5分でわかるPDM(製品情報管理システム)|機能や導入時の留意点
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2023.3.08 (水)Posted by コワークストレージ窓口
「PDMを導入すると、どのようなことができる?」
「自社でPDMを導入すべきか判断したい」
PDMとは、設計工程で発生するCADなどのデータを管理するためのシステムです。
具体的には、以下のような機能を搭載しています。
PDMを導入することで、膨大なデータを一元的に管理することができ、データをすぐに見つけられるようになります。また、ワークフロー機能なども活用することで、生産性の向上にも役立てることができるシステムです。
しかし、導入前の準備を怠ると、操作を習得しなければならない社員から反発が起きたり、予想していたような効果を得られなかったりする可能性があります。事前の研修やシステムを選ぶ際に現場の声を取り入れるなど、事前の準備が重要です。
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この記事では、以下の内容を詳しく解説しています。
- ●PDMとはなにか
- ●PDMの機能
- ●PDMを導入するメリット/デメリット
- ●PDMを導入する際に留意すべきポイント
この記事を読むことで、PDMを導入するとどのような効果があるのかがわかります。また、PDMで解決できる課題も紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
1.PDM(製品情報管理システム)とは
まず、PDMとはどのようなシステムなのかについて解説していきます。
1-1.PDMは設計関連データを管理するためのシステム
PDMとは「Product Data Management」の略で、日本語では「製品情報管理システム」といいます。その名の通り、設計工程で発生するCADやBOMなどのデータを一元管理するためのシステムです。
設計部門と他の部署との情報共有をスムーズにすることができ、生産性の向上が期待できます。PDMでは、CADデータ以外の設計情報・図面・ドキュメントなども一元的に管理することが可能です。
1-2.PDMとPLMの違い
PDMと混同されやすいのが「PLM」です。PLMとPDMは、管理の対象となるデータの種類や範囲が異なります。
PLMは「Product Lifecycle Management」の略で、製品の企画・生産・販売・廃棄まで製品のライフサイクル全体を通して相互に関連づけながら、管理・情報共有することで業務効率化や開発期間の短縮、さらにニーズが高い製品を適切な時期に市場に出すことを目指すための取り組みです。
またPLMシステムは、PDMなどの各フェーズのデータ管理を行うソフトウェアや、プロセス全体を把握するためのソフトウェアなど、複数のソフトウェアの集合体で構築されるシステムを指します。
つまり、PDMはPLMシステムの一部であるということです。
2.PDMの主な4つの機能
PDMは製品によって搭載されている機能は異なりますが、主に以下の4つの機能があります。
PDMを導入するか検討する前に、PDMではどのようなことができるのかを理解しておきましょう。
では、機能を1つずつ解説していきます。
2-1.データ管理機能
PDMは前述したとおり、CADデータやBOM、図面やドキュメントなどの膨大なデータを一元管理することがメインの機能といえます。
どのようにデータを管理するのかについて詳しく見てみましょう。
2-1-1.データの紐づけができる
PDMはただデータを管理するだけではなく、製品情報に対して画像や文書など形式が異なるデータを紐づけることもできます。例えば、製品データに部品データを紐づけたり、CADデータに解析の結果を紐づけたりすることが可能です。
2-1-2.同時に編集するリスクを無くせる
誰かがデータを編集している際には、他の人がデータを編集できなくすることが可能です。同時作業を防ぐことで、片方のデータが保存されないといったリスクをなくせます。
2-1-3.以前のバージョンに戻ることができる
PDMは更新前のデータも保存されているため、万が一ミスのある状態で保存してしまっても、以前のバージョンに戻ることが可能です。
2-2.ワークフロー機能
