歯科クリニックの受付業務とレセプト点検が激変!
オンライン資格確認導入で月20枚のレセプト返戻がゼロに
医療機関や薬局向けの「オンライン資格確認等システム」の本格運用が2021年10月にスタートしました。神奈川県横浜市の歯科クリニック、ロコデンタルクリニック様では、NTT東日本の「オンライン資格確認スタートパック」を利用して、機器や設置設定を手配し、2021年4月にいち早くオンライン資格確認を導入。マイナンバーカードのICチップ、または健康保険証の記号番号等によりオンライン上で医療保険の資格情報の確認ができるようになり、レセプト(診療報酬明細書)返戻ゼロを実現しました。導入の経緯や効果、今後のICT活用について、ロコデンタルクリニック田中綾院長にうかがいました。
【目次】
ロコデンタルクリニック
ソリューション導入効果
- 資格過誤によるレセプトの返戻がなくなり、事務処理を効率化できた
- 受付スタッフの業務を削減し、精神的負担を解消できた
- 今後の情報化を進めるための基盤を構築できた
NTT東日本選定のポイント
- レセコンベンダーとも連携し、導入から保守運用まで一貫して任せられる体制だったこと
- オンライン資格確認やネットワークへの知見が豊富で信頼がおけたこと
- 「オンライン資格確認スタートパック」を良心的な価格で提供していたこと
「資格過誤を防ぎ、レセプトの返戻をなくしたい!」
情報不足で難航したオンライン資格確認の導入検討
――オンライン資格確認の導入前に、貴院では受付業務に何か課題を感じていましたか。
2010年の開業当初からレセコンと併せて保険証リーダー(保険証認識OCRソフトウェア)も導入し、業務効率化に取り組んできました。しかしOCRの読み取り精度は完璧ではなく、たとえば7を1に読み間違えたり、全角が半角で入力されたりすることもありました。
医療保険の資格確認は、受付スタッフが目視で確認していましたが、どうしても確認ミスは発生します。資格過誤によるレセプト返戻は多い月で20件ほどあり、忙しくて溜めてしまうと再請求も大変でした。
近年は、働き方の多様化に伴い、転職する人も増え、退職による資格喪失が原因の返戻が増えていた印象です。転職に伴う引っ越し等で正しい請求先がわからなくなり、再請求ができずに当院が金額を負担したこともあります。
――そうした状況がオンライン資格確認の導入を決めた理由でしょうか。
田中 綾院長
はい、そうです。事務作業では人為的ミスが発生するのはある程度やむをえないことだと思っています。しかし、注意される受付スタッフは心理的・精神的な負担を感じるでしょうし、私も注意することがストレスでした。また、レセプトの再請求は面倒で憂鬱な作業です。これらをどうにか解消できないかと思っていました。
また、私は神奈川県歯科医師会で医療管理委員会の理事を務めており、医療機関の円滑な運営に役立つ情報を積極的に発信する立場にいます。そのため、オンライン資格確認についても、当院でいち早く導入して情報を共有したいと考え、厚生労働省から案内が出た直後から検討を開始。まずはレセコンベンダー数社へ問い合わせました。ところが国から詳細な仕様が出ていないこともあり、どこも右往左往しているような状態。私もどうすればよいかわからず困っていました。
そんなとき当院のレセコンベンダーから、NTT東日本が「オンライン資格確認スタートパック」を提供しているという話を聞き、問い合わせてみたのがきっかけです。
NTT東日本はすべてを診てくれる“総合病院”
システムからネットワークまで全容を把握
――数社に問い合わせた中で、NTT東日本にご依頼いただいた決め手は何だったのでしょうか。
NTT東日本の担当者がこの事業の概要やシステムを非常によく理解していたからです。まだ国の仕様が完全に固まっていないのにも関わらず、資料も説明も非常にわかりやすいものでした。私はコンピューターもインターネットも詳しくないので、トラブルがあると困ってしまいます。NTT東日本なら「任せて安心」と心から思えたのが大きかったです。
医療機関なので、ネットワークの情報セキュリティは重要だと考えていました。障害等で頻繁に使えなくなっては困りますし、個人情報を扱うので情報漏えいは何としても防がなくてはなりません。NTT東日本は日本を代表する通信会社であり、ネットワークへの信頼性は群を抜いていました。
今回、「オンライン資格確認スタートパック」を利用しました。当院では既存の光回線を利用したこともあり、補助金の範囲内で準備できたのも良かった点です。
――導入まではスムーズでしたか。
