行政完全デジタル化までの過渡期を乗り切れ!
マイナンバー対応AI-OCRとRPA連携で介護保険業務を効率化

各種申請の大量な入力作業の負荷をいかに軽減するかが課題だった福島市。2019年より、総合行政ネットワーク(Local Government Wide Area Network 以下「LGWAN」という)で利用可能なNTT東日本のAI-OCR(※1)サービス「AIよみと~る(LGWAN接続タイプ)」のトライアル版やRPA(※2)の実証実験を行い、業務効率化の検討を進めてきました。その後、「AIよみと~る(LGWAN接続タイプ)」が2020年11月にマイナンバー対応したことをうけ、同サービスの導入を決定。2021年4月より、AI-OCRとRPA連携で介護保険業務における帳票入力業務の効率化を実現しています。導入の経緯や効果、今後の取り組みについて、福島市のご担当者にうかがいました。

※1 AI-OCR(Artificial Intelligence- Optical Character Recognition/Reader)とは、手書き書類や帳票の文字読取を行い、データ化するAI技術を使ったOCRサービスです。
※2 RPA(Robotic Process Automation)とは、コンピュータ上で行われる業務プロセスや作業を人に代わり自動化する技術です。

福島市

  • マイナンバー対応のAI-OCR「AIよみと~る(LGWAN接続タイプ)」とRPA連携で介護保険業務の効率化を図った福島市

ソリューション導入効果

  • データ入力業務を自動化し、業務効率化を図ることができた
  • 帳票の読み取り項目を見直すことで、BPR(業務改革)の契機にできた
  • 将来的にマイナンバーを活用した業務効率化を実現する準備ができた

NTT東日本選定のポイント

  • 読み取り精度や処理速度の高いAI-OCRを良心的な価格で提供していたこと
  • 高水準のセキュリティ機能を有したマイナンバー対応のAI-OCRであったこと
  • 年中無休のヘルプデスクがあり、サポート体制が充実していたこと

当初採用したAI-OCRサービスは
読み取り精度や処理速度に課題

――AI-OCR導入の背景には、どのような課題があったのでしょうか。

菅野氏:市役所の仕事には、手書き帳票の読み取りのような大量に処理しなければならない事務処理が多く存在します。職員の作業負荷軽減のために、以前から業務委託やバッチ処理を導入してきましたが、どうしても手作業として残る部分があり、さらなる効率化が課題でした。

検討を進めるなかで注目した技術がAI-OCRです。これをRPAと組み合わせることで、帳票入力業務の効率化を図れるのではないかと考えたのです。そこで2020年8月に、他社製品ですがAI-OCRを導入し、RPAとも連携させて、介護保険業務の効率化に着手しました。

――なぜ介護保険課業務から始めたのでしょうか。

齋藤氏:AI-OCRとRPAに置き換えやすい帳票入力業務が多かったからです。対象にした介護保険の要介護・要支援認定の申請受付業務は、月初が最も多く、一日に500~600件の申請を受け付けることも。申請書の内容を介護保険の管理システムへ入力する必要もあり、繁忙期には2~3人が専任で入力作業に当たっていました。

福島市 健康福祉部 介護保険課 課長補佐兼係長 齋藤 良紀氏福島市 健康福祉部 介護保険課 課長補佐兼係長
齋藤 良紀氏

業務量は膨大ですが、作業自体は複雑なものではありません。申請書は指定の様式で、介護保険システムへの入力項目も決まっています。ですので、AI-OCRとRPAを連携させて自動化させるのに最適な業務だったのです。

しかし、最初に導入した他社のAI-OCRは、手書き帳票の読み取りが思ったほど速くありませんでした。大体2件で1分程度でしょうか。もちろん、それでも職員の業務時間短縮にはつながりましたが、もう少し処理速度向上を図れないかと思っていました。

菅野氏:読み取り精度がすこし低い印象もありました。また、料金も高めでしたので、別の製品も検討しようとNTT東日本に相談したのです。

「商品を買って終わりではない」
年中無休のヘルプデスクが万全なサポートを提供

――NTT東日本のAI-OCRサービス「AIよみと~る(LGWAN接続タイプ)」を選ばれた決め手は何だったのでしょうか。

菅野氏:すでに2019年に、NTT東日本のAI-OCRサービス「AIよみと~る(LGWAN接続タイプ)」のトライアル版の検証をしていたので、読み取り精度のレベルが非常に高いことは実感していました。NTT東日本のAI-OCRは、ディープラーニングにより学習した独自のアルゴリズムに加え、歪み・傾きの補正機能もあるので、読み取り箇所を的確に検出してくれて、文字も数字もほとんど誤読がありません。また、それまで使っていた他社製品より料金も良心的でした。

「AIよみと~る(LGWAN接続タイプ)」が2020年秋からマイナンバー(社会保障・税番号制度)に対応していたのも大きな点です。現状の業務ではマイナンバーの読み取りは行っていませんが、今後はマイナンバーをキーにして個人を特定し、RPA連携させるような処理も想定しています。ですから「AIよみと~る(LGWAN接続タイプ)」のマイナンバー対応は非常に心強く、今後、帳票入力業務のさらなる効率化を図っていけると考え、導入を決めました。

さらに年中無休のヘルプデスクがあり、サポート体制が万全だったことも決め手のひとつです。帳票定義の設定は集中しないと間違えてしまうので、夕方以降に作業することが多く、9~21時という長時間対応もありがたかったです。問い合わせたときの電話対応も非常に丁寧でした。