ワークフロー機能は、業務の流れに沿ったワークフローの設定ができます。ワークフロー機能を活用しながら業務を進めることで、ワークフローを可視化でき、標準化することができるようになります。
ワークフロー上にチェック・申請・承認ポイントを設置することで、進行の遅れが発生した場合にアラートを自動で送信したり、上司の確認を必須にしたりすることも可能です。システム上での申請・承認もできるようになるので、業務効率化にも役立ちます。
2-3.検索機能
キーワードを使用してファイルや図面を検索できる機能です。システムによってファイル内の文言やプロパティ情報から検索することもできるため、製品数やデータ量が多い企業ほど検索機能が優れたシステムを選ぶ必要があるでしょう。
2-4.セキュリティ機能
データへのアクセス制限や更新権限など、さまざまな制御も可能です。
部署内だけで共有したいデータであれば、アクセス権を部署内に設定したり、重要な図面が勝手に更新されないように権限設定をしたりコントロールすることができます。
3.PDMを導入する4つのメリット
PDMを導入することで、以下のようなメリットがあります。
- ●データを一元管理できる
- ●データをリアルタイムで共有できる
- ●生産性を向上できる
- ●業務プロセスを標準化できる
PDMを導入する効果を知るために、メリットについて詳しく解説していきます。
3-1.データを一元管理できる
製品設計のデータは情報数が膨大になり管理しきれなくなることがあります。例えば、必要なデータがどこに保存されているか、どれが最新のデータかがわからなくなるといったことが起こる可能性があります。
そのような場合に、PDMを活用することでデータを一元管理できれば、必要な情報を検索して見つけ出すことができるようになり、「データを探す」という時間を削減できます。
3-2.データをリアルタイムで共有できる
PDMを活用することで、複数のデータに共通する修正・更新はリアルタイムで同期できるようになります。そうすれば、部署ごとの更新タイミングのズレによる問題や、最新データがどれかで悩むこともなくなるでしょう。
また、地方や海外などの遠隔地ともリアルタイムでデータ共有ができるようになります。データの共有にメールなどを使用しないことで、セキュリティ面においても安心してデータを共有することが可能です。
3-3.生産性を向上できる
PDMを活用し、データを一元化してワークフローを標準化することで、無駄な業務の削減ができます。
その結果として、業務が効率化されて生産性の向上も期待できるでしょう。
3-4.業務プロセスを標準化できる
PDMでワークフローを作成しておくことで、仕組みに落とし込むことができます。そうすることで、誰が業務に関わっても同じ業務が行えるように、一本化することが可能です。
ワークフローを明確にして業務プロセスを標準化しておけば、無駄な工程を省きスキル差によるムラも解消できるため、品質の向上にも繋げることが可能です。
4.PDMを導入する2つのデメリット
PDMの導入はメリットだけでなく、以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。
- ●PDMを扱うための社員教育が必要
- ●効果が見えにくい
これらを理解していなければ、PDMを導入するかどうかの判断を誤ってしまう可能性があります。
では、デメリットについて解説していきます。
4-1.PDMを扱うための社員教育が必要
PDMは導入して少し触れば誰もが使いこなせるというものではありません。そのため、導入時には社員への教育が必須となるでしょう。
充分な教育を施さないまま本格的に導入を開始しても、システムへの理解度が足りず導入を失敗してしまう可能性があります。
教育にはコストがかかりますので、導入にかかるコストとして考えておきましょう。
4-2.効果が見えにくい
PDMのメリットとして生産性の向上が挙げられますが、生産性の定量的な目標を設定することが難しいため、PDMの投資効果を数値で見ることが難しいというデメリットもあります。
また、導入してすぐに作業効率が上がったりコストが大幅に削減できたりすることはあまりないため、効果を実感するまで時間がかかるでしょう。
PDMに慣れていくことで徐々に効果が表れてきます。
5.PDMで解決できる4つの課題
PDMで解決できる課題には、以下のようなものがあります。
- ●データがどこに保存されているのかわからなくなる
