【基礎偏】LANとWANの違いを3つの視点で解説!代表的な3つの構成とサービスも紹介
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2023.7.10 (月)Posted by NTT東日本
オフィスや自宅など、今では当たり前のようにネットワークが構築されています。しかしネットワークに関する用語などが、よく理解できていないという方は多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、オフィスのネットワーク構築に欠かせない「LAN」と「WAN」の違いを解説します。またそれぞれの代表的な構成やサービスも紹介しますので、ネットワークに関する知識を深めたい方はぜひ参考にしてください。
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1.LANとは「限られたエリアで接続できるネットワーク」
LANとは「Local Area Network」の略称で、限られたエリアで接続できるネットワークです。LANの構築方法には「有線LAN」と「無線LAN」があります。
有線LANは、ケーブルを使用してネットワークを構築します。有線LANの特徴は、高速で安定した通信が可能なことです。ケーブルで直接接続するため、壁や天井など障害物による通信遮断もなく高い情報セキュリティ水準を維持できます。
また物理的に接続される有線LANは、大容量のデータ通信もスムーズに行えます。しかし、ネットワーク機器の設置場所など配線には工夫が必要です。また、スマホやタブレットなどLANポートがない端末の接続ができない点がデメリットと言えます。
無線LANは、電波を利用したネットワーク構築方法です。電波が届く範囲であれば、どこでも端末を使用できます。また無線通信ができるすべてのデバイスをつなげられるため、スマホやタブレットなどさまざまな端末の業務利用が可能です。
パソコン以外の端末が利用可能になることで、ICT活用の幅が格段に広がるでしょう。ただし電波傍受や不正アクセスなど、情報セキュリティにおける懸念があります。十分な対策をしなければ、外部からの脅威により機密情報が流出するリスクがあるため注意が必要です。
2.WANとは?インターネットとの違いも解説
LANと似た用語に「WAN」があります。ネットワークを意味する用語としては同じですが、規模が異なります。またWANはインターネットと混同されやすいため、違いを正しく理解しておきましょう。
2-1.WANとは
WANとは「Wide Area Network」の略称で、物理的に離れたエリアと接続できるネットワークです。例えば東京と大阪の支店をつなぎたい場合、独自の専用回線を敷設すれば安全にネットワークを構築できます。しかし、ネットワーク構築にかかる手間やコストを考えれば現実的ではありません。そこで、近年はNTT東日本などが提供する「WANサービス」の利用が主流となっています。WANサービスには以下のような種類があり、利用する際はプロバイダとの契約が必要です。
- アナログ専用線
- デジタル専用線
- ISDN
- フレームリレーATM
- 広域イーサネット
- IP-VPN
- インターネットVPN
WANはLANと同様、プライベートネットワークなので特定の人しかアクセスできません。最近の主流は広域イーサネットやIP-VPNで、従来使われていたアナログ専用線などに比べて低コストで導入できるため広く利用されています。
2-2.インターネットとの違い
インターネットとは、世界中にあるネットワーク機器をつなげた通信網です。広範囲をつなげる点ではWANと同じですが、インターネットはオープンネットワークである点が異なります。特定の人しかアクセスできないWANに対し、インターネットは不特定多数の利用者がつながっていることを理解しておく必要があります。
WANは自社専用のネットワークであるため、基本的には第三者がアクセスすることはありません。しかし、インターネットは誰でもアクセスできる環境なので、不正侵入などを防ぐために十分な情報セキュリティ対策が必要です。
3.LANとWANの違いを3つの視点で解説
社内ネットワークを構築するうえで、LANとWANの違いを正しく理解しておく必要があります。主な違いは、以下の3点です。
- ネットワーク範囲
- IPアドレス
- 構成する機器
ここでは3つの視点でLANとWANの違いを解説するので、まずは大きな違いを理解しておくと良いでしょう。
3-1.ネットワーク範囲
LANとWANは同じプライベートネットワークですが、接続できる範囲が大きく異なります。