福島市 政策調整部 情報政策課 主査 菅野 玄徳氏福島市 政策調整部 情報政策課 主査
菅野 玄徳氏

――実際に導入を決めてから、運用開始まではスムーズでしたか。

菅野氏:運用開始に向けた実際の準備でも、万全なサポート体制に助けられました。ヘルプデスクに設定を確認すると、別のやり方も教えてくれたり、さらに折り返し電話で「もしかしてこういう業務ですか?」と突っ込んだ内容までフォローしてくれたり。見守られているような安心感があり、「商品を買って終わりではない」というサポートの厚さを感じました。サービス開始日は月初の繁忙期でしたが、移行作業も問題なく実施できました。

※コンピュータによる機械学習で、コンピュータ自らがデータに含まれる潜在的な特徴をとらえ、より正確で効率的な判断を実現させる技術・手法

最終ゴールは自治体窓口業務の完全デジタル化
AI-OCRは過渡期を支える重要ツール

――実際に導入された感想をお聞かせください。

齋藤氏:実際に自分で使ってみて「お、早いな」というのが第一印象でした。シンプルで直観的に操作できるので、初日からどの職員も操作に悩むことなく使えています。今回「AIよみと~る(LGWAN接続タイプ)」の導入にあたり、「介護保険認定申請書」の様式を見直し、AI-OCRで読み取る項目をシンプルに数字のみにしました。そのため、文字も読み取っていた以前のAI-OCRとの単純な比較はできませんが、処理速度も速いと思います。また、数字の読み取り精度は非常に高く、今のところ手直しは発生していません。

――ほかの業務への展開も考えていらっしゃいますか。

菅野氏:すでに市民への調査や各種アンケート結果の集計処理にも活用しています。アンケートは自由記載欄もありますが、手書き文字認識もかなり高精度です。

あとはやはり税・福祉分野に帳票入力業務が多いので、AI-OCRを導入し、RPA連携させてシステムへの自動入力まで行うことで、業務削減を図れるのではないかと考えています。

今後もNTT東日本に相談しながら、より使いやすい設定に調整していきたいと思っています。ただ一方で、使いにくいところがあれば、帳票のほうを変更するのも一つの方法だと思っています。今回、「介護保険(要介護・要支援)認定申請書」の様式を刷新しましたが、帳票を見直すことはAI-OCRの処理速度や読み取り精度を上げるだけでなく、申請者の記載しやすさの向上にもつながります。AI-OCRの導入は職員の作業負荷軽減に加えて、仕事や業務の見直しを進めるBPR(業務改革)の契機にもなっています。

――市役所としてデジタルトランスフォーメーション(DX/デジタルによる変革)推進の中長期的な展望があればお聞かせください。

菅野氏:国の方針のとおり、届出申請の電子化や自治体窓口業務のデジタル化は今後力を入れていくところです。ただ、同時にデジタルが苦手な人も不利益を被らないようにしなくてはなりません。完全なオンライン申請が実現するのは、だいぶ先でしょう。AI-OCRはその過渡期を担う、これからもしばらくの間使っていく重要な技術だと思います。

人口減少でマンパワーが限られるなか、行政サービスの質を落とさない、誰もとりこぼさない社会をめざすには、デジタル化や自動化が欠かせません。情報政策課としては、各課の伴走者としてデジタル技術を駆使しながら、働き方改革や業務改革、ひいては行政の効率化や市民サービスの向上を進めていきたいと考えています。NTT東日本には今後も、公共組織や自治体への多数の導入実績から得た信頼できる業務知見に基づく幅広い提案を期待しています。

AI-OCR導入に伴い、新様式に変更した「介護保険認定申請書」。介護保険業務の効率化とBPR(業務改革)の契機になった新様式に変更した「介護保険認定申請書」。AI-OCRの導入がBPR(業務改革)の契機にもなった。
AI-OCRとRPAを導入した福島市役所本庁舎。吹き抜け空間「エコシャフト」など環境との共生やユニバーサルデザインが特長。眺望抜群で休憩もできる市民ロビーも設置福島市役所本庁舎。吹き抜け空間「エコシャフト」(上)を設けた環境にやさしい設計。眺望抜群の市民ロビーも設置(下)
NTT東日本 福島支店 第二ビジネスイノベーション部 第一バリュークリエイトグループ バリュークリエイト担当 菅野 真由奈NTT東日本 福島支店 第二ビジネスイノベーション部 第一バリュークリエイトグループ バリュークリエイト担当 菅野 真由奈

*上記ソリューション導入時期は2021年4月です。

*文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2021年5月時点(インタビュー時点)のものです。

*上記事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。

福島市
組織名 福島市
概要 福島県の北部に位置し、西は吾妻連峰、東は阿武隈高地に囲まれた盆地に広がる福島市。夏は暑く、冬は寒い盆地の気候から農産物がよく育ち、とくに果物は初夏のサクランボからモモ、ナシ、ブドウ、リンゴなど旬のリレーが続く。東京から東北新幹線で約1時間半と首都圏からのアクセスも至便。福島県内の政治・経済・教育・文化をけん引している。

本事例に関するお問い合わせはこちら

ICTコンサルティングセンタ

フリーダイヤル0120-765-000(通話料無料)

受付時間:9:00~17:00(年末年始を除きます)

この事例記事のPDFダウンロードはこちら

PDFをダウンロードする

関連事例

ページ上部へ戻る