ミリ波ビーム)
  • ジャイロトロン(ミリ波加熱装置)

ミリ波は、直進性が高い周波数帯です。そのため、宇宙空間で発電して電波に変換した上で地上に送信する際、エネルギー伝送ロスが少なく済みます。また、電波は周波数が高いほど高エネルギーになります。核融合炉は、1億度以上の超高温プラズマを維持しなければいけないため、加熱装置の性能が重要です。そのため、高エネルギーなミリ波は核融合炉の加熱装置として活用が期待されています。

3.ミリ波は5Gへの活用が近年注目を集めている

ミリ波は通信分野への応用が目覚ましい周波数帯であり、特に5Gへの応用が注目されています。5G(第五世代の移動通信システム)の特徴は、以下のとおりです。

特徴

期待されている役割

利用シーン

    • eMBB:高速大容量の通信
    • URLLC:低遅延の通信
    • mMTC:同時に多数の端末が接続可能

社会的課題(過疎化や少子高齢化など)解決

    • IoT
    • 通信混雑の解消
    • 機械の遠隔操作

なお、5Gはミリ波以外に、2種類の周波数帯(Sub6・4G転用)が利用されています。しかし、Sub6や4G転用の電波では、高速通信や同時多数接続を利用できません。一方で、ミリ波は周波数と直進性が高いため、5Gの高速通信や同時多数接続を実現できます。そのため、5Gのメリットを最大限に発揮できるミリ波に注目が集まっています。

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4.ミリ波5Gのメリット・デメリット

ミリ波は、5Gへの活用が期待されています。それでは、ミリ波の5G活用にはどのようなメリットがあるのでしょうか。本章では、ミリ波5Gのメリットに加えて、デメリットを解説します。

メリット

ミリ波5Gのメリットは、以下のとおりです。

  • 通信速度が速い
  • 同時接続可能端末数が多い

電波は、帯域幅(周波数の最大と最小値の差)が広いほど、通信速度が向上します。ミリ波の帯域幅はSub6の約4倍の広さ(400MHz)があり、高速かつ大容量の通信を実現可能です。

また、ミリ波は帯域幅が広いため、端末それぞれに異なる周波数を割り当てて同時に通信可能です。そのため、IoTの活用には同時多数接続が可能なミリ波が適しており、活用が期待されています。IoTが効果を発揮するには、大量のカメラやセンサーをミリ波で相互通信させることが必要です。

デメリット

ミリ波5Gには大きなメリットがある一方で、以下のようなデメリットが存在します。

  • 通信可能範囲が狭い
  • 障害物の影響を受けやすい
  • 普及しづらい

電波の減衰は、周波数の2乗に比例します。そのため、周波数が高いミリ波は伝搬損失が大きく、遠距離に電波が届きません。さらにミリ波は直進性が高く、障害物の影響を受けやすい電波です。

電波は直進性が高いほど光に似た性質を持つため、空気中の水分(雨や霧)に吸収・反射されやすくなります。また、ミリ波の普及にはハードルがあります。なぜなら、電波は高周波になるほど高い技術力が必要で、通信網の敷設にコストがかかるからです。

5.ローカル5Gを工場やオフィスに導入するならNTT東日本の「ギガらく5G」がおすすめ

通信キャリアの5Gは、都市部に提供エリアが限られています。そのため、郊外等で5Gを利用するにあたり、現在はローカル5Gが注目を集めています。
ローカル5Gとは「高速大容量(10Gbps)」「超低遅延(1ミリ秒程度の遅延)」「多数同時接続(100万台/k㎡の接続機器数)」といった特徴をもつ「第5世代移動通信システム」を企業や自治体が携帯通信キャリアに依存せずに、自社の敷地に自ら構築・運用できる独自の5Gネットワークを指します。ローカル5Gを工場やオフィスに導入したい企業には、NTT東日本におまかせください。
NTT東日本では、ミリ波・Sub6両方のソリューション提供が可能となります。特にSub6の領域では、マネージド型ローカル5Gサービス「ギガらく5G」を提供しており、高品質なローカル5Gサービスを低廉かつお手間なく導入・運用が可能となります。

また、利用ニーズに合わせて、既存ネットワークの拡張屋内外のシステム設計も請け負うので、移動通信システムの導入でお悩みの企業は、ぜひNTT東日本へご相談ください。

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6.まとめ

ミリ波は、周波数帯が30〜300GHzの電波で、帯域を広く取りやすく直進性が強いという特徴があります。特に近年では、自動運転や5G(第五世代の移動通信システム)へのミリ波活用に注目が集まっています。

なお、ミリ波5Gは都市部以外には普及していません。そのため、郊外のオフィスや工場でミリ波5Gを利用したい場合は、ローカル5Gが必要です。そこで、ローカル5Gを導入したい企業には、システムの構築から運用まですべておまかせ可能なNTT東日本のローカル5Gソリューションをおすすめします。社内にITに詳しい社員がいない企業や、郊外で高速通信を利用したい企業はNTT東日本のローカル5Gソリューションの導入を検討されてはいかがでしょうか。

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