LAN:同じフロアや建物内など、限定的な範囲を接続するネットワーク WAN:物理的に離れた場所にあるLAN同士を接続するネットワーク
同じ建物内であれば、ケーブルや無線を使ったLAN接続が可能です。しかし、東京と大阪のように離れた場所にあるLAN同士をつなげるのは困難です。そこで、物理的に離れた場所にあるLAN同士をつなげる方法として「WAN」があります。複数の拠点をつなげたい企業には、LANとWANを利用したネットワーク構築が必要です。
3-2.IPアドレス
IPアドレスとは、パソコンやサーバーなどネットワークに接続された機器を識別する番号です。LANは、自社のネットワークのみ使用できる「プライベートIPアドレス」を使います。プライベートIPアドレスは、接続する機器数に応じて「Aクラス」「Bクラス」「Cクラス」の中から種類を選べます。
クラス | IPアドレス範囲 | 接続台数 |
---|---|---|
Aクラス | 10.0.0.0~10.255.255.255 | 最大約1600万台(大規模ネットワーク用) |
Bクラス | 172.16.0.0~172.31.255.255 | 最大約65000台(中規模ネットワーク用) |
Cクラス | 192.168.0.0~192.168.255.255 | 最大254台(小規模ネットワーク用) |
一方で、WANは「グローバルIPアドレス」が通信事業者から割り当てられます。グローバルIPアドレスは固有である必要があるため、全世界において重複しないよう管理されています。また、インターネット接続に必要なのもグローバルIPアドレスです。一般的にグローバルIPアドレスはルーターに割り当てられ、プライベートIPアドレスは各端末に付与されます。
インターネットやWANからの情報をグローバルIPアドレスによってルーターが受け取り、各端末のプライベートIPアドレスへ届けます。1つのグローバルIPアドレスでも複数の端末がインターネットやWANに接続できるのは、プライベートIPアドレスが各デバイスに付与されているからです。
3-3.構成する機器
LANとWANを構成する機器は、それぞれ以下のようになります。
LANを構成する機器
- LANケーブル:ネットワークに接続するための物理的線
- ハブ:LANケーブル接続口(ポート)を複数持つ集線装置
- NIC(Network Interface Card):コンピューターをネットワークに接続するための拡張カード
- リピーター:OSI基本参照モデルにおける物理層の中継機能を提供する装置
- ブリッジ:OSI基本参照モデルにおけるデータリンク層の中継機能を提供する装置
- ルーター:OSI基本参照モデルにおけるネットワーク層の中継機能を提供する装置
WANを構成する機器
- DTE:データ通信回線の末端に接続される装置
- DCE:モデムやONUなど通信回線と端末を接続するための装置
- CPE:通信事業者のネットワークに直接つながる機器の総称
LANとWANでは、構成する機器が異なります。ネットワーク構築を行う際は、必要な機器の種類を覚えておきましょう。
4.代表的な3つのLAN構成
LANを構築する際、それぞれのコンピューターを接続する形態を「トポロジー」と呼びます。代表的なトポロジーは、以下の3つです。
- スター型
- リング型
- バス型
それぞれどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。
4-1.スター型
スター型は、ハブ(集線装置)を中心に各デバイスが放射状につながれている接続形態です。スター型のメリット・デメリットには、以下のような要素があげられます。
【メリット】
- ケーブルの配線・設置が簡単
- ネットワーク間に相互影響がなく、端末の追加や削除が容易
- トラブルや故障箇所の検知がしやすい
- ネットワーク拡張が容易
【デメリット】
- 多くのケーブルが必要
- ハブにトラブルが起こるとすべての端末が使用できない
スター型はハブにすべてのノード(注1)が接続されているため、カスタマイズ性が高いです。現在のネットワーク構築において、スター型は主流の接続形態となっています。ネットワーク間の相互影響がないため、一部でトラブルが発生してもほかの端末に支障をきたしません。しかし、ハブに問題が起きた場合はすべての端末に影響が出る危険性があります。
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注1:ネットワークに接続されている個々の機器
4-2.リング型
