
【地域交通】地域のパートナーとしてそのまち”ならでは”のまちづくり
NTTグループでは地域循環型社会の実現に向けてグループの総力を結集し、分野横断型で地域の価値を創造し、持続可能なまちづくりを推進しています。
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まちづくりのヒント(第25回)

日本の公共交通は地域ごとに異なる課題を抱えています。大都市では公共交通機関の過密状態が常態化し、混雑が深刻化する一方、地方都市では利用者の減少により路線が縮小したり、運行維持が難しくなったりしています。さらに、交通空白地と呼ばれる地域では移動手段不足が高齢者の生活に影響を与え、地域間交通の利便性の低下も問題視されています。
こうした状況を改善するために注目を集めているのがMaaS(Mobility as a Service)やLRT、デマンド交通といった新たな交通手段です。本稿では地域ごとの公共交通の課題を整理し、それらを解決する可能性について考えます。
日本では現在、地方の人口減少と東京への一極集中が進んでいます。国土交通省の報告(※)では、東京圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)の人口は2018年時点で約3,658万人に達し、全国の約30%を占めています。一方、名古屋圏や大阪圏は横ばいが続いています。
(※)国土交通省「東京一極集中の是正方策について」
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001374933.pdf
特に20代の若年層は、進学や就職を機に東京圏へ流入しており、地方からの若者流出が目立ちます。このような地方で減少した人口が東京圏へ集まっている中で起こっているのが、交通渋滞や住宅価格の高騰です。しかし流出元となってしまっている地方では、逆に公共交通の維持が課題になりつつあります。

(※)国土交通省「企業等の東京一極集中に関する懇談会 とりまとめ(参考資料)」を元に作成
https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/content/001384143.pdf
首都圏では鉄道やバスの混雑が深刻化しており、通勤・通学時には乗車率200%を超える路線もあります。また訪日観光客の増加を受けて日中の混雑も拡大し、遅延が増加、人々の移動ストレスも発生しています。さらに、都市の拡大に伴い「ラストワンマイル(※)」の移動手段が不足、特に郊外では選択肢が限られているのが現状です。高齢者や車を持たない人にとっては、公共交通へのアクセスそのものが課題となるケースがあります。
(※)ラストワンマイル:ここでは最寄りの駅やバス停から、自宅までの区間を指す
地方都市では人口減少や高齢化により、公共交通の利用者が減少、その結果路線の維持が難しくなっています。多くのバス事業者が赤字経営となって減便や廃止が進み、さらに鉄道のローカル線も維持が困難なことを理由に一部は廃止が検討されています。公共交通の縮小で自家用車への依存が強まる一方、高齢者は免許返納後の移動手段が確保しにくい状態です。
地方の中小市町村では、公共交通の撤退により「交通空白地」が増えています。過疎地域では交通手段の維持が難しく、多くの住民が自家用車に依存する一方、高齢者や車を持たない人は買い物や通院が困難で、生活の質が低下しています。さらに、商店街や病院へのアクセス悪化が地域経済に影響を及ぼし、地域の活力低下を招いています。
MaaSは鉄道、バス、タクシー、カーシェア、自転車シェアなどの交通手段を統合し、利用者がスムーズに移動できるようにする仕組みです。これからの公共交通を支える存在として、MaaSの実証実験や導入が全国的に進んでいます。スマートフォンアプリを活用し、ルート検索から予約・決済までを一元化することで、より効率的な移動が可能になります。
MaaSは、地域ごとの課題や特性に応じて、さまざまな交通機関や商業・観光サービスと連携しながら展開中です。公共交通の利便性向上に加え、観光業や地域経済の活性化にも用いられており、さらには訪日観光客の移動を円滑にするためのデジタル化も進んでいます。
また、商業施設や飲食店と連携し、MaaSアプリを通じて交通利用者に割引やポイントを付与する取り組みも拡大中です。交通チケットの一括購入が可能なアプリや、レンタカーとバスを組み合わせた移動手段の提供など、地域の特性に応じたさまざまな施策が進められています。
地方都市では、公共交通の利用者減少による路線維持の問題が深刻化しています。これを解決する手段として導入が進められているのがLRT(次世代型路面電車)です。LRTは従来の鉄道やバスよりも低コストで運行でき、都市内の移動を円滑にする役割を果たします。
富山市ではLRT(富山ライトレール)(※)を活用したコンパクトシティ化を推進中です。LRTを導入した結果、市中心部の回遊性が向上し、商業施設の活性化にもつながりました。同様の取り組みは宇都宮市でも行われています。宇都宮ライトレールは宇都宮駅東口から芳賀町の高根沢工業団地をつなぐLRTで、現在着実に利用者を増やしています。また、自家用車に頼らない移動が可能になり、通勤者や学生だけでなく、高齢者の移動手段も確保できるようになりました。環境負荷が低い電動車両を使用しているため、持続可能な都市交通の実現にも寄与しています。
参考:富山市「富山市型LRTによる低炭素交通まちづくり」
https://www.estfukyu.jp/pdf/2012hokurikushinetsu/04_toyamashi.pdf
地方の交通空白地対策としては、利用者の予約に応じて運行するデマンド交通の導入が進められています。アプリや電話で予約すると最適なルートで車両が配車される仕組みです。需要に応じてリアルタイムに最適なルートを計算し効率的に運行する、AIを活用したタイプのデマンド交通も実用化されています。デマンド交通は特に高齢者や免許を返納した人の移動手段として有効です。
行政、企業、大学、市民が連携し、デジタル技術やデータ分析を活用して社会課題を解決する共創プラットフォーム運営の動きがあります。広島市の「ひろしまサンドボックス」(※)もその1つです。交通、観光、防災、環境など幅広い分野でデータ活用が進められ、渋滞緩和策や観光客の利便性向上の施策が検討・実施されています。また、官民連携によるイノベーションも進み、スマートシティ関連の実証やAIを活用した都市管理システムの開発も進行中です。
参考:ひろしまサンドボックス
https://hiroshima-sandbox.jp/
ひろしまサンドボックスは地方都市である広島市での実践ですが、デジタル技術やデータ分析の活用は地域の規模にかかわらず、さまざまな市町村で有効な手段です。このような取り組みは今後も、首都圏や地方の中小市町村、またはそれら地域の間でも行われていくでしょう。
交通や防災、経済データのオープン化により、新たなビジネスや政策決定の基盤が整ってきました。企業や研究機関には実証のフィールドが提供され、MaaSやスマート交通管理の導入が進んでいます。今後も、データとテクノロジーを活用し、MaaSやエネルギーマネジメント、防災対策などが様々な施策が推進されていくでしょう。
もちろん、ここまで述べてきたように、交通の課題は地域ごとに異なるため、それぞれに適した技術を活用しながら、さまざまな関係者の連携や共創が求められます。最新技術と人の力で持続可能な交通ネットワークを築くことが、これからの日本で求められることです。

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