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AI-OCR/RPAを活用し、
業務フローが変わる!
千葉市が切り拓く"未来の働き方"

多くの自治体では、毎日、大量の書類を入力し確認する作業が発生しています。転入・転出届、婚姻届、出生届、ペット関連の届出や税務関連の申請書など……。数え上げればキリがないほど多くの種類、さまざまな様式の書類を、早く、確実にデータベースへと入力しなければなりません。こうした業務の自動化をめざして行われたのが、千葉市とNTT東日本の「AI-OCR/RPAの実証実験」です。既存のAI-OCR/RPA技術を活用し、千葉市役所で、実際に帳票類を読み取って自動で入力するという作業を展開、その効果や効率のよいフローを検証するという取り組みが実施されました。RPAの魅力や活用のコツなどについて、千葉市のご担当者にお聞きしました。

千葉市

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(左から順に)千葉市総務局情報経営部 業務改革推進課 主任主事 田島悠二氏、千葉市財政局税務部 課税管理課 主事 山下真季氏、千葉市財政局 税務部長 深山秀文氏、千葉市財政局 税務部 課税管理課長 高間勝三氏、千葉市財政局税務部 課税管理課 市民税班 主任主事 西川望氏 ※2019年8月時点

ご利用いただいたソリューション

「DXSuite」(※1,2)のAI-OCR技術と「WinActor」(※3,4)のRPA技術を組み合わせたAI-OCR/RPAツールを活用した実証実験

※1 大量の紙書類を高精度で仕分け・データ化し、業務効率化を支援するAI inside株式会社が商品化したAI-OCRです
※2 「DX Suite」は、AI inside株式会社の商標です
※3 NTTアクセスサービスシステム研究所で研究開発された技術をベースに、NTTアドバンステクノロジ株式会社が商品化した純国産RPAです
※4 「WinActor」は、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社の商標です

実証実験効果

  • 個人住民税関連の申請処理業務に要していた業務時間が、年間約600時間軽減可能(※5)と、導入効果を確認できた
  • 法人住民税および個人住民税の申請に関する書面の手書き・活字の総文字数に対して96.25%(※6)という高い読取精度が確認できた
  • 効果が確認できたことで、他業務への横展開、本格導入に向けての検討が始まった

※5 手入力でのシステム投入時間と、AI-OCR/RPAでのシステム投入時間を計測し、帳票1枚あたりの平均時間を年間処理時間に換算
※6 読み取りをした総文字数(①)に対して、職員が補正した文字数(②)をカウントし、総文字数に対して補正を行わなかった文字数(①-②)の割合を読取精度として算出

NTT東日本を選定したポイント

  • 業種を問わず多くの企業でもAI-OCR/RPAの導入事例があり、知見が豊富であること
  • 千葉市の課題、要望を受け止め、具体的な解決策を検討してくれたこと
  • こまめな会議、提案、常駐などで、密接な連携体制を整えてくれたこと

AI-OCR/RPAを活用し、市民サービスの
維持・向上を実現したい

――2019年2月1日~4月30日の3カ月間、AI-OCR/RPAを活用して、住民税に関する一部業務を行う実証実験を行ったとのこと。まずは、今回の取り組みにトライしようと思われたきっかけについてお教えください。

田島氏:これから少子高齢化が進み、労働人口が減少すると予測されています。当然、自治体の職員も減っていくわけですが、だからといって、市民サービスの質を落とすわけにはいきません。「これまでと変わらないサービス水準を維持し、さらに向上させていくには、AI-OCRRPAといった技術を採り入れた新しい取り組みを行うことが欠かせない」、そう感じて、今回の実証実験を行おうと考えました。

――千葉市の場合は、どのような書類の処理業務を抱えていらっしゃるのでしょうか?AI-OCR/RPAの対象となりそうな帳票類の処理業務について、現状をお聞かせください。

田島氏:千葉市には、約3,000種類の様式の申請書類が存在しています。処理件数は、年間約300万件。特に件数が多いのは、給与支払報告書(年間約60万件)、住民票の交付申請書(年間53万件)などですね。他にも、確定申告書、児童手当申請書などさまざまな帳票類の確認・入力・保管業務を行っています。

こうした書類の入力・システム投入作業などを自動化することで、人手不足の解消だけでなく、「大量に保管している紙書類のデジタル化」「ヒューマンエラーの削減」「ベテラン職員の知見をシステムに蓄積すること」が可能になると考えました。業務の効率化が進めば、政策立案や市民相談といった高度な業務に注力することもできますよね。よりよい市民生活のために――、さまざまな思いと期待を持って、今回の取り組みに挑戦してみようと思い至りました。

千葉市総務局情報経営部 業務改革推進課
主任主事 田島悠二氏
※2019年8月時点

個人住民税、法人住民税に関する
入力業務を自動化する実証実験へ!

――今回は、個人住民税に関する「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書(千葉市様式)」、法人住民税に関する「確定・中間申告書(千葉市様式およびeLTAXでの申告書)」をAI-OCR/RPAで自動処理したとお聞きしました。なぜこちらの書類を対象に選ばれたのでしょうか?