1つの機器がほか2つのデバイスと接続され、円状につながっている構成を指します。1つの方向に限定して通信を行うため、データの衝突や負荷の集中を防げる点がメリットです。しかしノードやケーブルなど、1箇所でもトラブルを起こせばネットワーク全体に障害が発生します。
そのような事態を回避する方法として「デュアルリング型」と呼ばれる接続方法があります。デュアルリング型は、回路を2重化することです。デュアルリング型は2つのリングにより成り立っており、1つは予備として設けられています。2重化回路にしておけば、万が一、断線などのトラブルが起きた場合でも予備のリングを使って逆回りで通信を維持できます。
4-3.バス型
バス型とは、ネットワーク上のすべての機器を1本のケーブルでつなげた接続形態を指します。バス型のメリット・デメリットには、以下のような要素があげられます。
【メリット】
- 短いLANケーブルで接続できる
- ハブなど集線装置が必要ないためコストを抑えられる
【デメリット】
- メインケーブルにトラブルが起こるとネットワーク全体に障害が発生する
- トラブルが起こった箇所の特定が難しい
- 大規模なネットワーク構築には向いていない
1本のケーブルでつながるバス型は、レイアウトがシンプルで小規模なネットワーク構成に向いています。また、機器を増やす場合はケーブルを足して接続するだけで良いので、パソコンやプリンターなどの追加が簡単です。一方で、トラブルがネットワーク全体に影響するリスクが高いことから現在ではあまり使用されていません。
5.代表的な3つのWANサービス
ここでは、代表的なWANサービスを3つ紹介します。
- インターネットVPN
- IP-VPN
- 広域イーサネット
各サービスの特徴を理解し、WAN構築の際の参考にしてください。
5-1.インターネットVPN
インターネットVPNは、インターネット回線を利用したWANサービスです。インターネットVPNのメリット・デメリットには、以下のようなものがあります。
【メリット】
- 低価格で利用できる
- プロバイダが混在していても使用できる
【デメリット】
- 情報セキュリティリスクが高い
- 通信が不安定になる可能性がある
インターネットを利用するため、比較的コストを抑えてネットワークを構築できるのが特徴です。通信は暗号化して行いますが、不特定多数が利用するため外部からの脅威をすべて回避するのは困難です。また、ほかのトラフィックの影響を受けやすく、通信が不安定になる可能性があります。
5-2.IP-VPN
IP-VPNとは、IP Virtual Private Networkの略称でプロバイダなどの閉域IP網を使ったWANサービスです。IP-VPNのメリット・デメリットには、以下のようなものがあります。
【メリット】
- 不正アクセスなど情報セキュリティにおける心配が少ない
- 安定した通信が行える
【デメリット】
- コストがかかる
- プロトコルがIPのみである
IP-VPNは専用の回線を利用するため、情報セキュリティレベルが高いのが特徴です。また、ネット環境に依存せず安定した通信速度で利用できます。
5-3.広域イーサネット
広域イーサネットとは、プロバイダなどが用意したイーサネット網に企業のLANを直接接続して離れた拠点同士をつなげるWANサービスです。広域イーサネットのメリット・デメリットには、以下のようなものがあります。
【メリット】
- 広範囲でも通信速度が安定している
- プロトコルに制限がない
- LAN同士の接続がしやすい
【デメリット】
- ネットワーク設定が複雑
- 通信事業者側でQoS設定がない
広域イーサネットは、第2層であるデータリンク層のサービスであるためLAN同士をつなげやすいのが特徴です。また通信速度が速く、拠点追加やプロトコル変更などにも柔軟に対応できるのがメリットと言えます。
6.まとめ
LANとは、同じフロアや建物など限られた範囲をつなげたネットワークです。ケーブルを使用して接続する「有線LAN」と、電波を利用してつなげる「無線LAN」があります。一方で、WANは物理的に離れた場所にある拠点をつなげたネットワークです。
WANはインターネットと混同されやすいですが、ネットワーク範囲や使用するIPアドレスに大きな違いがあります。LANやWANを構築する方法はさまざまで、企業によって最適な手段は異なります。社内ネットワークを快適で安全に使用するためには、専門的な知識やスキルが必要です。「NTT東日本」が提供するサービス「おまかせITマネージャー」では、ネットワーク構築に関する豊富な知識を持つスタッフが管理・運用を一元的に行います。社内のネットワーク構築を検討中の方は、ぜひ「NTT東日本」へお任せください。
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