”つながらない”をなくすために。 通信品質の向上に取り組むスペシャリスト集団、NTT東日本技術協力センタのプライドとは。
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2024.11.13 (水)Posted by NTT東日本
通信インフラという社会基盤を守る責任がある-
NTT東日本では、高品質で安定した通信サービスを提供し続けるため、通信障害・不具合の発生原因の究明・再発防止に取り組んでいます。中でも特異な事象を専門に扱う、いわば通信品質改善のスペシャリスト集団である技術協力センタの取り組みをご紹介します。
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通信品質改善の「要」、NTT東日本 技術協力センタとは?
社会基盤である通信品質を高めるための課題と解決に向けたNTT東日本の取り組み
経済、医療・福祉、教育、娯楽…私たちの社会生活において、通信回線は社会活動を支えるインフラとして重要な役割を果たしており、通信の品質が各サービス高度化や充実を支えていると言っても過言ではありません。しかし通信設備も絶対ではありません。何らかの理由で故障したり、速度が遅延してしまうという課題が発生する場合があります。その際NTT東日本はただちに復旧工事や故障修理の対応をしますが、現場で解決できない特異な故障・不具合も存在します。その原因を究明し、再発防止策をNTT東日本全社に展開することで通信品質の向上を支えるプロフェッショナル集団、それが技術協力センタです。
通信品質の向上に向けた特異故障に取り組み続けて60年
技術協力センタは1963年に前身の組織が発足して以来60年もの間、通信設備の品質を技術面で支えることを使命としてきました。通信事業の現場と密着しながら通信技術の研究活動を行い、全国のお客さまにより高品質な通信を提供できるように取り組んでいます。
主な取り組み分野は以下のとおりです。
- アクセス技術:光/メタルアクセス設備故障の原因調査、対策
- ネットインターフェース技術:IPサービス、 ネットワークサービス、お客さま設備の故障の原因調査、対策
- 材料技術:構造物や部材の劣化・破損の原因調査、対策
- EMC技術:Wi-Fiなど無線の電波干渉・電磁雑音の原因調査、対策
本稿では、お客さまがご利用になる通信回線の現場を支える技術協力センタの取り組みの一例をご紹介します。
地形・気象・犬の散歩道…20年先の設備劣化を想定して通信を守る
通信設備のメンテナンス条件は環境によってさまざま
通信トラブルの大きな要因のひとつが設備の劣化です。通信設備には屋内にあるもの、屋外にあるものが存在しますが、特に屋外の通信設備はその設置環境にさまざまな影響を受けやすいです。通信設備が劣化してしまうと、ケーブルが損傷して通信が途絶えてしまったり、電柱から通信設備が落下し人的・物的事故にもつながる可能性もあります。
設備の劣化の原因を探り、適切なメンテナンスを効率的に行うことができるよう、技術協力センタではさまざまな取り組みを行っています。
高精度の「塩害マップ」で、地域の特性に合った塩害対策を行う
周囲を海に囲まれている日本列島。通信設備が損害を受ける原因で最も多いのは、塩害による劣化です。海から吹いてくる塩分を多量に含んだ風による化学反応で通信設備が腐食劣化し故障することを防止する、塩害対策が重要となります。
技術協力センタでは気象データと海岸線との距離データを組み合わせた膨大なデータを用いて最小100mメッシュという細かい範囲で影響を把握することができる「塩害マップ」システムの構築に成功しました。このシステムは、通信設備の腐食対策として用いられる亜鉛めっき鋼の暴露試験による測定データ、気象データ、海岸からの距離により計算した腐食速度結果を地図上に反映したものです。これにより、海岸から近ければ設備が劣化しやすいと一律に判断するのではなく、風の方向などの地域ごとの気象条件も加味した予測が実現可能となりました。設備保守の作業者はこの「塩害マップ」を活用し、点検頻度を重点的に行う地域や、塩害に強い部材を通信設備に使用する際の判断を行っています。
また、技術協力センタでは、塩水噴霧試験機による塩害対策の仮説検証も行っています。塩水噴霧試験機はいわば高速劣化装置のようなもので、塩害の条件をあらかじめ設定し、人為的に通信設備の劣化を早める試験装置です。特殊な条件を再現できるようになったことで、より精密で効率的な検証を実現しています。
犬の散歩ルートと電柱の寿命が関連している?!