実際の工事は丸一日でした。休診日を一日充てれば、すべての作業が完了するので、個人経営のクリニックも導入しやすいと感じました。作業はすべてNTT東日本とレセコンベンダーが行い、クリニック側での作業は、オンライン資格確認を使用するためのIDとパスワード設定のみ。導入の翌日からすぐに使い始めることができました。
――実際に運用を開始してからの状況はいかがでしたか。
快適に使えています。導入直後の2か月くらいは、入力方法やエラーメッセージの意味がわからないこともありましたが、NTT東日本へ問い合わせると、すぐに丁寧な回答がもらえました。問い合わせは受付スタッフに任せていたので、私自身はその間も診療に専念できて助かりました。
導入後に何度か大元のオンライン資格確認等システムの変更があり、クリニックでの設定変更が必要になったときも素早く対応してくれました。導入後のフォローやサポート体制の手厚さにも満足しています。
私にとってNTT東日本は、いわば総合病院のようなイメージです。医療機関は専門分野が分かれており、たとえば私たちのような歯科クリニックは基本的に口の中しか診ません。でも、虫歯が原因で全身の不調につながることもありますから、本当は全身の状態を診てくれる医師がいるのが理想です。システム導入でそれができるのがNTT東日本。レセコンベンダーとも連携し、システムからネットワークまで全体を把握しているので、困ったことがあっても「とりあえずNTT東日本に聞けば大丈夫」と思えるのは非常に心強いです。
院前にブラックボードを設置し、マイナンバーカードを健康保険証として利用できることを告知
明るい雰囲気の診察室。治療台同士が離れており、プライベートにも配慮されている
レセプト再請求が実質ゼロに!
今後の情報化の基盤へ
――実際に導入された成果や感想をお聞かせください。
当院では月1回ではなく毎回保険資格を確認しているので、オンライン資格確認の導入によって、資格過誤によるレセプト返戻はなくなりました。また、同じタイミングで、レセプトをオンライン請求にしたので、事務的なミスも事前に確認できるようになり、記録誤り等による返戻もありません。返戻の再請求が実質ゼロになったのは大きな成果です。
資格確認の業務が以前とは比べものにならないほど楽になり、作業負担も心理的負担も激減しました。受付スタッフとも「前は本当に大変だった」「もう以前には戻れない」と話しています。マイナンバーカードの顔認証付きカードリーダーの利用はまだ1割弱ですが、今後利用率が上がれば、さらなる効率化が図れます。
第四バリュークリエイト部 金田 泰宗
レセプト請求前のレセプト点検も、私が診療内容の確認をするだけで済むようになりました。これまで休診日に半日かけていた作業が数時間で済むようになり、家族から「帰りが早い」と驚かれるほどです。受付事務のミスや返戻の再請求が減ったことで、本来の仕事である診療に専念できる時間が増えたのは嬉しいことです。
当院の成果はすでに神奈川県歯科医師会でも共有しています。事務作業を負担に感じている医療機関にとって、オンライン資格確認を導入することで得られる成果は期待以上でしょう。NTT東日本には今後も多数の医療機関へのオンライン資格確認の導入を通じて、医療現場の業務効率化をサポートいただけたらと思います。
――今後の展望をお聞かせください。
ロコデンタルのロコは、「local(地域)」に由来する単語でもあるように、当院は地域に根差したクリニックです。当地域にはほかにも多くの医療機関があり、大勢の医師が地域の患者さんを診ています。今は完全に分業ですが、将来的に電子カルテや電子処方箋を共有できるようになれば、地域医療の連携も加速していくでしょう。オンライン資格確認システムはそうしたデータヘルス基盤構築の一歩になるはずです。今後も地域の人を元気にし、地域から神奈川を活性化していきたいと考えています。
*上記ソリューション導入時期は2021年4月です。
*文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2022年1月時点(インタビュー時点)のものです。
*上記事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。
企業名 | ロコデンタルクリニック |
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企業概要 | 神奈川県横浜市青葉区、市が尾駅から徒歩3分の住宅街にある歯科クリニックです。スタッフは全員女性。院長は大学病院で口腔外科医としての経験が長く、外傷治療にも対応。審美治療にも力を入れており、顔の色や雰囲気に合わせてオーダーメイドで治療をします。小さなお子さまからご高齢の方まで気軽に通える明るくアットホームな雰囲気。院長の気さくな人柄に惹かれて、遠方から通う方もいます。 |