2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2022.03.31 (Thu)

自治体が抱える課題とは(第1回)

DX推進から窓口業務まで、自治体の業務アウトソーシング事例

 自治体が民間企業にアウトソーシングしている業務というと、建設や土木工事などの公共事業を想像する人が多いかもしれません。しかし、それらの業務はほんの一部です。ここでは、住みやすい地域社会をつくるために自治体がアウトソーシングしている業務の事例や背景、課題などについて紹介します。

限られた財源で質の高いサービスを提供可能

 近年、自治体や行政機関が民間企業にアウトソーシングする業務内容が多様化しています。一体なぜでしょうか。

 これまでの日本では、住みやすい環境づくりと経済的発展を実現するため、水道や電気といった生活インフラの整備や、学校や病院などの公共施設の建設などを自治体が担っていました。

 しかし時代の変遷に伴い、自治体の役割が変わりつつあります。従来のようなインフラの維持管理に加えて、地域の産業振興などが求められるようになっているのです。こうした役割を果たすため、自治体内部での体制変更に加えて、新たにアウトソーシングする民間企業を探す必要が生じています。

 また日本は、少子高齢化および人口減少による税収の減少にも直面しています。限られた財源でより質の高いサービスを提供するため、業務の一部をアウトソーシングすることにより、コストの削減および見直しを図るという背景もあります。

 コスト削減と住民サービスの向上を両立させるためのカギとなるのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。DXの分野でも、多くの自治体が民間企業との連携やアウトソーシングを通じて業務効率化や生産性向上に取り組むようになってきています。

 DXについては、ただ業務を委託するのではなく、将来的にみずからDXを推進し、実践していけるように伴走支援を得ながら、コンサルティングを受ける自治体も現れています。

 さらに目の前に迫った問題としては、「氏名の振り仮名法制化」があります。これは、本人確認をより正確に、迅速に行うために、住民の氏名の記録に「振り仮名」を追加するというもの。2025年から2026年にかけて法制化が進められる予定で、これに伴い自治体には戸籍、住民票、マイナンバーカードなどのデータへ振り仮名を追加する業務が発生する見込みです。この業務についても、アウトソーシング先の民間企業がソリューションを検討しはじめています。

民間企業へのアウトソーシング事例

 日本には「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」という政府の方針があります。この方針に基づいた制度には、公共施設などの設計・建設・維持管理・運営に、民間の資金とノウハウを活用するPFI(Private Finance Initiative)制度や指定管理者制度などがあります。

 ここでは、いくつか具体的事例を紹介していきます。

池田市(大阪府)

 池田市(大阪府)では、国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療保険についての窓口業務を、民間企業にアウトソーシングしています。委託に当たっては、前出の3つの保険窓口が隣り合うように窓口レイアウトを変更。それぞれの窓口人員の柔軟な配置によってスムーズな対応を実現しました。さらに、フロアマネージャーの配置によって複数の用件がある人に対して適切な対応・誘導をするなどして、市民サービスの向上につなげました。民間企業へのアウトソーシングによって池田市は、市民サービスの向上だけでなく、職員の残業代を含めた人的コストの削減も達成。年間約400万円の財政効果を実現しました。

市川市(千葉県)

 市川市は経費削減を目的に、業務のアウトソーシングについて検討を重ねていました。その中で、設置予定の行政サービスセンターに配置する正規職員の採用や割り当てが、コスト面などの関係で難しいという状況が発生しました。そこで民間企業へのアウトソーシングを実施。結果、長時間の開所ができたため市民の利便性が高まっただけでなく、本庁や支所の窓口業務処理件数が減少しました。また、アウトソーシングをしなかった場合と比べて、約2割のコスト削減になりました。

船橋市(千葉県)

 船橋市では、国民健康保険課の業務量が多く、非定型業務を勤務時間外に行っていました。さらにこども手当・児童手当の制度改正や子ども医療費助成制度の県補助制度の拡大などにより、児童家庭課での業務量の増加も予想されていました。そこで各種業務を民間企業へアウトソーシングしたところ、国民健康保険課では職員の超過勤務が削減され、ワークライフバランスが改善。児童家庭課も予想された業務量の増加に対し、職員を増加することなく安定的に業務が行えるようになりました。

箕面市(大阪府)

 箕面市では、職員の年齢が特定の世代に集中していた結果、大量退職により職員数が減少することが想定されていました。この状況に、財政状況が芳しくないことにも配慮して、職員を増員せずアウトソーシングによって対応。職員の増員を伴わずに土曜日開庁に対応が可能になったほか、窓口業務の業務量削減、外国語対応が可能な人材の配置など、市民の利便性向上を実現しました。

上天草市(熊本県)

 上天草市役所は、臨時職員の増加により労務管理が複雑化したことなどを受け、窓口業務の民間委託を検討しました。その後、市役所および支所の4か所で行っている窓口業務の一部を民間委託し、住民票の写しや各種証明書などの対応や国民健康保険、児童手当などの受け付けなど、さまざまな業務のアウトソーシングを実現しました。結果、前年と比べて19人の窓口職員数の削減、年間約7700万円のコスト削減に成功。職員の配置転換や労務管理の効率化などの効果も得られました。

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課題は「信頼できる提携先」の選定

 自治体がアウトソーシングを行う際の課題はさまざまです。おもな課題としては、アウトソーシングの検討に時間がかかる点や、民間企業と自治体に認識のズレが発生し、トラブルが起きるリスクなどがあります。

 たとえばDXに伴うICT関連業務をアウトソーシングする際、職員のICT知識が不足していると、民間企業からの提案に対する判断が難しくなったり、業務内容の理解が進まなかったりする可能性が考えられます。特に個人情報が関連するICT関連業務をアウトソーシングする場合は、信頼できる提携先を選び、リスク分析を行い適切な情報セキュリティマネジメントを行う必要があります。

 民間企業へのアウトソーシングによって、コスト削減や業務効率化など、さまざまなメリットの享受が期待できます。そのために重要になってくるのが、信頼できる提携先を選定することです。事例で紹介したように、総合窓口業務をはじめDX推進、データ管理などの分野で、すでに多くの自治体・行政がアウトソーシングをはじめています。デジタル分野に対応できる職員の確保やコスト削減などに課題を感じている場合は、民間企業へのアウトソーシングを積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

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自治体DXの推進には、先行している自治体の事例が参考になります。ここでご紹介するのは、自治体のDX事例資料をおまとめしたセットです。何を導入し、業務がどの程度効率化できたのか、ぜひご自分の目で確かめてみてください。

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