- ●情報共有が円滑にできていない
- ●業務の進捗状況をすぐに確認できない
- ●生産性の向上・コストの削減に取り組みたい
PDMを導入すると、どのように課題を解決できるのかについて解説します。
5-1.データがどこに保存されているのかわからなくなる
製品設計は複数の部署がそれぞれ多くのデータを扱い、製品数が増えるほどデータ量は膨大になります。それをファイルサーバーでフォルダ管理するのは限界があるでしょう。
データがどのフォルダにあるかを探すだけで、多くの時間を取られてしまいかねません。
もし、ファイルサーバーでデータの保存を続けた場合、日々増え続けるデータを管理しきれなくなってしまいます。現状でデータがどこに保存されているかわからず、探すことに時間を取られている場合、今後はさらに探すことが困難になるでしょう。
さらに、部署ごとにデータの管理方法が異なるケースもあり、部署間をつなぐ仕組みがなければ、他部署で管理されているデータを検索できない場合があります。
PDMを導入することで、データを一元管理して検索可能にするだけでなく、部署間で円滑に共有できるようなるため、データを探す時間を削減できます。
5-2.情報共有が円滑にできていない
支社などの遠隔地や部署間の情報共有をメールなどで行っていると、タイムラグが発生してしまいます。
メールを送信してからデータを閲覧するまでの間に、データが更新されている可能性もあります。そうした場合、更新したデータを再度メールで送信しなければなりません。メールを送り忘れてしまうリスクもあります。
PDMを導入することによって部署間・遠隔地との情報共有や、複数のデータに共通する修正・更新をリアルタイムで行えるようになるため、情報共有が円滑にできていない場合はPDMが役立つでしょう。
5-3.業務の進捗状況をすぐに確認できない
ワークフロー機能で申請・承認ポイントを設定したり、上司の確認を必須にしたりすることで、業務の進捗状況を把握しやすくなります。
また、業務に遅れが出た際にアラートが送信されるように設定できるため、早急な対応が可能になります。
PDMを導入していないと、申請や確認に時間がかかったり、業務の遅れに気付くことができなかったり、対応が後手に回ってしまう可能性があるでしょう。
5-4.生産性の向上・コストの削減に取り組みたい
生産性の向上に取り組まなければ、余計なコストが発生するだけでなく、よりコアな業務に力を入れることができません。
データを探すために時間を取られていたり、業務プロセスにバラつきがあったりすることで生産性を挙げられていない場合も、PDMの導入が役立つでしょう。
PDMを活用して無駄な業務を削減することで、コストの削減や生産性の向上に繋げることが可能です。
6.PDMを導入する際に留意すべきポイント
PDMを導入する前に、以下のポイントを理解しておきましょう。
- ●PDMを導入する目的を明確にしておくことが重要
- ●事前に社員教育を行い導入環境を整備する必要がある
- ●導入によって一時的に現場スタッフに負担がかかる
- ●段階的に導入を進める必要がある
これらを理解していないと、導入したものの使いこなせないといった問題が起こる可能性があります。
では、留意すべきポイントを見ていきましょう。
6-1.PDMを導入する目的を明確にしておくことが重要
PDMを導入するにあたって、導入する目的を明確にしましょう。目的がはっきりとしていなければ、社員にもPDMの重要性を理解してもらうことができず、導入に失敗する可能性があるからです。
また、自社内のデータ管理においてどのような課題を解決したいかによって、導入する製品も異なります。
例えば、部門ごとに個別管理していた保管場所やフォーマットが異なるデータを一元化したいのであれば、検索機能や権限設定が充実している製品を選ぶと、よりPDMの導入が効果を発揮するでしょう。
自社内の状況を分析するためには、現場スタッフへのヒアリングが重要です。現場から出た課題に合わせた製品を選びましょう。
6-2.事前に社員教育を行い導入環境を整備する必要がある
PDMに対して社員の理解がなければ、運用を始めても充分に活用ない可能性があります。
新しいシステムを導入したばかりの頃は習得に時間がかかり、「従来の管理方法の方が楽だった」という反発も出やすいでしょう。
そのようなリスクを防ぐためにも、運用開始前に導入環境を整備しておくことが大切です。