通信設備は時に生き物の影響を受けます。野生動物による被害もありますが、意外にもペットによる影響を受けることがあるのです。住宅地の一部の電信柱の片側だけが激しく腐食する事象がありました。技術協力センタは現地調査し、この腐食が、ある特定道路の電信柱の道路側片面に連続的に発生していたり、交差点に設置された電柱に頻発しているという傾向を掴み、さらに腐食部分の化学反応を分析したところ、犬の尿の成分が検出され、犬の散歩ルートにある電柱がマーキングにより腐食していたという原因を突き止めました。
電柱が腐食して倒れると通信回線が断線してしまう恐れがあるだけでなく、偶然そばにいた人や物に接触した場合は非常に危険な事故につながる可能性もあります。通信不具合や事故を防ぎ、少しでも設備の寿命を長持ちさせる対策のため、技術協力センタでは、気象条件など定量化されたデータだけでなく、設備破損や腐食の原因を化学反応から分析し、通信設備が受ける影響を解明、保守を行う部署と連携して影響を最小限に食い止める対策を行っています。
光ファイバの測定も、より緻密で高度なレベルへ
不具合の原因を突き止めるために測定器を自作
通信回線に不具合が発生する原因はさまざまです。不具合の生じた回線を交換して通信が復旧しても、その原因を究明して対策をとらなければ、いつどこで再発するか分かりません。
不具合の一例として、光の損失があります。光の損失とは、光ファイバで情報を伝送する光のパワーが減少することを指します。光通信設備にはケーブルだけでなくコネクタや光分岐素子など損失の原因となるさまざまな物品が使われているため、その問題点を究明して解決するには非常に難易度が高い分析能力が必要です。
不具合が発生した現場で原因が分からない場合、故障が疑われる物品を技術協力センタに持ち込み、物品内部の光の反射状況を分析してどこで損失しているのか、さまざまな測定器を使って原因を探ります。光の反射状況を測る市販の測定器を使うこともありますが、技術協力センタの社員が自ら測定装置を作って原因追究することもあります。例えば微小光学部品の故障診断に活用する光反射測定装置については、市販装置だと故障部位を1m単位でしか特定できませんが、装置を自作することにより10μm単位で故障部位を特定することができるようになりました。より高い精度で原因を突き止めたいという強い使命感と、高度な技術力が安全・安心の品質を支えている例といえるでしょう。
施工現場との連携により、不具合を未然に防ぐ
技術協力センタのミッションは原因究明だけでなく再発防止までを含みます。原因が究明できた後は、同じ不具合が再発しないように工事部材の材質を変更したり、通信回線工事の工程や工事機材を見直したり、再発防止策を施工現場に展開します。NTT東日本では1日約1万件の回線開通工事を行っていますが、その開通に必要となる作業工程に再発防止策を盛り込む改善を、施工にかかわる部署と連携して進めることもあります。
技術協力センタは、不具合に対して「直す」だけでなく、「未然に防ぐ」ことで、お客さまに安心して通信回線を使い続けていただけるよう施工現場と協力して保守品質を高めることに取り組んでいるのです。
技術協力センタ長より~「すべてはつながらない人をつくらないために」~
私ども技術協力センタは、現場では解決困難な特異故障の案件に真摯に取り組み、解決に向けた最後の砦として品質を守っていく、というミッションを担っています。そのためにアクセス技術、ネットインターフェース技術、材料技術、EMC技術など幅広い技術を駆使しています。プロの技術者集団の私たちは、現場が困難に直面した際に、故障の原因究明や適切な対策技術を提案して当社サービスの高い通信品質を確保し、安全で安心して利用できる通信環境やサービスを実現する技術支援ならびに技術開発を行っています。
「すべてはつながらない人をつくらないために」をモットーに、技術協力センタは技術レベルの向上に向けて研鑽し、通信設備を守る現場と密接に連携しながらNTTの通信品質をこれからもしっかり支えて参ります。
未来の通信品質を今から守っていく。快適につながることが当たり前のインフラをめざして
これまでご紹介してきたように、技術協力センタでは解決困難な特異故障の原因究明や対策技術を確立するとともに、多くの事例、対策技術、ノウハウの普及・展開を行ってきました。これらのノウハウや技術を活かしたコンサルティング、ツール/対策品開発や技術評価の実施を通じて、安心で安全な通信環境の実現に取り組んでいます。
通信インフラは社会基盤であり、この基盤を守る取り組みを、NTT東日本は高速通信回線登場前の加入電話の時代から続けてきました。「今、通信がつながっていること」で満足せず、10年先、20年先の未来や社会を守るため、通信品質改善の手を止めることなく進めていく。それが、NTT東日本の責任とプライドだと考えています。
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