田島氏:AI-OCR/RPAを導入することで大きな効果が得られそうな業務だと思い選定しました。職員が情報を手作業で入力しており、申請書の件数が非常に多く、なおかつ帳票がある程度定型化されている。こうした条件が揃っていたため、まずは個人住民税と法人住民税に関する2種類の書類を対象に実証実験をしましょう、ということになった次第です。

西川氏:個人住民税関係の書類は、毎年1月~4月にドサッとやってきます。この時期は、確定申告書、給与の支払い報告書、その他資料が一気に集まってくる、まさに繁忙期です。80万件以上の書類を確認し、入力作業を行いながら、市民からの相談や問い合わせにも応えなければなりません。日中は確定申告の会場で相談業務を行い、17時以降にようやく書類と向き合い始める、ということもしばしば。残業時間も多くなりがちで、約30人の市税事務所市民税課職員全員に大きな負担がかかるということが続いていました。「こういうとき、AI-OCRRPAがあれば、かなり違うのではないか……」、そう思っていましたので、実証実験は、私も「ぜひやってみたい」と思いました。

――実際に実証実験に参加することになり、なにかご苦労されたことや戸惑われたことはありましたか?

西川氏:対象とした業務が単純作業ではなく、帳票の項目によって画面遷移が異なるなど多くの判断を要する業務だったため、そこを整理してRPAのシナリオに反映するということが難しそうで……。「私たちにできるのだろうか」と少々戸惑いましたが、シナリオ作成はNTT東日本側がしっかりサポートしてくれたため、市職員の負担が大きく増えることはありませんでした。

田島氏:NTT東日本のリードで、定期的に、業務フローについての整理や確認、意見交換を行う機会を持つことができたのがよかったのだと思います。また、準備や実験の期間中、担当者が役所に常駐してくださっていたので、ちょっとしたことでもすぐに相談し、対応してもらうことができました。こうした連携体制や深い業務理解があったからこそ、うまく行ったのだと思います。

千葉市財政局税務部 課税管理課
市民税班 主任主事 西川望氏
※2019年8月時点

年間約600時間の業務削減効果が
あることを確認、
他業務にも広げたい

――今回の実験が行われたのは、まさに税業務の繁忙期ですよね。市民の方々や企業から提出された帳票類を、約3カ月間、実際にAI-OCR/RPAに読み込ませて検証していったとお聞きしました。稼働中のご感想はいかがでしょうか? なにか変化は感じましたか?

西川氏:これまでは、紙だけでなく、電子データの形で提出された申請書も、一度出力して手入力をしていました。今回は、これら紙・電子の出力帳票をすべてAI-OCRで読み込んで、CSVデータにし、RPAによって税務システムに取り込むということを行いました。実験を行ってなにより驚いたのが、AI-OCRの読み取り精度の高さです。法人住民税および個人住民税の申請に関する書面の総文字数に対して96.25%の割合で正しく文字を認識しており、「これなら、実証実験の際に人の目で行っていた『読み取り結果の確認フロー』を、スキップしていいのではないか」と思いました。

田島氏:私は、個人住民税の業務に関して、作業時間の40%に当たる年間約600時間の業務削減効果が見込めるという結果が出たことにびっくりしました。「読み取り結果の確認作業」をスキップすれば、年間で最大1,283時間の業務時間軽減効果が期待できるということもわかっています。読み取り精度が98%、99%と上がっていけば、さらに大きな効果が出てくるはず。これからがとても楽しみです。

――今後の展望についてはいかがでしょうか?

田島氏:まずは業務フローを見直したいと思っています。「読み取り結果の確認作業」をスキップすることも含め、より高い効果が得られるようなフローを再構築したい考えです。合わせて、申請書類の様式を、よりAI-OCRが読み取りやすい形に改修する作業も進めたいですね。また、千葉市以外の自治体様式で届くことも多い「給与所得者の異動届出書」などについては、近隣自治体と連携して、なるべく様式を揃えるような働きかけをしなければならないと感じました。

その他、RPAに関する基礎研修、シナリオ作成スキルを得るためのトレーニングを行うなどしつつ、他の業務へと応用することも考えています。

課題を解決することで、まだまだ効果が見込めるはず。今後は働き方改革につなげることなども視野に入れつつ、他業務への横展開を進めていき、いずれは全庁的に活用したい考えです。引き続き、本格的な導入に向けての検討を重ねていきたいと思っています。

市民の方々や企業から提出された大量の帳票類 これまでは手入力で行っていたが、AI-OCRの活用で業務時間が軽減されたという

※文中に記載の組織名・所属・肩書・取材内容などは、すべて2019年8月時点(インタビュー時点)のものです。
※上記事例はあくまでも⼀例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。

組織名 千葉市
組織概要 千葉県のほぼ中央部にあたり、中央区・花見川区・稲毛区・若葉区・緑区・美浜区の6区からなる市です。地形は緑豊かな下総台地の平坦地におおわれ、その一部は、東京湾に接しており、温暖な気候と肥沃な土地、豊かな緑と水辺など自然環境に大変恵まれています。

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