導入環境を整備するためには、研修期間を設けて以下のことを行いましょう。
- ●PDMを導入するメリットを社内に浸透させる
- ●PDMの操作方法や具体的な活用方法を社員に習得させる
運用開始後に社員が問い合わせしやすいように、社内ヘルプデスクを設けるのもおすすめです。
PDMを導入する理由を伝える際には、「無駄な業務を削減できるようになる」など従業員が実感できるメリットを交えて伝えましょう。社員自身がメリットを感じられないシステムの導入には、反発が生まれてしまう可能性があります。すると、想定していたような成果を挙げられなくなるでしょう。
そのため、研修などの準備はPDMの導入において重要なのです。
運用開始前には試用運転を行い、記入項目の数や操作性も現場に確認してもらいましょう。
6-3.導入によって一時的に現場スタッフに負担がかかる
PDMの運用を開始してすぐはワークフローが変化するため、現場スタッフに負担がかかる可能性があります。使い慣れていないシステムの操作方法を覚えなければならず、慣れるまでは作業効率が低下するケースもあるでしょう。
システムやツールに不慣れな人でも慣れれば操作できるような操作感の良し悪しも、PDMを選ぶ際の重要なポイントになるでしょう。活用する現場スタッフの目線に立ってどのPDMを導入するか選びましょう。
6-4.段階的に導入を進める必要がある
PDMを導入する際には、いきなり関連するすべての部署で運用を開始するのではなく、まずひとつの部署に絞って試験的に運用してみましょう。問題がなければ徐々に規模を拡大してください。
なぜなら、運用状況を見ながら活用する機能を変更したり、PDMで管理するデータの調整をしたりすることで、自社に適した運用方法を確立していくことが重要だからです。
PDMは導入コストが高い反面、自社に適した方法で運用ができていないと効果が表れにくいため、必ず段階的に導入を進めましょう。
7.データの一元管理ならクラウドストレージという選択も
PDMの最大の特徴は「設計工程に関連するデータを一元的に管理できる」という点です。
しかし、
- ●膨大なデータを一元管理したい
- ●データをすぐに見つけられるようにしたい
- ●リアルタイムで情報共有できるようにしたい
このような課題であれば、導入費用が比較的高価なPDMを導入しなくても、クラウドストレージで解決することが可能です。
NTT東日本では中小企業さま向けに、100GB・5ユーザーで2,750円(※税込み、1ユーザー550円)からご利用できるクラウドストレージ「コワークストレージ」を提供しています。
※画像はイメージです。
デスクトップ感覚で扱える高い操作性は、導入してすぐに誰でも使いこなせます。また、国内データセンターでデータを保管するためセキュリティ面も万全です。企業規模に合わせてプランを選ぶことができるため、コストを抑えることもできます。
アクセス権限の設定や複合検索機能も搭載しているので、PDMのようにデータを管理することが可能です。
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8.まとめ
PDMは、設計工程で発生するCADやBOMなどのデータを一元管理するためのシステムです。
主に以下のような機能を搭載しています。
PDMには、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット |
● データを一元管理できる ● データをリアルタイムで共有できる ● 生産性を向上できる ● 業務プロセスを標準化できる |
デメリット |
● PDMを扱うための社員教育が必要 ● 効果が見えにくい |
これらを理解し、PDMの導入で自社の課題が解決できるかを考慮して、導入するかを検討しましょう。
導入する場合には、次のポイントに留意してください。
- ●PDMを導入する目的を明確にしておくことが重要
- ●事前に社員教育を行い導入環境を整備する必要がある
- ●導入によって一時的に現場スタッフに負担がかかる
- ●段階的に導入を進める必要がある
事前の準備が充分でなければ、導入に失敗してしまう可能性があります。
また、膨大なデータの一元管理やリアルタイム共有は、クラウドストレージでも可能です。
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